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神の代行者 〜Peace illusion〜  作者: 伊東 晶
高校生活1
17/56

第一話

 投稿が遅くなってしまい申し訳ありません。

 夏の天敵と戦っていたり、あるゲームの夏イベやったりで小説まで手が回りませんでしたm(__)m


「は〜、やっと終わった………」


 入学式が終わり、教室に戻ってきて一言目がこれである。

 いかにレストアがこういった儀式を嫌っているかがよくわかる台詞だろう。


「はぁ、だらしない」


 ルティアがレストアを窘める。

 そして、それを見て他の四人が苦笑するのが、今回含めいつもの流れだ。


 レストア達のクラスは5つある中で最も優秀な、Sクラスであった。

 A、Bクラスが5パーティ、C、Dクラスが6パーティなのに対し、Sクラスは3パーティしか入れない。入れただけで非常に優秀であることが証明できる。

 ちなみに、優秀というのはあくまで闘技に限った成績であり、座学の成績は加味されていない。


「こんな姿見られたら、クラスメイトになんて思われるか……」


「流石に気にしすぎよ、ルティア」


 後のことを心配しすぎているルティアを宥めるセリファ。

 レストアとてルティアの気持ちはわかるのだが、どうにもこういった式は苦手で苦手で仕方がない。

 すまない、と心の中で平謝りするしかなかった。


「おっと、そろそろ先生がおいでなすった」


「じゃあ、席に着きましょうか」


 程なくして、担任の先生が教室に入ってきた。


「お、全員席についているようだな。では、改めて入学おめでとう。俺はこのクラスの担任のファルガ=ソーサーだ。担当教科は闘技の魔術だ。特に二年生の二学期までは俺が担当になるだろう。そちらでもよろしく頼む」


 担任の先生の簡易的な自己紹介が終わる。

 大体40代くらいの先生だ。軍でもまだ現役でやっていけるだろう。


「さて、今日の日程はお前たちの自己紹介と週明けの日程連絡だ。……そうだな、ここは入試首席のパーティから自己紹介してもらおうか」


 ファルガの視線がレストア達に向く。

 パーティメンバーは一斉にセリファを見、セリファが諦めたように席を立つ。


「一応このパーティのリーダーをしています、セリファ=ウルキュラスです。……はい、ウルキュラス公爵家の生まれですから公爵です。でも、普通に友人と接する感じで、変に固くならないでくださいね……?よろしくお願いします」


 セリファが自己紹介を終えて席に座ると、右隣の席に座っているレストアがクックックと笑っていた。

 セリファは睨みつけたが、レストアはさらりと受け流し、自己紹介のために立ちあがる。


「えっと、レストア=エスパーダです。セリファと二人でパーティリーダーをしてます。よろしくお願いします」


 レストアが無難な自己紹介をする。

 その後、ルティア、ジャン、リオ、サシュラルと続く。


「ルティア=エスパーダです。リア……レストアとは双子で妹です。なんだかんだで面倒な兄なので、苦情があったら私に言ってください。しっかり叱っておきますから。よろしくお願いします」


