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七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第四章 【節制の騎士】リリア・フォン・シルフィール編
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109 魔人達を従える

ブックマークがもうすぐで4000に到達します。目標の10000ptも目前です!!

これも皆様の日頃の応援のおかげです、今後も更新を続けていきたいと思いますので応援よろしくお願いいたします!!

 俺が戦い、或いは蹂躙を始めてから数分後、魔器を持っていた魔人達は全滅していた。残る魔人は魔器を具現化していなかった者、俺に抵抗しようとしなかった者達だけだ。この者達を今は殺さないと決めていた。


「あ、ああ、あああ……」


 そんな声を上げ、呆然となったような表情を浮かべるのは残された魔人達だ。俺が魔人達を倒す為に掛けた時間は数分程度だ。そんな短時間で仲間の殆どが殺されたのだから、呆然となる気持ちは理解できなくもない。


「さて、残るはお前達だけか」


 俺は残る魔人達に七罪剣の切先を向けた。残る魔人は五人しか残っていない。そんな時、五人の内の一人の女が俺の足へと縋り付いてきた。


「ねぇ、お願い!! あたしだけでもいいから見逃して!! 貴方に忠誠を誓ってもいい、貴方の靴だって舐める、この身体だって好きにしていい!! 他の奴を殺してもいいから、せめてあたしだけでも見逃してちょうだい!!」


 そう叫びながら縋り付く女の容姿は非常に整っている。服装や装飾品も派手なものだ。それこそ、何処かの貴族令嬢、或いは貴族夫人と言われても全く違和感はない。どちらかというとアリシアの様な可憐なタイプではなく、美人という分類に入るだろう。

 だが、そう縋り付かれても、媚びを売られても、この女に俺は異性として何の興味も持てなかった。というかそんな軽い男だと思われたのが少し心外だった。


「ひっ!!」


 俺に縋り付いていた女は突如、怯えた表情を浮かべる。どうやら無意識の内に威圧していた様だ。その威圧感を意識して抑え込んだ。


「さて、お前達が取れる選択肢は二つだ。ここで俺に従うか、殺されるか、だ」


 ここに来た本来の目的、それはフローラの配下だった魔人を自分の配下にする為だった。自分に配下がいれば何かと便利だという事を今回の事件で知った。

 それに、ここにいる連中も聖騎士に見つかれば殺されるだけだ。それに、もしこの王都から脱出した場合は、先程話していた様に別の魔人の組織に加わり、そこで再び悪事を働くだろう。

 なら、俺の配下にしてしまうのが一番、都合がいい。もし聖騎士に見つかって殺されれば、その時はその時だ。どうせ今まで悪事をしてきたのだ。自業自得だろう。


「さて、どうする?」

「従う、あんたに従う!!」

「あたしも従う!!」

「俺もだ!!」


 そんな声が残っていた魔人全員から上げられた。これで今日の目的は達成されたと言っていいだろう。ここにいた者達の大半は殺してしまったが、他にもまだこの王都に残党が残っているのは知っている。その連中も従わせればいいだけだ。

 もし聖騎士に捕まっても、俺の事がばれないように【色欲】の力を使い彼等に暗示をかけていく。

 そんな時ふと思い立ったことがあった。


「そうだ。お前、名前は?」

「あ、あたしの事?」

「そうだ」


 この女は先程縋り付いてきた事で、少しだけ俺の印象に残っていた。折角なので、この女にはとある役目を果たしてもらおう。


「あたしはローテシアよ」

「なら、ローテシア。お前がこいつらを統率しろ。指示はまた今度出すから、それまでは大々的に動かない限りは好きにしていればいい」

「わ、分かったわ……」

「もし逃げようなんて考えているなら……」

「分かってる!! 分かってるわよ……」


 ローテシアに残る四人の統率を任せる事にし、この地下水路から屋敷に戻る事にした。

 そして、俺は今日の目的であるフローラの配下だった魔人達を自分の配下とする事に成功したのだった。




 そして、カインが地下水路から離れた後、残された魔人達の間ではこんな会話が行われていた。


「どうする……、逃げるか?」


 そう言葉を発するのは、生き残った魔人の内の一人だ。彼等にしてみれば、カインは突然やってきて(こちらから襲い掛かった故、自業自得とはいえ)仲間達を殺した挙句、自分に従えと言われたのだ。流石に、素直に従おうという気持ちにはならない。

