124 アリシアからの手紙
かなり遅れてしまい申し訳ありませんでした。現在、絶賛スランプ中です……。本当に筆が進まない。お盆が終わった事による燃え尽き症候群ですかね……?
リリアとの戦いから、十数日が経過していた。あれから、変わった事と言えば、あの時地下水道で見つけたローテシア等の魔人達が、他の魔人達に接触したという報告があったぐらいだ。
今も王都内に潜む魔人は数多く残っているらしい。多少は王都からの脱出に成功、或いは脱出に失敗し聖騎士に討伐された魔人もいた様だが、それでも今も地下にはかなりの数が残っている。その魔人達を掌握しておけば何かと有利に働くかもしれない。そういった魔人達の掌握を今後は進めていく事になるだろう。
そして、今日はリリアから少し用があるという事で彼女にクリスチア大聖堂に来てほしいという呼び出しを受けていた。俺はそれに従い大聖堂の前まで来ていた。
「…………」
大聖堂の中に入ると、この建物内に漂っている聖気を浴びて、少し不快感を覚えるが、他の人間に不信感を持たれる訳にはいかないと、その不快感を表情には出さなかった。
俺はそのまま大聖堂内を進み、その一角にある受付の所へと向かった。
「ようこそ、クリスチア大聖堂へ。本日のご用件は?」
受付の前まで到着すると、そこにいたシスターが俺に声を掛けてきた。俺はシスターに今日の用件、この大聖堂内に滞在している神聖騎士の一人であるリリアから呼び出しを受けた事、もうすぐその時間だという事を伝えた。
「カイン様ですね。話は伺っております」
このシスターには話が通っていたようだ。そして、シスターは立ち上がり、受付から離れ俺の前まで来る。
「では、ご案内いたします」
そう言いながら、シスターは俺を案内するように先導してくれる。俺はそのシスターの案内に従いながら大聖堂内を進んで行くのだった。
俺が案内されたのは大聖堂内にある応接間だった。応接間の中に入ると、案内してくれたシスターが部屋から退出しようとしていた。
「リリア様を呼んでまいりますので、ここでお待ちください」
案内してくれたシスターは一礼した後、応接間から退室していく。
そして、設置されてあるソファーに座って暫く待っていると、応接間の扉が二度ノックされた。
「お客様、リリア様をお連れしました」
その声と共に扉が開かれると、先程のシスターの後ろからリリアがこの応接間へと入ってきた。
「では、ごゆっくり」
リリアを連れてきたシスターはそう言うと、この応接間から退室していく。その後、彼女は俺と向かい合う様にソファーに座った。
「急にお呼び立てして申し訳ありません。急な呼び出しにもかかわらず来ていただき感謝します」
「それで、今日は何の用なんだ?」
「今日は、カイン様にお伝えしたいことがありまして」
「伝えたい事?」
「ええ」
リリア曰く、少し前にアリシアが教会本部を出立したという連絡があったそうだ。その連絡の時期を考えると、あともう数日で戻って来るのだそうだ。
因みに、奈落での出来事から今まで起きた事、その殆どはリリアにも話している。なので、アリシアと戦った事や、その後に彼女と共にフローラと戦った事までリリアは知っている状態だった。
そして、リリアは何処からか手紙が入っていると思われる封筒を差し出してきた。
「これは?」
「アリシアさんからのお手紙です」
なんでも、アリシアは教会の人間を経由して公爵邸にいる俺の元へとこの手紙を届けて貰う予定だったそうだ。それをリリアは、自分が直接手渡しで渡すと言い、手紙を届ける予定だった者から渡してもらったのだそうだ。
「この手紙はここで見ても?」
「ええ、問題ありません」
俺は渡された封筒を開き、手紙を取り出した。その手紙を広げて、書かれている内容を読んで行く。
「…………」
手紙の内容だが、要約するなら、教会本部からは既に出立しており、もうすぐ帰る事が出来る事、話があるから戻って来る事になっている日の予定は開けておいてほしいとの事の二つが記されていた。
俺は読み終えた手紙を封筒に戻し、持ってきた道具袋の中に収納する。その後、リリアは少し迷った様子を見せた後、口を開いた。
「それでなのですが、その手紙にあるアリシアさんの話の時に、私も同席させていただけないかと思いまして」
「同席?」
「ええ、カイン様はアリシアさんに先日の事をお話しするつもりなのでしょう? なら、当事者の私もいた方が良いと思いまして」
確かにそうだ。リリアは俺の話から今のアリシアの事を知っているが、アリシアは今のリリアの事を知らないだろう。その詳しい経緯を説明する為にも、リリアに同席してもらうのは有効かもしれない。
「それにアリシアさんにお聞きしたい事もありますので……」
「分かった」
他にも何か用がある様だし、断る理由も特にない。俺はリリアの同席の話を了承する。
そして、その話を終えた俺はリリアと少し雑談をした後、大聖堂から屋敷に戻るのだった。
それから数日後、手紙にあったアリシアが戻ってくる予定の日が来ていた。
「あれか……」
遠くから一台の馬車が此方に向かってくるのが見えた。その馬車の側面には教会の紋章が描かれている。あれがアリシアの乗っている馬車だろう。
そして、屋敷の前まで馬車が到着すると、その直後、馬車の扉が開き、そこから金糸を彷彿とさせる様な金色の髪が特徴的な一人の少女がゆっくりと降りて来る。
「お兄様、ただいま戻りました」
「ああ、おかえり」
馬車から降りてきた一人の少女、アリシアはニッコリと笑顔を浮かべるのだった。
活動報告にも上げましたが、HJネット小説大賞でこの作品が一次選考を通過しておりました!! 今後も更新していくのでよろしくお願いいたします。
また、スランプを早く治して、更新速度を戻したいのですが、いつ戻るか分かりませんので、温かく見守ってください。