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七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第二章 【謙譲の騎士】 アリシア・エレイン編
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41 封印殿

はい、またやらかしました。

今日も可能だったらもう一度投稿します。

「……ここは……」


 転移陣で転移した先、目の前にはその中央には白く輝いている神殿のような建物があった。周囲を見渡すと、黒い幕の様な物がドーム状に張られており、それは自分の後方まで続いている。

 足元の転移陣はまだ使用する事が出来そうだ。一応片道ではなく往復できる事はグレアムの記憶から知ってはいたが、実際帰る事が出来る、その事を知っているだけで安心感が違う。


「それにしても、この光景……」


 俺は呟きながら、辺りを見渡す。このドーム状の空間とその中央にある神殿、この光景には何処か既視感を覚えた。


「……そうか、奈落の……」


 この場所は奈落、その最深層と似ているのだ。

 目の前にある神殿は奈落の最深層にあった神殿と同じ物と言ってもいい程、酷似している。この黒い幕もあのドーム状の空間に置き換えればそっくりだ。

 だが、神殿は奈落にあった物とは違い、目の前の物は寂れた様子は無く、まるで建てられたばかりの様に光り輝いている。


「ここが、七罪武具が封印されている封印殿……」


 ガイウス達の記憶にもあった。間違いない、ここが、七罪武具が封印されている封印殿だろう。

 封印殿は何重にも封印の為の仕掛けが施されているらしい。封印殿の中に悪意ある者が立ち入る事が無い様に施されている入り口の封印もその一つだ。だが、その封印はガイウス達の配下によって既に破壊されている。

 入り口の封印が破壊されている以上、道を阻むものは何もない。入り口の封印以外の仕掛けの情報はガイウス達の記憶にも無かったが、ここまで来たからには進むしかない。

 俺は、封印殿に向かって歩を進めるのだった。




 封印殿の入り口の封印があったと思われる場所には、入り口の封印に使用されていたと思われる聖気の残滓が感じ取れた。

 だが、入り口の封印は破壊されている。俺は、入り口の扉を開き封印殿の中に足を踏み入れた。


「っ!!」


 だが、封印殿の中に足を踏み入れた途端、足元にここに来るときに使用した転移陣に似た幾何学模様が浮かび上がる。だが、その転移陣からは魔力では無く聖気が感じられた。

 恐らく封印殿に施されている仕掛けが起動したのだろう。


「くそっ、罠かっ!!」


 だが、この転移陣から離れようにも動く事が出来なかった。

 そして、ろくに抵抗できる時間も無く、すぐに転移させられてしまうのだった。




「っ!!」


 ラダスの街に向かっていたアリシアは突如自分の中に伝わってきた情報に驚きを隠せず、驚愕の表情を浮かべていた。そして、次にアリシアの心は焦り一色に染まっていた。

 封印殿の仕掛けの一つに魔の力を持った者が封印殿に立ち入ると、それが神聖騎士に伝わる様になっている。それは異空間であっても変わらない。(奈落の封印殿は、そもそも魔力によって酷く汚染され、封印殿そのものが機能不全を起こしている。残っていたのは、最も強固に作られている七罪武具を直接封印している物だけであった。更に仕掛けの全ては封印殿に蓄えられた聖気を動力源とする様に作られているが、奈落の魔力で封印殿に蓄えられた聖気は既に残滓すら残さず消えている)

 そして、封印殿に魔の力を持った者、つまりはカインが侵入した事は今代の神聖騎士全てに伝わった。それは、ラダスの街に向かっている神聖騎士であるアリシアであっても変わらない。


「そんな……」

「アリシア様?」

「……緊急事態です!! 今後の進路を変更します!!」

「何故? 何処へ向かうおつもりですか?」

「今はその事を話している余裕はありません。とにかく準備を急ぎなさい!!」

「は、はいっ!!」


 そして、アリシアは部下達に次々と指示を出していった。

 アリシアには封印殿への侵入者が現れたという情報と同時に、異空間にある封印殿に繋がる座標の位置も伝わっていた。

 皮肉な話である、今迄どこにあるかもわからない封印殿の位置が、封印殿への侵入者によって解き明かされたというのだから。


「急がないといけませんわね……」


 封印殿へと繋がる座標の位置はアリシアが今現在いる位置からはそれほど離れていない。急げば五、六日程度の時間で到着する事が可能だろう。或いは自分一人だけで急行すればもっと早いかもしれない。

 封印殿へと繋がる座標に一番近いのは自分だ。もし、奈落を消滅させ、二つの七罪武具を手にした者が封印殿への侵入者なら、その者が封印殿に封印されているはずの三つ目の七罪武具を手に入れた時、暗黒期の再来、あるいはそれ以上の事態になる可能性は十二分に考えられる。

 距離を考えれば、他の神聖騎士が駆け付けたとしても間に合わない可能性が高い。アリシアはそう考えていた。

 封印殿には七罪武具の封印を守る為に、いくつもの仕掛けがなされているが、何百年もの間、異空間に隔離されていたのだ。その全てが正常に作動する保証は一切ない。

 だからこそ、ラダスの街に向かう事を中止し、封印殿に繋がる座標に向かう事を何よりも最優先にしなければならない。

 アリシアはその事に焦りながらも、封印殿に繋がる座標に向かう準備を急がせるのだった。

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