「いらねぇこと言いやがって……」


 レストアが思わず呟く。

 それを聞いたルティアは、ニヤリとイタズラな笑みを浮かべた。


「ジャン=オスクロです。よろしく」


「リオ=クラウドです。よろしくお願いします」


「サシュラル=ファル=ルチアーナです。天使族(アンジュ)ですけど、皆さんと仲良くできると嬉しいです。よろしくお願いします」


「よし、じゃあ次はお前たちのパーティだ」


 レストア達の自己紹介が終わり、ファルガが次のパーティへ振る。

 そのパーティのリーダーであろう、小柄な少女が立ち上がる。


「キリカ・アストリアです。皆さんと切磋琢磨していきたいです。よろしくお願いします」


 キリカは明るい藤色の長髪に黄色の瞳の小柄な少女だ。しかし、その小柄な体でもリーダーとしての風格があり、Sクラスに選ばれた実力を感じられる。


「アルベルト・ステラ。よろしく」


 アルベルトは紅髪に漆黒の瞳のガッシリした男子だ。肉付きもよく、レストア以上ジャン未満といったあたりだ。簡素な自己紹介だったので、口数の少ないのだろうか。


「……あの二人、相当の手練だな」


 レストアが思わずといった様子でつぶやく。


「確かに、あの二人は特に風格あるわね。私たちとあまり実力は変わらなさそうね」


 セリファもレストアに同意する。


 確かに、キリカとアルベルトからはこのクラスでも特に強者の風格が感じ取れる。

 実際、彼女たちの中等学院時代の闘技の成績は常にS。ジャンとリオはそのときそのときでSだったりAだったりなので、純粋な実力なら上になるだろう。


「俺より強そうな感はあるな」


「ジャンに同意」


 ジャンとリオは直感で彼女たちに劣っていることを自覚する。やはり、一定の力量を持つ者ならば、なんとなくでもわかるのだろう。


「とはいえ、サーシャが本気でやり合える相手がいないのがな……」


「ま、まぁ、私のような人間以外がいる事は少ないですから、仕方ないですよ」


 同情するレストアに、サシュラルは苦笑しながら返す。


 レストア達が話している間にクラスの自己紹介は終わっていた。

 話しながらではあるが、名前はしっかり聞いていたので問題はほとんどない。


「それじゃ、日程連絡に移るぞ。四時限目まで闘技、午後は学院巡りだ。詳細は週明けに話す。以上だ」


 ファルガの話が終わり、全員で礼をしてこの日は解散になる。


「さ〜て、さっさと帰るか」


「あ、ちょっといいかしら?」


「ん?」


 声を掛けられたレストアが振り向くと、そこにはキリカがいた。


「あなたがエスパーダ君よね?ちょっとだけ話がしたかったんだけど…」


「あ、レストアでいいよ。じゃないとルティアと被るし。んで、話って?」


 帰ろうとは言ったが、何か用事があるわけでは無いので話を聞くことにするレストア。


「じゃあ、レストアって呼ばせてもらうわ。そこまで重要な話じゃないんだけど、先の戦争で、父さんがあなたのことを話していたから」


「へ〜。ま、待機命令無視して突撃したんだし、それも当然か」


 レストアには思い当たる節があるので、そのことを噂されたのだろうと予想した。


 あのときはリティエルが事情を察したため罰は受けなかったが、他の者であれば話は違っていただろう。


 しかし、レストアの予想は外れていた。


「ああ、そうじゃないの。『初日の戦闘で、まだ中学生の男子が敵軍に単独突撃して無傷で戻ってきた。しかも、数人を屠って』って聞いたから」


「あ、そっちね」


「それと、最終日も幻獣使(ファンタジスタ)とその仲間を相手にしながら、翻弄しきっていた、とも言っていたわ」


「まぁ、そっちはセリファ達が頑張ってくれたから出来たんだけどな」


 あの時、セリファ達が注意を引いていなかったらさらに乱戦になっていただろう。そうなれば、無傷で突破するのは不可能だったはずだ。


「それでさ。来週の闘技、多分武術だと思うの。だから、その時あたしと組んでくれないかしら?先生も、他のパーティの人と組め、って言うと思うのよ」


 キリカの提案を受け、レストアはセリファを見る。

 セリファは少しだけ考える素振りを見せると、小さく頷いた。


「ん。許可が出たからいいぜ」


「ありがと、レストア。そしてセリファ……さん」


「ああもう、セリファでいいのにぃ……」


 あからさまに落ち込むセリファ。

 彼女の自己紹介で固くならないで、と言ったとはいえ、彼女の身分が身分なので仕方ない。

 そしてそれを見て、レストアが笑うのも恒例行事になっている。


「じゃ、じゃあ、……セリファ」


「うん、気にしないで」


 キリカが言葉使いを直したことで機嫌を直すセリファ。


「それじゃ、あたしはこれで」


 話が終わり、キリカは自分のパーティに戻っていく。


「そんじゃ、帰りますかね」


「じゃあね、レストア。……休日はどっちか空いてる?」


 レストアがあらためて帰ろうとすると、セリファに呼び止める。おそらく、遊びの誘いだろう。


「ん〜、明後日の午後からなら。明日はルティアと訓練する予定だから」


「わかった。じゃあ、明後日の午後からね」


「おう」


「じゃあね、レイ」


「うん」