 彼等の中には先程の蹂躙劇の恐怖が色濃く残っている。自分達もあの末路を辿るのではないかという恐怖が残っていた。

 確かにカインの魔力は意味不明なぐらい膨大だった。だが、相手は一人だ。それに彼等にしてみればカインの事は全く知らない相手である。もしかしたら、先程殺された仲間の様に、戯れに明日殺されるかもしれない。ならば、今すぐに逃げ出し、別の街で再起をかけた方が良いのではないか。そんな安易な考えが彼等の中に流れ始めた。


 だが、それに待ったを掛ける者が一人だけいた。


「無理よ……。あの人、いえあの方にただの魔人でしかないあたし達が逃げる事なんて不可能よ……」


 そんな諦めたような声を上げるのは、カインに真っ先に命乞いをしたローテシアという女だった。ローテシアは数いるフローラの配下の魔人達の中でも特に察知能力に優れており、カインの魔力の奥にある複数個の七罪武具の力を感じ取っていたのだ。

 だからこそ、一早く命乞いをしたのだが。


「……何を感じたんだ?」

「あんたは何も感じなかったの!? あの魔力、あの力を!! アレを感じたからこそ、あたしは真っ先に命乞いをしたの!!」


 そう叫ぶローテシアの表情は明らかに恐れの色があった。その鬼気迫るような声色に他の男達は何も言い返せなくなる。


「あの方が持っていたあの黒い剣。あの剣から昔に一度だけ感じた事がある【暴食】と【強欲】の力を感じた!!」

「なっ!?」

「それにもう片方に持っていたあの槍斧。あれからはフローラ様に見せて貰った【傲慢】と【怠惰】、その二つの力を感じたのよ……」

「そんなっ……」


 ローテシアはこの魔人達の中でフローラに一番信頼されており、彼女が持っていた【傲慢】と【怠惰】の七罪武具を見る機会があった。そして、彼女は暗黒期に一度【暴食】と【強欲】の七罪武具を見た事があった。だからこそ、彼女だけがすぐにカインの持っていた計四つの七罪武具の力に気が付く事が出来たのだ。


「つまり、フローラ様を殺したのもあの方に間違いないわ。そんな相手にあたし達が勝てるとでも?」


 それを聞いた男達全員が絶望に染まったような表情へと変わる。仮にも自分達の主だった者を殺した相手だ。そんな相手の言葉に反する行動をとるという事は先程殺された仲間たちと同じ末路を迎える事になりかねない。

 それに、もしカインの言葉に反して王都を脱出したとしても、その後他の魔人の組織に入ることが出来る保証もない。 裏の世界も一枚岩ではないのだ。フローラに敵対していた魔人組織も少なからず存在する。そんな組織に目を付けられれば、フローラの庇護が無い彼等は片手間で消えるだけの存在でしかないのだ。

 ならば、逆にカインに従っておけば、彼の庇護を得られるのではないか。戯れに殺される可能性さえなければ、カインは最高の庇護してもらえる相手と言えるのではないか。

 そこまで考えた彼等はもう逃げ出そうなどというバカげた発想はもう消し飛んでいた。


「殺された奴らもバカだな……。何も知らなかったとはいえ、あんな相手に喧嘩を売るなんて……」


 この場に残された者達全員が、先程殺された者達を憐れんだ。早まった事をしたものだと、大人しく従っておけば殺されずに済んだのだ、と。

 そして、彼ら全員は改めてカインに従う事を強く誓ったのだった。




目標の10000ptまで到達する為にもこの作品を面白いと思って頂けるなら是非ともブックマーク、評価の方をよろしくお願いいたします!!

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