表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七罪剣と大罪人と呼ばれた少年の反逆譚  作者: YUU
第四章 【節制の騎士】リリア・フォン・シルフィール編
109/128

108 フローラの配下達

今回は無双系の話を書いてみました。無双系も案外書いてて楽しかったです。



前話から皆様のおかげで一気に9000ptを超えました!! 

ありがとうございます。これも皆様のおかげです!!

目標の10000ptまで、残り700ptです!! 今後も応援よろしくお願いいたします!!

 アリシアが教会本部に旅立った翌日、俺は王都内にいた。王都では聖騎士と魔人の激突で発生した被害からの復旧作業が至る所で行われている。


 あの戦いの後、地下水路の建設そのものが裏に魔人の手が及んでいた事、地下水路の存在が魔人の隠れ拠点になっていた事が国に発覚した。

 しかし、その事について調査しようにも地下水路の規模はそれこそ王都全域に及んでいる。更に、内部は完全に迷路のような状態になっているのだ。しかも、国の資料に記されていない通路も数多くある為、本格的な調査団を組んで念入りに調査をしなければならないが、今はそんな余裕はないのだろう。結局、地下水路への入口だけが封鎖され、そこに警備の為の聖騎士が配置されているだけというのが現状で、地下水路そのものは放置されているのだそうだ。

 因みに、地下水路を破壊するという意見は出なかった。まぁ、もし破壊すればどれ程の被害となるか、想像するのは難しくないだろうからだ。


 そして、地下水路への入口は国が所有している資料に記されていない、秘密裏に作られたものも数多く存在する。


「ここ、か」


 俺はとある目的からフローラの記憶から知った、その秘密裏に作られた地下水路への入口、その一つに来ていた。案の定、ここは見つかっていない様で封鎖もされていない。ここからなら地下水路に立ち入ることが出来るだろう。


「行くか……」


 俺はその入口の扉を開け、地下水路内部へと侵入するのであった。




 地下水路の内部に入ってから数時間が経過しようとしていた。だが、目的は今も達成されていない。


「まぁ、そう簡単に見つかる筈も無い、か……」


 今日は諦めて、また明日に探そうかと思い始めた頃だった。道の先の曲がり角の奥から複数人が会話している声が聞こえてきたのだ。


「あのフローラ様が負けるなんて……」

「どうする? このままここに潜んでいてもいずれ見つかるぞ……」

「とりあえず、今は息を潜めよう。連中もこの地下水路の全容は把握していない筈。脱出できるチャンスを待つ」

「だが、脱出したとしてそれからどうするつもりだ?」

「他の国に逃げ込んでそこで再起をかける。或いは、他の魔人の組織に俺達を売り込むんだ。そうすればまだ…………」


 やっと見つけた。逃げ込むなら、ここしかないだろうとは思っていた。声からして十数人は居るだろう。

 先程の会話から分かる通り、この奥にいるのはフローラの配下の魔人、その生き残りだ。そして、彼等こそ俺が地下水路まで来て探していた者達でもある。

 目的の者達を見つけた俺はそのまま目の前の曲がり角を進んだ。そして、その奥には十数人の男女が集まり、今後の相談をしていた。


「見つけた。思った通りだ」

「「「「「っ!?」」」」」


 俺の言葉で魔人達全員の視線が此方に向いた。そして、全員が揃って驚きの表情を浮かべている。まさか、このタイミングで人が来るとは思っていなかったのだろう。


「っ、誰だっ!?」

「くそっ、まさか聖騎士か!?」

「何っ!? 調査はまだ始まっていないんじゃなかったのかよ!?」


 まさか聖騎士に間違われるとは思わなかった。俺はその聖騎士とは真逆の存在だというのに……。

 直後、俺の姿を見た魔人達の一人が覚悟を決めたような表情を浮かべる。


「……見つかった以上やるしかない」

「おいっ、ここで騒ぎを起こせば……」

「分かってる!! だが、見つかった以上、殺すしかない!! それに聖騎士一人程度だったらさっさと殺して、奥に逃げればいい!! ただの聖騎士一人程度なら全員で仕掛ければ一瞬で終わる、そうだろう!?」


