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七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第四章 【節制の騎士】リリア・フォン・シルフィール編
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120 悪魔の王

本日、8/2でなんと拙作連載開始から半年を迎えました!! ありがとうございます!! そのお礼を活動報告に上げています、是非ご覧ください!!

(もうすぐ四章も終了なので、個人的には四章終了&連載開始半周年、と行きたかったのですが、流石に無理でした……。あの時の風邪が無ければなぁ……)



最近、ブックマークが減りすぎてつらいです……。モチベーションにかなり関わるので、出来れば外さないでほしいなぁ……(懇願)

 今私が相対しているカイン様、いえ彼は私が放った一撃により後方に大きく吹き飛んでいきました。しかし、今放ったあの一撃で多少のダメージはあったようですが、直撃とはいかず防がれてしまいました。

 そして、致命傷には至らなかった様で、全身に傷が見えていましたが、どれも小さく戦闘には支障が無いように見受けられました。

 ですが、彼は立ち上がった直後、突如として目を閉じたかと思うと、頭を抱え始めました。そして、苦しみだしたかと思った直後、何事も無かったかのように目を開くと、一言こう呟いたのが聞こえてきました。


『貴様の体、確かに貰ったぞ』


 そう呟く彼に私は大きな違和感を覚えました。姿形は先程までと何も変わっていません。ですが、纏っている雰囲気が先程よりも大きく、禍々しいものへと変わっています。

 声も大きく変わっています。また、その聞こえてくる声はまるで別の場所から発せられている様な、そんな違和感もあったのです。


 そして、彼であった存在は自らの体の動きを確認するかのように、両手を広げて閉じる、首を一回転させる、咳払いをする等、様々な行動をとっていました。


『むぅ、体はうまく動くが、上手く声が出せんな……』

「……貴方は一体何者ですか……?」


 気が付けば私はそう問いかけていました。目の前にいる存在は、外見は今迄と同じでも、中身は全くの別物に変わっている。そんな不思議な確証が私の中にはありました。

 そして、あれこそが私が討たなければならない相手であるという不可思議な感覚を覚えていました。


『何者か、だと? 何者……、ハハハハ、アハハハハハハハ!!』

「……っ、何がおかしいのです!?」

『これが笑わずにいられるか!? 知らぬというのか!? 我を封印したのは貴様らだというのにか!!』


 そして、一通り笑い終えた後、私の両手にある神双刃を指さしてこう告げました。


『お前の持つそれは我の事を教えてはくれぬのか?』


 そう言って目の前の存在は私の持つ神双刃へと視線も向けます。私も同じく自分の両手に握られた神双刃に目を向けますが、特に変わった事が起きる訳でもありませんでした。

 私は再度、目線を彼の元へと戻します。


「誰が、何を教えてくれるというのですか?」


 私がそう言うと、少し考え込んだ様子を見せた直後、今迄見た事のない様な歓喜の笑みを浮かべていました。


『……そうか、そうか、なるほど。貴様ら、今の我の様な残留思念すら残っていないのか!!残留思念程度とはいえ我が残っていながら、貴様らはその残留思念すら残っていないとは、実に滑稽だな!!』

「一体、何の話をしているのですか……?」

『いやいや、こちらの話だ』

「貴方は一体……?」

『まだ名乗っていなかったな。我が名は悪魔王ベルゼブブ、七罪を司る悪魔達の王、その一柱である』


 彼の体を使う存在は、悪魔王ベルゼブブ、自らをそう名乗りました。そしてその直後、彼の口元が大きく歪んだのが見えました。


『さて、このおしゃべりで十分に時間を稼いだおかげで、この体は我の思うがままに十全に動くようになった。おしゃべりはそろそろお開きにしておこうか』

「くっ……」

『さぁ、第二ラウンドの開始と行こうではないか!!』


 そう高らかに宣言すると、ベルゼブブと名乗る存在は自身の魔力を一気に解放しました。そして、今迄以上の濃厚な殺気が私へと向けられているのを感じます。私は改めて剣を構え直しました。


『『喰らう影』よ!! 影獣、行くがよい!!』


 そう告げた直後、ベルゼブブの魔力が収束し、先程見た者と同じ黒い獣の形をした影、影獣が具現化しました。ですが、これを見るのは二度目です。先程見た物よりも桁違いの魔力が込められているようですが、それでも対処法はさほど変わらないでしょう。


「それは、先程も見ました!!」


 私は自分に向かってくる影獣に対して神双刃を大きく振いました。その直後、神双刃に触れた影獣は影へと変わっていました。影獣が消えた事に安堵しようとした瞬間、先程とは違う光景が現れたのです。


『それは甘いぞ?』

「なっ!?」


 切り裂いたはずの影獣の影が再び集まり先程よりも小さくなった二匹の影獣に分裂したのです。その分裂した影獣を同時に切り裂きますが、今度はその二匹が更に分裂し、更に小さくなった四匹になっていました。

 そして、それらを切り裂いていくと今度は八体、そして十六体とドンドンと小さくなりながらも数を増やしていきました。

 そして、段々と手に負えない数になってきた時、私はミスをしてしまいました。


「あっ!?」


 不意を突かれ、分裂した多数の影獣達の内の一匹が私の足元に食らいついたのです。そしてその直後、残りの影獣達は私の全身に次々と噛み付いていきます。

 そして、影獣に全身を噛み付かれた私はまるで全身を拘束されたように動けなくなりました。

 直後、何時の間にかこちらに向かってきていたベルゼブブが私の目の前で剣を振り上げているのが見えました。

 今の無防備なままの私であれを受ければ、致命傷なのは間違いないでしょう。


『もらったぞっ!!』

「くっ!!」


 私は右手に聖気を収束させ、影獣による拘束を消そうと考えました。分裂した事で一匹一匹に籠められた魔力が減退していたのは運が良かったのでしょう。聖気を収束させるだけで影獣による拘束が少しずつ弱まってきます。

 今も手首に噛み付いたままの影獣の影響は消えていませんが、無理矢理動かす程度なら可能になっていました。そして、そのまま右手を体の前まで動かしその一撃を何とか防ぎました。


「くぅっ!!」


 そして、ベルゼブブは私が剣を防いだこと確認した直後、突如後方に飛び退きます。そして、何故か焦るような表情を浮かべたのでした。




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