γ王女ですが民に 共通①
――人類が荒廃した地球を捨て、科学者の作った新たな宇宙ミーゲンヴェルドへ移り住んだ時代。
月を模した恒星ミューンには帝国が築かれ、魔法の力は星人の生活に当たり前に存在した。
「プリンセス・リセリム!」
家庭教師の声が室内を抜け廊下まで響く。
「え!?」
授業内容は旧宇宙の歴史、なぜ地球が滅んだかという問いである。
リセリムは人類が武器を用いて戦いを続けた結果だとタブレッティオに記した。
間違えてはいない筈なのになぜ自分が怒られているのか検討もつかない様子で目をしばたたかせる。
「これではあまりに簡潔すぎます!」
彼女が怒っている理由をリセリムは考える。
「はいミセス・ルエリア。つまりは何故人類が争いを止めずにそうなったのか、過程も書かなければならない。とおっしゃりたいのですね?」
リセリムの的を射た質問に、家庭教師ルエリアは冷静になった。
「ええ、そうです……貴女は何れ王位を継がれ、このミューンの女王となられるのですから。そのような独力早決では民がついて行けません」
独力早決は敵対する星のカラグアの言葉。意味は自分一人で突っ走り、周りを置いていく事。
彼等はミーゲンヴェルド宇宙の旧ワコクの領民。集団行動が好きでやたら群れる性質がある。






