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七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第一章 【七罪の魔王】 カイン・エレイン編
16/128

16 村への襲撃と手掛かり

 依頼主の村に到着した俺達は早速依頼主の元に向かうことにした。


「依頼を受けてくださりありがとうございます。このナル村の村長のケビンです」

「俺はアルトです」

「カインです」

「アルトさんとカインさんですか。では、今回の依頼について詳しく説明させていただきます」


 村長を名乗るケビンは今回の依頼について話し始めた。

 最近この村に、魔物の襲撃が断続的に起きているという。襲ってくる魔物自体はゴブリン程度だったので最初の方は普通に撃退出来ていたが、段々と状況が悪くなっていった。武器も消耗していき、同時に怪我人も増えている。だが、何時になっても襲撃が止む気配は無かった。そして、最後の手段として、傭兵ギルドへ依頼を出したそうだ。


「そうですか……」

「それで依頼の内容ですが、今回の件の原因を探ってほしいのです」

「原因……ですか?」

「ええ。この村ではこんな頻度で魔物が襲ってくるなんてことは一度も無かった。だから何か原因が必ずどこかにあるはずなのです。あなた方にはそれを探してほしい。勿論原因を見つけて対処してくだされば、追加報酬としてそれ相応の報酬をお支払いいたします」

「……分かりました。引き受けましょう」

「ありがとうございます!!」


 そして、村長は俺達に深々と頭を下げた。


「それでは、お二人を宿まで案内……」

 

 ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!!


「何の音だ!?」

「この音は、魔物の襲撃です!!」

「!?」


 俺達と村長は慌てて村長宅を出た。そして、村では男達が慌ただしく動いている。


「そこの君、この音は魔物が来たのだろう、何処から来たか分かるか!?」

「そ、村長!! 魔物はいつも通り村の後ろにある森からです」

「そうか、分かった!!」


 俺達は村長に案内されるまま、村の後ろの森に向かったのだった。




「お前達、無事か!?」

「村長!! この人達は!?」

「傭兵ギルドから来た二人だ。皆の助けになってくれるはずだ」

「おお!!」

「じゃあ、これもあともう少しで終わるかもしれないんですね!?」


 村で、魔物撃退の為に集まっていた、男たちの中から驚きと喜びの声が上がっていた。


「ですが、とりあえずこの襲撃を凌がないと。お二人共、力を貸していただけますか?」

「ええ、もちろん」

「そのつもりです」

「おお、ありがとうございます!!」


 そして、俺とアルトは剣を抜き、村の男たちの先頭に立つ。傭兵ギルドに所属する為にはある程度の実力が求められる。自衛しかしてこなかった村の男達と、新人とは言え傭兵ギルドに所属している俺達では実力では大きな差がある。故に、先陣を切るのは俺達だった。


「村の人達は俺達の援護を頼んだ。行くぞ!!」

「ああ!!」


 俺の言葉にアルトが勢いよく返事を返す。森の奥から来るのは、この村に来る途中で戦ったことがあるゴブリンだった。それも、前回戦った時と同じくゴブリンは引く事を全く考えておらず、こちらに向かってくるものばかりだった。

 だが、前回と違うのはこちらには数の利と地の利、その二つが揃っているという事だ。

 ゴブリンも前回よりも数が多く、ホブゴブリンと言った上位種も混じっていた。だがそう言った相手は俺達が受け持つ。そしてこちらは、地の利、数の利の二つの利を生かして優位に立ち回った。村人には何人かの負傷者が出たが、何とか撃退に成功はしたのだった。




「ううっ!!」

「いつっ!!」


 ゴブリン達の襲撃を終えた俺達は、村の様子を見回っていた。負傷者も、何人も出ており包帯を巻いた村人がそこら中にいる。この村にも限界が近づいているのかもしれない。この村を見回っていた俺とアルトはそんな風に感じていた。

 大きな傷の無い、戦えそうな若い男も、精神的に疲弊している様子だ。これだけの数の襲撃でこの村が崩壊していないのは偶然としか言いようがない。この襲撃があと数回続けば、この村は壊滅するだろう。その前に原因を探るしかない。


「アルト、前回の時と言い今回の事といい、何かおかしいと思わないか?」

「やっぱ、そう思うか」


 このゴブリン達は引く事を全く考えていない死兵とでも言える連中だった。ゴブリン達のこの異常行動に今回の件の手掛かりが隠されていそうな気がする。


 今回の件に関して、手掛かりを持っていそうな村長に俺達は話を聞いてみる事にした。


「ケビン村長、一つ聞きたいことがあるんですが」

「何でしょうか」

「この襲撃、何か原因に心当たりはありませんか?」

「……これまでのゴブリンの襲撃は全て村の奥にある森から来ています。もしかしたら、そこに手掛かりが隠されているのかもしれません」

「……アルト」

「ああ、俺も同じことを思ってた。ケビン村長、この村の奥の森を探索しても?」

「ええ、よろしくおねがいします」


 そして、俺達は明日以降、村の奥の森を探索することを決めたのだった。


話の展開が遅くて申し訳ありません。もうそろそろ加速していくはずですので……

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