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七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第一章 【七罪の魔王】 カイン・エレイン編
26/128

26 ラダスの街の夜 遭遇

本日二話目です。ご注意ください。


総PV一万を超えました。ありがとうございます。

「この階段の長さ、まさか地下に繋がっているのか?」


 階段を下り終えた後グラスはそんな事を考えていた。階段の長さで考えればこの階段は地下に間違いなく通じているはずだ。

 彼等は光明を見出した。地下に繋がっているというなら、この先は、敵のこの街での本拠地だったとしてもおかしくはない。

 であるなら、もし奴らが既に逃げていたとしても、敵の逃走先に繋がる資料ぐらいは見つかる可能性がある。


「しかし、今度は通路か……」


 階段の先には通路が存在した。通路の一番手前には松明が有ったので光源に困ることは無い。手持ちの火を簡単に点ける事が出来る魔道具で、松明の先に火を点けた。それを光源として目の前の通路を進んで行く。

 地下通路は一本道ではあったので道に迷うことなく進む事が出来たのは彼等にとっては幸運だった。

 そうやって一本道を進んでいると、その先に遠くではあるが光源が現れる。


「……薄っすらとだがこの先に光源があるな……」

「はい、あそこがこの道の終着点でしょうか?」

「そうかもしれないな、ともかくあそこまで向かおう」


 そして、彼等は光源を目指して歩みを進めていく。


「……これは、扉か?」


 彼等が辿り着いた先には両開きになった一枚の扉が現れた。その扉からは中の光が漏れ出している。この扉の先は相当明るい様だ。


「この先には何が待っているかわからん。扉を開けたら一気に行くぞ」


 グラスの言葉に全員が頷く。

 そして、グラスの部下の一人が扉の取っ手に手をかけた。


「俺が三つ数えたら開けろ。それと同時に俺達が行く」

「了解」

「じゃあ行くぞ。一、二、三!!」


 そして、扉が開かれると扉の前にいた全員が一気に扉の中へと入っていった。




 扉の中に入ると、そこはまた通路になっており、その両端には檻があった。その檻は奥まで続くような長さだ。その中には鎖で拘束され、殆ど動かないようにされた魔物が何体も捕らえられている。


「……ここは、一体……?」

「さぁな、分からん。とりあえず奥に進んでみるしかないだろう」


 そして、彼等は魔物の檻に挟まれた通路を進んで行く。檻の中にいる魔物はゴブリンに始まり、コボルト、オーク等、多種多様な魔物が捕らえられている。

 彼等が手に入れた情報の一つに、敵は魔物を使い何かの実験をしているというものがあった。恐らくこの魔物達はその実験で使用された魔物なのかもしれないと彼等は考えていた。


「隊長、この魔物達をどうしますか?」

「こいつらは後だ。先に奥に向かう」


 そして、彼等は通路のさらに奥まで進み続けるのだった。




 通路を超えた先、そこはまるで階段があった執務室、それをそのまま持って来たと思ってもおかしくない程に似通った様な部屋があった。

 その部屋の奥には、一人の男が高級そうな椅子に優雅に座りながら待ち構えていた。


「ようこそ、聖騎士諸君。待っていたよ」

「何故その事を!?」


 男のその言葉に彼等は驚愕を隠せなかった。何故男は自分達の正体に気が付いたのか、それが分からなかったからだ。


「今日、我々の拠点に君達の襲撃があると聞いていたからね。屋敷にも来るだろうとは思っていた。それに君達から薄っすらと感じる不快な聖気。その二つで君達の正体など簡単に察することが出来る」


 男のその言葉にグラスは舌打ちをする。やはり自分達の中に内通者がいる様だ。内通者がいなければ自分達が今日襲撃する事を知る事は出来ないだろう。

 そして目の前にいる男の正体もこの場にいる聖騎士達は既に察している。


「……やはり、貴様、魔人か」

「そうとも。おっと、私としたことが自己紹介を忘れていた。私の名はガイウス・グラトニア。君達が追っている組織の頂点に立つ者にして、君達が目の敵にする魔人だ」


 そして、ガイウス・グラトニアと名乗った男は優雅に一礼した。


「ならば、ガイウス・グラトニア。ここでお前を討たせてもらう!!」


 グラスのその言葉に合わせる様に、この場にいる聖騎士達は次々と外套を脱ぎ、聖武具を具現化していく。


「待ちたまえ。全く、聖騎士という連中はせっかちな者ばかりだな」


 ガイウスはそう言うと手の平を聖騎士達に向け制止させようとするが、聖騎士はそんな言葉で止まるつもりなど毛頭なかった。


「貴様の言葉など聞く耳も持つつもりもない!!」

「本当にいいのかい?」

「問答無用!!」


 この場にいる聖騎士達は一斉にガイウスに襲い掛かろうとするが、次の言葉で動きを止めてしまう。


「ここ以外の拠点に攻め込んだ聖騎士の事が知りたくないのかい?」

「っ!!」


 ガイウスのその言葉で、聖騎士達は動きを止めた。そしてガイウスは口元をニヤリと歪める。


「ほう、君達は仲間の事が気になるようだね」

「くっ!!」


 自分達の襲撃は目の前にいるガイウスに察知されていた。ならば、他の拠点でも罠が仕掛けられている可能性が大きい。他の拠点に襲撃した仲間は無事なのか、それはこの場にいる聖騎士達が気になっていた事だ。その事をガイウスに突かれてしまった。

 そして、ガイウスは何処かからか巨大な水晶を三つ取り出し机の上に置いた。


「これは遠見の魔道具だ。君達も見た事くらいはあるだろう? この水晶にはそれぞれ君達が襲撃を掛けた我々の拠点が映る様に設定している」

「何故こんな物を?」

「これから面白い物が見られるからね。だが、私だけで見るには惜しい、そこで君達にも見せてあげようと思った次第だ」

「面白い物、だと?」

「その水晶を見ていればいずれ分かるよ」


 そして、聖騎士達は水晶を通して他の拠点に攻め込んだ仲間達の無事を祈りながら、その動向を見守る事になったのだった。

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