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どうわしゅう

作者: 夜桜。

~はくぎんのおとめ~


 昔々、この州で小さな国にお金持ちのおじょうさまがいました。おじょうさまは目を包帯でかくしていました。おじょうさまは真っ白なしつじをいつも連れていました。

 おじょうさまの髪はきれいなあいいろでした。


 ある時、おじょうさまに仕えていたメイドがおじょうさまとしつじにおそいかかりました。それに気づいた国のへいしもおそいかかりました。そのせいでおじょうさまのお父さんの友達はなくなってしまいました。おじょうさまはとってもとっても悲しくて包帯を取り、そのきれいなアメジストのようなひとみから大粒の涙をこぼしました。その涙は宝石になっておじょうさまの周りにポトポトと落ちました。大きな傷をおったしつじはとても小さな息でこういいました。


「おじょうさま、生きててください。私の……」


「私の……?私のなんだったの!?やだ、いかないで!」


 そう言いのこし、しつじもなくなってしまいました。おじょうさまはしつじが手ににぎっていた小さなほうせきをつかみ、のみこみました。するとおじょうさまのあいいろの髪は白にとても近いあいいろになりました。

 おじょうさまはそれから『はくぎんのおとめ』とひそかによばれていきました。



~ちいさなおひめさま~


 昔々、小さな国をおさめるおひめさまがいました。おひめさまは自分の思いどおりに動かない人をころしていきました。お城に仕える人たちはそれを見ているしかなかったのです。おひめさまにさからえば自分もやられる……と。

 ある時、小さな国に近い、国から後にゆうしゃと呼ばれる3人組があらわれました。その3人組のひとり、めしつかいの女の子がおひめさまにはんこうしました。それを見ていた人たちは女の子がころされると思いました。ですが、女の子が言うことにおひめさまはだんだんと泣いてしまいました。


「わらわは……父様と母様のようになりたかった……なのに」


 おひめさまはおひめさまのお母さんやお父さんのような強くてやさしい人になりなかった。だけど、どこかでそれが(ゆが)んであんなことになってしまったそうです。


「なら、罪は生きて(つぐな)ってもらおう。すぐ殺しちゃ駄目よ」


「うん、……うん。分かった」


 そうして、おひめさまはつみをつぐなわせるようになりました。 そして、女の子達にめずらしい石をあげました。



~くろのこくはく~


 昔々、とっても昔、あくまはやみの中、かんがえていました。にんげんはどんどん増えていて、あくま、まぞく、てんしだけのセカイは消えた。あくまはそれにこころを痛めていた。

 あくまは無垢な女がけがれてうみだした、"つみ"をつかって昔のセカイをもう一度つくろうとおもった。だけれども、それにはもうひとつの"つみ"がひつようだった。もうひとつの"つみ"はなんどもなんどもこのセカイへたんじょうした。なにもおぼえていない無垢なじょうたいで。

 あくまはその無垢なるヒトをりようしようとしました。

 あくまはある人に仕えた。その人は他の国でなくなってしまった。だけどもその人に子供がいたから、子供に仕えた。ある人の友達にはあの無垢なるヒトがいた。ある人がなくなった後もヒトはやってきた。ヒトは"つみ"を探していた。あくまのもくてきと同じだったヒトは自分の知らないところであくまにりようされていました。

 ある時、あくまは子供をうらぎり、大きなさくらのある森へにげましたが、なんねんも仕えた子供をうらぎるのはむずかしかったのです。あくまは子供とそのしつじとたいけつしました。途中でへいしがらんにゅうしてきましたが、あくまはへいしをけちらしました。

 そして、たいけつのけっか、あくまは負けました。だけども、ほとんど不死のあくまは生きていました。それでも、あくまがおったダメージはひどくて治すのにとてもじかんがかかりました。あくまはのこっている少しの力をつかってしつじをたおしました。


「これで……私を倒したと思わないで頂戴(ちょうだい)


 そう言いのこしてあくまは消えました。これでセカイをかえようとするあくまは消えたのです。



~くろのしょうめつ~


 昔々、消えたはずのあくまはゆっくり、ゆっくりとその力を戻しました。そして小さな国の近くにある国のしつじになりました。

 あくまは己のやぼうを周りの人に気づかれないように着々とまた他の人をりようしようとしました。めしつかいをゆうしゃに仕立てあげ、旅をさせて"つみ"をさがさせました。

 "つみ"が見つかりそうになった時、仕えていた夫妻をころしました。そして、"つみ"をうばいとろうとしましたが、無垢なるヒトにぼうがいされて、あくまは今度こそしょうめつしそうになりました。あくまは、さいごの悪あがきに無垢なるヒトをころしました。