 その言葉に納得したのか、他の魔人達も次々と覚悟を決めたような表情へと変わる。


「お前ら、行くぞっ」


 そして、この場にいる魔人達の半数以上が、殆ど同時に魔力を解放した。普通の聖騎士ならこれだけの人数の魔人を対処するだけでも聖騎士部隊を数個単位で用意しなければならないだろう。

 だが、この魔人達から感じる魔力は今迄出会って来た魔人の中でも相当な低さだった。今の俺には全く脅威に感じられなかった。

 昔、まだ七罪剣を手に入れる前の俺なら、この男程度でもその存在が恐ろしく感じただろう。だが今となってはそれこそ羽虫の様なもの程度にしか感じられなくなっていた。

 魔人達は次々と自分の魔器を具現化していくが、それでもこの魔人達を全く脅威に感じる事は無い。


「…………」


 本来の目的とは少しずれてしまうが、抵抗するなら丁度良い。それに俺も試したいことがあるのだ。これらを試すのなら魔人を相手にするのが一番丁度良いだろう。多少、数が減るが誤差の範囲だ。


「くらいやがれっ」


 その直後、一番手前にいた魔剣を持っている魔人の男が俺の方に斬りかかってきた。だが、俺は剣を振り上げる男の懐に飛び込み、そのまま七罪剣を具現化する。


「なにっ!?」


 何も持っていなかった手に突如として黒い剣が現れた驚きからか、或いは、七罪剣の魔力を感じたからか、男の動きが一瞬だけ硬直した。その隙を逃すはずがない。俺はそのまま男に目掛けて七罪剣を突き刺した。


「喰らえ」


 男に七罪剣を突き刺した直後、俺の呟きに反応した七罪剣から『喰らう影』が溢れ出し、そのまま『喰らう影』は男の体を包み込んでいく。そしてその影は男の体を喰らう様に侵食していく。


「なん、だ、これは。やめろ、やめろ俺を喰うな、やめ、やめてくれえええええええええええええ!!!!」


 そして、男の体はは叫びながらまるで影に喰われるように消えていった。同時にその影も一気に霧散し消滅した。


「なっ……」


 そんな声を漏らすのは、今の光景の一部始終を見ていた者達だった。先程喰われた男の様な末路が自分達にも襲ってくるかもしれないと一瞬、考えてしまったのだろう。だが、呆けている暇はない。改めて俺は次の攻撃に入る。

 俺もガイウスやアリシア、そしてフローラとの戦いを経て、魔力の扱い方というのも少しずつだが理解してきた。この戦いはそれを実践できる絶好の機会だった。


 まだ、試してみたいものがある。俺はフローラから奪った双罪槍斧を具現化した。そして、俺の持つ力の内二つを合わせて、それを魔人の一人を対象として放った。


「『徴奪』しろ!!」


 七罪剣の【強欲】と双罪槍斧の【傲慢】、『奪う』力と『徴収』する力、その二つは似た物だ。ならその二つを合わせれば、相乗効果で双方の力を高めることが出来るのではないか、そう考えたのだ。

 そして編み出したのが、この技、『徴奪』だった。これを更に発展させれば、もっと色々と応用がききそうな技になりそうだ。

 試しに奪うのは対象の魔力だ。そして魔力が無くなれば今度は生命力を『徴奪』する。


「これは、まさか俺の魔力が!? やめろ、俺から奪うなっ、やめろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


 そして、『徴奪』によって魔力を全て奪われた男は、その生命力まで奪われ最終的に干乾びたミイラの様に皮と骨だけになった後、バタリと地面に倒れ込んだ。


「さて、続けようか」


 まだ試したい事はある。それにこの連中はフローラの配下達だった者達だ。彼女に従って悪事を働いてきたのだろう。それに聖騎士に捕まれば問答無用で死罪になる連中だ。そんな連中を殺した所で俺の心は全く痛まなかった。


 ある者は影獣に喰われ、ある者は『徴奪』によって魔力、そして生命力を奪われた。またある者は試しに具現化してみた小型の影龍に全身を丸ごと喰われ、またある者は『影落槍』によって体に無数の槍が突き刺さっていた。


 結局、抵抗する間もなくこの場にいた魔人の半数以上が死んでいた。その全ての者に共通しているのは、誰もが無残な最期を迎えたという事だけだった。

目標の10000ptまで到達する為にもこの作品を面白いと思って頂けるなら是非ともブックマーク、評価の方をよろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