112 再会
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カイン様が屋敷に戻っている。それを聞いた私は思わず息を飲みました。胸は今も高鳴り、頬も火照っている様な気がします。
「カイン様が…………」
無意識の内にそう呟いてしまう程、私にとってそれは衝撃的な事でした。いつの間にか私の両手は、自分の頬に添えられています。
「? リリア様? どうかなさいましたか?」
「っ!! いえ、大丈夫です。何も問題ありません」
司教の言葉で我に返った私は慌てて彼に何も問題ないと伝えます。
そして、その後は早々に話を切り上げる事にしました。今の私には、他の事を考える余裕などありません。一刻も早くカイン様にお会いしたい、その思いだけで私の心の中は埋め尽くされていたのです。
大聖堂前でリリアの姿を目撃した日から翌日。あれからも俺は屋敷で今までと同じように過ごしている。
そして、今後についての事を部屋で考えていた時、突如扉がコンコンとノックされた。
「誰だ?」
「私です。カイン様に会いたいというお客様がお見えになっています」
「……俺に?」
部屋の外から聞こえてくる声はこの屋敷の執事長のものだった。だが、彼から発せられた言葉に俺は疑問を抱いた。
俺にはそんな来客がある筈が無い。貴族の知り合いがいるわけでも無い。態々、俺を訪ねて来る者などそうはいないだろう。ここは公爵家の屋敷だ。もしいたとしても、事前に通達等がある筈。しかし、俺はそんな事を聞いていない。
つまり、今この屋敷に来ている人物は事前の約束も無く、突然会いに来ても門前払いされない程、高位の相手だという事だ。
「本当なのか?」
「ええ。今はお客様を応接室にお通ししております」
因みに、この声の主である執事長を含むこの屋敷の使用人達には、既に父上を通じて、俺を公爵家に戻す事、扱いを嫡子と同程度に扱う事などが言い渡されている。
だが、この屋敷で働く使用人達の中には俺を戻す事、そしてその扱いを嫡子と同じ様に扱うという父上からの通達に疑問に思う者も少なからずいただろう。しかし、彼等はあくまで雇われている身でしかない。そんな彼等が雇い主であり、公爵家の現当主である父上に異を唱えるのも出来るはずがない。
何故そんな通達があったのか、それは自分達の理解が及ばない高度な政治判断があったのではないか、と使用人たちは考えている様であった。
彼等がそう考えている理由、それはアリシアが今回の事件で上げた功績によるものだ。
神聖騎士、或いは聖騎士の素養というものは代々受け継がれていくものであるといわれている。神聖騎士を祖に持つ王家やその傍流たる上位貴族の血を引く者であれば、その殆どが聖騎士への適性があると言ってもいい。
だからこそ、公爵家の血を引きながら聖騎士の素養が無かった俺は追放される事になったのだが……。
話を戻そう。
この国の王家にしてみれば神聖騎士であり、そして建国の祖と同じ【謙譲の騎士】であるアリシアを何としてでも自分達の側に取り込みたいと考えている。
そして、公爵である父上にしてみれば、アリシアの存在はいわば切り札の様なもの。そんな切り札を手元に置いておきたいと考えるのは当たり前だ。それに父上はアリシアをかなり溺愛していた。そんな彼女を簡単に手放す事はしないだろう。
何としても取り込みたい王家側と手元に置いておきたい公爵家側、その二つは水面下で争奪戦を繰り広げていた。
この話は貴族社会では有名な話であり、この屋敷の使用人達もその事は知っている。
そんな中で、彼女が今回上げた功績はその争いに多大すぎる影響を与えるのには十分だろう。神代の魔人、それもこの国の地下に封印されていた七罪武具を奪取し、取り込んだ新たな魔王を討ち取ったのだ。
今回の件でアリシアは名声と実績を得た事になる。その結果、争奪戦が大きく動いたと考えるのには、十分すぎるだろう。
そこに、あくまで庶子とはいえ公爵家の血を引く俺が戻る事になるというのは、王家との何らかの取引、或いは高度な政治判断と公爵家の利益を求めた結果なのではないか? この屋敷で働いている使用人達はそういう風に捉えている様だ。
「どうかなさいましたか? 予定がある様でしたら、今日はお客様にお帰り頂きますか?」
「っ、いや、すぐに行く」
しまった、思考が完全に別の所に逸れていた。扉の外から聞こえてきた執事長の言葉でふと我に返った俺はその来客とやらに会いに行くために応接室に向かう事にしたのだった。
執事長に先導されながら、俺は応接室へ向かった。
「こちらでお客様がお待ちです」
「分かった」
そして、執事長は応接室の扉を二度、ノックする。
「お客様、カイン様をお連れいたしました」
「はい」
この部屋の中から聞こえた声、俺はその声に聞き覚えがあった。
まさか……、と思いながら応接室に入ると、そこには一人の女性がソファーに腰掛けているのが見えた。
その特徴的な銀色の髪とその姿、見覚えがある。いや、見覚えがあるどころではない、彼女の姿を数日前に見たばかりだ。
「リリ、ア……?」
「カイン様、お久しぶりです。ずっと、ずっと、再会できる日を夢見ていました」
笑顔を浮かべながら、そう言うのは神聖騎士の一人、俺の初恋の相手であるリリアだった。
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