「無垢なるヒトよ、お前の魂は後……」


 大きな代償と引き換えにあくまはしょうめつし、セカイから消えました。めでたし、めでたし。



~ぎんゆうしじんのなげき~


 昔々、セカイにまほうがあふれてから数年後。ゆうめいなぎんゆうしじんの娘はなげいていました。


「世界は何故、平和じゃなく不可解な謎に満ち溢れているのか」


 娘は両親のさいのうをうけつぎ、とてもよいぎんゆうしじんになりました。娘は、セカイにあるふかかいなナゾをとこうと旅に出ました。娘はそこで昔にあったたくさんのできごとを唄に変えて人びとに伝えました。

 その唄はずっと唄われています。

 そして、娘のおかげで今までなぞだったことも分かって娘はほめたたえられました。娘はこんなことをいいました。


「私がこんなに唄を創れたのは私と関わった全ての人達のおかげです。ありがとうございます」


 そうして、娘はもっともっと唄をつくりましたとさ。めでたし、めでたし。



~てんしのくのう~


 大切な人を失ったひきかえにてにいれたふろうふしの力は娘をとてもひまにさせました。とてつもなくゆうきゅうのじかん、娘は自分がたいけんしたことを本にする事にしました。それは娘のひまつぶしにもなり、また自分の生きたあかしにもなりました。ですが、いやなことまでおもいだして、娘に同じきずをまたつくってしまったのです。

 娘はくのうする中、かんがえました。このまま書きつづけるかそれとも止めるか……。


「でも、この本で世界の謎が解けるのなら……」


 なやんだ末に娘は書きつづけることをえらびました。

 その本がいつかだれかの役にたつことをねがって……。



~みどりのむすめがうけついだモノ~


 昔、あるところに『ギルド』と呼ばれるしせつがありました。はんざいにならないことならだいたい引き受けるいわゆるべんりやでした。そのギルドのマスターは緑のかみの毛の娘でした。緑の娘はふそくしてしまったなかまをさがすことにしました。

 まず、もしものときにたたかってくれる『まどうし』や『けんし』をさがすことにしました。

 緑の娘は小さな国で白っぽいかみを持つ少女と出会いました。しょうじょはひまつぶしになるのならと緑の娘のなかまになることになりました。

 つぎに北のさむい所でぎんいろあかめの青年に出会いました。せいねんはけんを持ち、自らを守れるところをさがしていたようです。娘は「貴方の素性がどうだったとしてもいい。私はギルドの仲間を探しているの。貴方の力を貸して下さい」と頼みました。するとせいねんは「完全には信じれないが、俺の素性を聞かないっていうのは有り難い」といい、なかまになりました。

 そんなこんなでなかまがふえてきたころ。ギルドの近くのかいどうで人がたおれているのを娘が見つけました。その人は自分の事を全くおぼえてなくて、どこかちがう所から来たようでした。娘はその人をギルドにつれてかえりました。そして、しつもんをしているとその人はめずらしいまほうがつかえることが分かりました。

 ギルドのメンバーはこの人は、どこからかにげてきたののかもしれないし、なにかあったのかもしれない。つまり、わけありなんだと思いました。ですがギルドメンバーたちもわけありな人ばかりなのでその人をむかえいれることにしました。



~あかむらさきのおんな~


 昔々、そのまた昔、この先の事を予知でき、全てを見通し、そして、覚える事が出来たという女がいました。女の目はきれいな赤紫色でした。女はいつしかバケモノと呼ばれるようになり、山にこもっていました。ですが、女はそれ力をつかって、自分の身におこる厄災を全てさけてきました。あるとき、女はある男に恋をしました。だけども、自分はバケモノ。ヒトである男と結ばれることなんて出来ないのです。

 ですが、じつは男もおとぎ話で聞いたことのある女にひかれました。二人はあいしあい、そしてめでたく結ばれることとなりました。

 そして、子どもを産みました。女にとってその時が一番幸せだったのでしょう。ですが、女はバケモノ。男と子どもはヒト。ですから、女より早くみなとしおいて、たびだちました。男や子どもも例外ではなく、たびだちました。それを女は深く悲しんで、また山にこもりました。

 その山は急でとても高い山だったので、蛇高山(じゃこうざん)と呼ばれるようになりました。未だにその女が時々姿を現すとか。

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