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七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第二章 【謙譲の騎士】 アリシア・エレイン編
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53 第二章 エピローグ

前半はアリシア視点となっております。

 お兄様と一旦別れ、先に空間の歪みを越えると、私が率いてきた聖騎士達が私の帰りを待っていました。彼等は私を囲むように配置されています。

 さて、お兄様との打ち合わせ通りに進めないといけませんね。


「アリシア様、御無事でしたか!!」

「ええ」

「ですが、その傷は……」


 彼等は私の着ているドレスアーマーを痛々しげな様子で見ていました。

 そういえば、私の着ているドレスアーマーはお兄様との戦いで大きく損傷しているのでした。


「特に問題はありません。これの見た目は損傷している様には見えますが、外傷などは既に治癒しています」

「そうですか」

 彼等は封印殿で何があったのかを聞きたそうにしていました。ですが、それここで話すわけにはいきません。お兄様の事を知られるわけにもいきませんからね。

 詳細は先に教会へと報告する、という名目でごまかしました。


「それよりも、今回の件を報告する為に、早急に出立します。この場にいる全員で出立の為の馬車の準備を」

「「「はっ!!」」」


 そして、この場にいる聖騎士全員に馬車の準備を急がせるように指示を出しました。一応この場所に来るまでには途中まで馬車を利用しています。森に入る前、街道に面した場所に馬車を置いているのです。彼等にはその馬車を使うための準備を指示しました。


 この場から私以外が去った後、背後にある空間の歪みに大きな石を一つ投げ込みました。聖気の供給が途絶えたからといっても、すぐに空間の歪みが小さくなるわけではありません。もう少しの間なら、通る事も出来るでしょう。

 投げ込んだ石はお兄様への合図です。この中に戻ってお兄様に直接伝える事も出来ますが、私はここでお兄様がここから出てくる瞬間を見られない様に見張る役目があるのです。

 そして、石を投げたすぐ後、背後からお兄様が現れました。


「アリシア、大丈夫そうか?」

「はい、この辺りにいた部下の聖騎士達には出立の準備を進める様に言っています」

「そうか」

 私とお兄様は準備が整うのを待つ事にしたのでした。




 そして、それから少し経った後、聖騎士達が出立の準備が整ったことを知らせる為に、こちらに向かって来ました。

 既に、ここにある空間の歪みは小さくなっています。ここからお兄様が現れたとは、彼等も思わないでしょう。

 彼等は、お兄様を見ると何事かと聞いてきました。


「アリシア様、そこにいる男性は一体?」

「……ラダスの街から逃げてきた避難民の様です。どうやら、魔物に追われながらここまで逃げてきたみたいですね」


 私はそう言いながらも、お兄様が魔物程度に負ける筈がない、と内心では思っていましたが。


「そうですか」

「私はこの人に聞くことがあります。彼ならラダスの街がどういった状況か知っているかもしれません。暫く馬車の中で二人きりにしてください」

「分かりました」


 そして、私はお兄様を保護する振りをしながら、森を抜け用意された馬車の中に入っていくのでした。




 アリシアに案内されるがままに馬車に入った後、馬車の中では俺とアリシアの二人きりになった。

 ここに来る前、封印殿の中で、二人で話し合った結果、俺はラダスの街からの避難民という事になった。あの街から避難している途中で、他の避難してきた仲間達からはぐれてしまい、数日間、道に迷っていた所にアリシアと運よく遭遇した、この設定なら少し強引だが矛盾は無い。実際、俺はここに来る前はラダスにいたから調べられても問題はない。

 そして、俺からラダスの街の状況を聞くというならば、馬車の中で二人きりと言う状況は違和感もないだろう。


 因みにアリシアは当たり前のように俺の隣に座っている。普通はこういう時は対面に座るのではないだろうか。

 更には、アリシアは俺の左腕を抱きしめる様に胸元に持ってきて、手も絡めるように握ってきた。こういうのは恋人同士がする事なのではないだろうか、妙に恥ずかしい。アリシアが二人きりにして欲しい、と指示を出していた以上この様子を他の誰かに見られる事はそうないだろうが。


「そういえば、お兄様、これからどこに向かうおつもりですか?」


 そう言われると、次の目的地など何も決めていなかった。封印殿で七罪武具を手に入れた後で考えればいいと思っていたからだ。


「では、昔お兄様も暮らしていた王都にある公爵邸に行きませんか?」

「公爵邸?」

「ええ、それに王都の教会には七罪武具の一つが封印されております。お兄様はそれを必要とされているのでしょう?」

「ああ」

「なら、距離はありますが王都に向かうのが最適かと。私も詳細を教会に報告をしなければなりません」

「分かった」


 そして、俺達の次の目的地はメルクリア王国の王都に決まったのだった。




「では、早速指示を出してきますね」


 そう言って、アリシアは馬車から退出し聖騎士達に指示を出していた。

 そして、アリシアが馬車に戻るとその直後、俺達の乗った馬車がメルクリア王国の王都に向かって動き出した。

 だが、俺達は知らなかった。今から向かう王都で次なる戦いが待っている事を。


これにて第二章終了です。

続いて第三章、と行きたいところですが、その前に明日は第二章の所感を活動報告に上げる予定となっております。

是非、活動報告をご覧ください。


※追記

改稿に伴い、二章の所感は非公開にしておりますご了承ください。


それに伴い、明日の更新が若干怪しくなっております。なので、一応可能なら明日更新、無理そうなら明後日更新と言う形にさせていただきます、ご了承ください。

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