100 第三章エピローグ 後編
祝!! 第三章完結&100話達成!!
脱出している間に俺はフローラから奪った記憶を整理していた。そして、その記憶にはこの戦いで残されていた謎の答えがあった。
まず、あの時何故フローラに【色欲】の力が効かなかったのか。それはある意味単純な事だった。そもそも、あのフローラは神代には【色欲の魔王】の眷族であったのだ。そして、彼女が持っていた魔器も【色欲】の眷族らしく、精神操作や精神支配に特化していた。だからこそ、同じ力を持った俺の【色欲】の力が無効化されたのだ。
そして、もう一つの謎。【怠惰】と【傲慢】の二つの七罪武具を融合させた双罪槍斧の持つ力だ。
双罪槍斧の力、それは自身の配下、眷族たる魔人からその存在全てを魔力に変換し『徴収』するという力だった。なんというか、らしいと言えばらしい力である。あの時フローラの魔力が桁違いに増えたのはこの力を使ったのだろう。
正直、双罪槍斧の力を知って俺がまず思ったのが完全に宝の持ち腐れであるという事だ。そもそも、俺は眷族たる魔人もいないし、それらを生み出すつもりもない。
因みにフローラの記憶によれば、王都内にいる魔人は全て肉体ごと魔力に変換した為、地上には彼女の眷族の魔人はもう残っていない様だ。
「そう言えば、アリシアに聞きたいんだが。今俺の中にある二つの七罪武具、双罪槍斧だけど、俺が持っていていいのか?」
「ええ、それはお兄様が持っていてください。再封印したとしても今後も今回の様な事が無いとは限りませんので」
普通に考えれば、今回の事態はこの国が滅んでもおかしくは無かった。そして、このような事が一度起きた以上、二度目が無いとは言い切れない。かと言って封印殿に聖騎士を配置するわけにはいかないだろう。自分達が住む場所の地下に七罪武具が眠っているなど、知られる訳にはいかない。情報というのは何処から漏れるか分からない物だからだ。
そして、このような事が起きないようにするために、アリシアは信頼できる相手、つまり俺にこの二つを託すとの事だ。
それに、二つの七罪武具が融合した、この双罪槍斧をクリスチア大聖堂の地下にある封印殿で封印できるかも疑問が残る。
俺の七罪剣も封印殿での封印が不完全だった為、その魔力が漏れ出し奈落となったのだ。なら、双罪槍斧を封印殿で封印したとしても、完全に封印できる保証は無く、奈落の二の舞になる可能性もある。そう考えれば、やはり俺が双罪槍斧を持っているのが適任なのかもしれない。
逆に俺が持っていれば他の魔人に悪用される可能性はほぼゼロといってもいい。だからこそアリシアは俺に託すと言ったのだろう。
そして、あの闘技場から脱出し、地下水路を進み続け、俺達はやっと地上に出ることが出来た。
フローラの記憶通り、王都内に魔人の姿は無いが、それでも至る所に魔人の仕業と思わしき、被害の跡が残っている。
「ここは、クリスチア大聖堂の近くの様ですね……」
「そうか……」
王都の至る所で復興作業が続いている様だが、今の俺達は精根尽き果てて、それどころではない。周囲に気を回している余裕も無かった。
今は屋敷に戻ってゆっくり休みたかった。そうしなければ、今にも倒れてしまいそうな程、気力も体力もボロボロになっていたのだ。
「屋敷に帰ろう、もう疲れた……」
「ええ……、少し休息が欲しいです……」
復興作業中の面々には失礼だが、それでも今回の黒幕であるフローラを討つために単身で乗り込み、そして打倒したのだ。これぐらいは役得というものだろう。
そして、俺達は復興作業を進めている人々を横目に、今回の戦いでどちらも死ぬことなく生き残れた幸運に感謝しながら屋敷に向かって歩み出した。
だが、この時は知らなかった。俺にとっての輝かしい思い出、俺にとっての初恋、その再会がすぐそこまで近づいているという事を。
これにて第三章は終了です。
今章も楽しんでいただけたでしょうか? 面白いと思って頂けたのなら幸いです!!
因みに、明日か明後日には活動報告に今章の所感を上げる予定になっております。
是非、ご覧ください!!
その後は第四章に入りたいと思っております。どうか今後も応援よろしくお願いいたします!!
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