123 とある聖女の憧れ
第五章を始めたいと思います。よろしくお願いします。
申し訳ありません。感想返しはあともうだけ少しお待ちください。
お盆の時期とこの台風のせいで職場が更に荒れております……。この話を書くので精一杯でした……。
後、章分けは仕事から帰宅したら行います。
わたくしは教会の現教皇の一人娘としてこの世に生を受けました。わたくしの一族は代々教会の上層部を勤める人物を輩出してきた一族だそうです。
また、わたくしの一族は遥かな昔に神聖騎士として選ばれた人が始まりであり、一族の祖先には何人も神聖騎士として選ばれた人がいたという記録も残っています。
そして、そんな血を受け継いで生まれたわたくしも嘗ての祖先達と同じように神聖騎士として選ばれる事になり、【慈悲】の神具をこの身に宿しました。
【慈悲】の力の一つは人を癒す事。その力を使い、病気で苦しんでいる人達や、戦いで傷ついた人々を癒している内に、わたくしは何時の間にか『聖女』と呼ばれるようになっていました。
『聖女』として崇められ、神聖騎士としての地位についているわたくしには、両親や一族から持ちかけられる縁談も少なくありません。
ですが、わたくしには物心ついた時からずっと憧れていた存在がいたのです。
「わたくしの、王子様……」
優しい笑顔を浮かべてわたくしを助けてくれる、わたくしに優しく手を伸ばしてくれる白馬の王子様。
わたくしが困った時には真っ先に駆けつけてくれて、わたくしに手を伸ばしてくれる人。神聖騎士でもなく『聖女』としてでもなく、ちゃんと一人の女性としてわたくしの事を愛してくださる、そんな人が欲しい。
気が付けばそのような人が欲しいという願望、憧れを抱いていました。
そして、その思いは日が経つにつれドンドンと高まっていきます。ですが、そんな相手が簡単に現れるはずもありません。
わたくしに持ちかけられる縁談も日増しに増えていきます。ですが、やはりその中にもわたくしの憧れるような人はいませんでした。その憧れを憧れのまま、胸の内に秘めて諦める事も考えた事は一度や二度ではありません。
神聖騎士として、教皇の娘として、これまで代々引き継がれてきた血を絶やすわけにはいかないという現実は理解しています。聖騎士、そして神聖騎士として選ばれる素養はその血と共に子孫にも引き継がれます。だからこそ、一刻も早く縁談を纏めたいというのが両親たちの本音でしょう。その為、周囲からの圧力も日が経ていく事に増していき、縁談を断り続けるのも段々と難しくなってきています。
それでも、わたくしはその憧れを、思いを諦めることが出来なかったのです。
わたくしのこの思いを捧げるに足る、どんな時にもわたくしを助けてくれる白馬の王子様。わたくしはそんな人に憧れ、現れてくれる事をずっと待ち望んでいるのです。




