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神の代行者 〜Peace illusion〜  作者: 伊東 晶
戦火の予兆
1/56

プロローグ

「レストアくん、あっちであそぼ〜?」


「………」


 まだ4、5歳ほどの女児が、同じくらいの男児を遊びに誘う。しかしレストアと呼ばれた男児は、何かを注視しており、女児の言葉が耳に入っていない。


「レストアくん?」


「………」


「なぁ、もうおれたちだけであそぼうよ」


「そ、そうだね……」


 そう言って、女児は新しくきた男児と一緒にみんなが遊んでいるほうに走っていってしまった。


「………」


 だが、レストアは険しい表情をしながら、前方数メートル先にいる男性、もとい先生を注視している。よく見ると、先生は広場の隅に屈んでコソコソと何かをしている最中であった。


 「ーーーー」


 先生は何かをつぶやいたようだが、レストアの耳には届かない。しかし、先生が纏う雰囲気は、レストアにとって邪悪に感じるものであった。

 そう、レストアの感は当たっていた。なぜなら、その男が右手にもっているものは………


「………!!」


 しかし、男はレストアが見ていることに気づいてしまった。右手に持った何らかのスイッチを、一瞬躊躇いながらも押しきってしまう。


 レストアの目に映る男は、先程までは『黒』に染まっていたがスイッチを押す瞬間、『無色』になる。


 レストアの中でうるさいほどに危険信号鳴り始め、咄嗟に右手を前に出す。自分がいつも感じている何かを集めるように意識を集中させる。すると、自分の前に壁のようなものが形成される。

 それが形成されると同時に、思わず目をつぶってしまうほどの眩い閃光が撒き散らされる。それとほぼ同時に赤い、高熱を帯びた突風がその建物、もとい幼稚園を内部からメチャクチャに吹き飛ばす。


『!?』


 もとからその男を警戒していたレストア以外、誰一人としてその現象に反応することはできなかった。


「…………ぅ……ぅっ」


 どれくらい経っただろうか、レストアはかろうじて意識を取り戻した。なんとか立ち上がろうと、うつ伏せになった体を起こすため両手を床に着こうとする。しかし、


「あれ……?」


 何故か手を着こうとしても、右側に向かって倒れてしまう。何度か繰り返すが、結果は同じであった。

 そして、右腕がある右肩やや下あたりに視線を向ける。しかし、そこにある光景は信じられないものであった。


「は……?……え……」


 なぜならレストアの右腕は、右肩から下に数センチ程度残すのみで、肘や手首、手は無くなっていたのだから。


「な……え……ど……」


 レストアは何かを言おうとするが、言葉にならない。それから数分が経ち、


「…………はぁ」


 レストアは深めに息を吐くと、何とか落ち着きを取り戻し立ち上がり、自分の状態を確認する。

 右腕を失った以外は特に何もなかったが、どうにも左の視界がぼやけている。


 ぼやける視界のまま周りの状況を確認するが、これまた信じられない光景であった。


 辺り一面、火の海と化していたのである。さらには、燃え続けている瓦礫に覆われており、ここから1人で抜け出すのは、幼児どころか大人にもほぼ不可能であった。


「は……はは………」


 レストアは狂ったように、声にならない笑いを上げる。


「………ス………ロス!!」


 かすれた声でレストアは叫び、意識を手放すのであった。


 視界が暗転する直前、どこからともなく現れた少女が、悲しげな表情で自分を見ているように感じたのは、気のせいだったのだろうか。



 この日起きた爆破事件は、この幼稚園のみならず、初・中・高等学院や病院、村や街の役所など、合計十数ヶ所に及んだ。また、死傷者の数は、1000人を超えたという。

 この事件がきっかけとなり、後に十年以上続くことになる大戦争を引き起こし、この世界を混乱の渦に巻き込むことになるのであった。

 初投稿です。

 いろいろと至らない部分があるとは思いますが、コメント等での指摘など、温かい目で見守っていただけると幸いです。

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