 明後日――命ノ日の午後にセリファと遊びの予定を立てる。

 その分、明日の訓練は厳しくなるんだろうな、と若干遠い目をするレストアであった。







 翌日。

 とある平原に、レストアとルティアの姿はあった。

 もちろん、外出届けは出してある。


 二人は共に幻獣を召喚し、その状態で戦闘していた。


「ハァー……ハァー……」


「やっぱり長期戦は厳しいみたいだね、兄さん」


 息を切らしているのは、なんとレストアだった。

 中等学院最後の闘技の授業の時とは、完全に真逆の展開である。


「ハァー…、やっぱ……、幻獣との意思…ハァー…、疎通も集中し、ねぇといけねぇから、ハァ、厳しいな」


「それは練度の問題だから仕方ないよ。私だって、最初は今の兄さんと同じだったし」


 レストアが言っていたのは、幻獣使としての練度を上げる訓練であった。


 幻獣使同士の戦闘の場合、練度が高い者が優勢になる。

 それは、幻獣との意思疎通がどこまで上手くできるかが鍵になるからである。


 人間と幻獣が別々に戦う場合、幻獣は自分の意思ではほとんど動かない。基本的に人間の指示を待つからだ。

 そのため、人間側が指示を出さなければ幻獣は敵の攻撃で簡単に倒されてしまう。

 そこで重要になるのが互いの意思疎通だ。

 幻獣は自分の意思で動くことは少ないが、意思は持っている。

 その意思に人間側が肯定や否定などをすることによって、幻獣は初めてアクションを起こす。


 しかし、これにはとてつもない集中力が必要となる。

 そのため、練度が低いと意思疎通に集中しすぎてしまい、目の前のことにすら対応できなくなってしまう。また、人間側の負荷もかなり大きい。


 そのため今のレストアの場合、ルティアとは短期に決着をつけるしかほぼ勝機はない。

 だが、それでは訓練の意味がないので、あえて長期戦をしているのだ。


「それで、どうする?一旦休憩?」


「……いや、もう少しやる」


「そ。わかった」


 ルティアはレストアの体力を心配して休憩を提案するが、レストアは続ける意思を見せる。

 ルティアは軽く返事をすると、長剣を構え直す。


「でも、限界ギリギリまでやっちゃうと明日動けなくなるからね?」


「わかってる。その辺は大丈夫だよ」


 レストアも刀剣を構え直し、幻獣との意思疎通を再開するために集中する。


「じゃあ行くよ?兄さん」


「おう!」


 まずは二人の剣技の応酬。

 ルティアがあまり踏み込んで攻撃をしてこないため、レストアは戦法を活かせず、削り合いになってしまう。


 そして、幻獣も戦闘を始める。

 龍の大振りな一撃を、雷虎は素早さを活かしたステップで回避。隙を晒した龍に右前脚の鉤爪を振るう。

 龍は氷の術式で防ぐと、赤黒いエネルギーが迸るブレスを浴びせる。

 雷虎は躱しきれずにブレスを食らう。しかし、ブレスで動きの止まった龍に凄まじい落雷を食らわせる。


「かなり良くなってきてるけど、まだまだだよ……!」


「……!」


 幻獣同士の戦いは中々のものだったが、その分、レストアの動きは鈍い。

 ルティアはそれを見逃さず、雷を纏った脚でレストアの腹部を蹴り飛ばす。同時にレストアの剣を左手から弾き上げる。


「どうする?」


「………」


 無防備になったレストアに剣を突きつけ、問うルティア。

 しかし、レストアはルティアの問いには答えない。


 その時。


 龍は一瞬、力を溜め、


「GOAAAAAAAAAAAAAA!!」


 咆哮と共に開放した。


「くぅ…………!」


 咆哮を食らったルティアは思わず耳を塞ぐ。


 その咆哮が止んだとき、既に雷虎は消えていた。


「え……?」


「……何が起きた……?あの咆哮で……」


 雷虎が消えただけではない。


 辺り一面の風景すら変貌していた。


 先程まで至って普通の平原であった。

 しかし、今では一部が地割れを起こしたり、地面が抉り取られていたり、小さな湖になっていたり、森林ができたりしていた。


「これも……『時空操作』の力か……?」


 レストアにも、今起こった現象は理解できない。

 唯一、理解できているのは、この現象を起こした龍だけだろう。


「多分……ね。おそらく、力が暴走したのかも……」


「なるほどね……」


 龍も既に消えている。

 自身すら滅ぼしてしまう一撃。暴走の以外考えられなかった。


「とりあえず、今日はここまでにしよう。もう一回召喚できる魔力も集中力も残ってないし」


「そうだな。明日も予定あるし、動けなって予定放棄したら、セリファに何言われるかわかんねぇしな」


 結局、考えることは後にして転移術式を練るレストア。


 寮に戻ったあとに二人で考えてはみたが、結局答えは見つからなかった。

 今わかっていることは、龍の咆哮によって『時空操作』の影響を受けたであろう、ということだけだ。

 命ノ日とは、こちらでいう日曜日です。

 かなり設定がごちゃごちゃしていてわかりにくいと思います。

 現在可能な限りの設定を公開する資料館的なものを別枠で上げるつもりなので、気長におまちください。

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