ゾンビ・パニック
そろそろスジモンの印象も薄れただろ。(*´∀`*)
「ネタ帳って、後から見ると意味不明な事が多いじゃないですか」
とある日の放課後、いつもの如く、サラダ倶楽部の部室で後輩が唐突に語り始めた。
「そんなもん書いた事ねーから知らんが、まあそういうもんだろうな」
多分、眠気に襲われながら書いたノートと同じようなものだ。ミミズの這った後のような字だって、書いた時にはなんらかの意味はあっただろう。
興味の惹かれない内容だからいつもなら無視しているところだが、今日はプレイしているゲームがメンテ中で暇だから相手してやってもいいぞ。
「新作ネタを考えてて、たまたまそういうものを発掘したんですが、これがまたどうしようもない感じで」
「お前の作品は大概どうしようもないが」
「いや、そういう意味でなく」
なら、どういう意味なんだろうか。
今のところ岡本後輩が書いた中で最も評価されているのは、桃太郎の偽装工作作品である『トマトちゃん』だ。メモ帳どころか、正式に多数に向けて公開されたものを見ても意味不明である。そんな意味不明なモノを書く奴のメモ帳ならさぞかし意味不明になるんだろう。
他人からみたら暗号のように見えるに違いない。
「そういう、どうしようもないネタを発掘供養して、レタスセンパイにどうにかしてもらおうというのが本日のお題になります! べべんっ!!」
「ラジオか何かのコーナーだったのか」
いや、別に暇だからいいんだが。部室で岡本と二人になると決まってこんな展開になる気がする。渡辺がいたら、絶対こんな話してこないのに。
誰がいてもとりあえず渡辺第一で、次点でドレッシング、あとは大体横並びで、普段いないキュウリや顧問のパスタには気を使っている感じ。絶対に自分から話しかけにいかないのは天敵のキャベツだ。本当に誰もいないとポテトに話しかけ始める。大人しくするという選択肢は存在しない。
正式な部活でもなんでもないんだから、何も用事がなければ帰るって選択もあるはずなんだが。
「よくあるネタを使って、ちょっと視点をみようというレタスセンパイお得意パターンですね。はい、そ、れ、で、はー、今回はゾンビものです! やったー!」
「ほう、そのテンションに乗る気はないが、B級映画は結構見るほうだぞ」
ゾンビものはツッコミどころが多いほうが好きなタイプだ。なんなら、普通に雑談として映画の論評をしてもいいくらいだ。
ちなみにどう足掻いてもB級という認識なので、深い事に突っ込む気もない。純粋にエンターテイメントとして見る。むしろ、監督の主義主張があると萎えるだろう。
「ちょっと氾濫気味ではありますが、題材としては現在に至るまで様々なアプローチが試みられているジャンルですね」
「パニックものとかホラーじゃなく、ゾンビものってジャンルでカテゴライズされてるくらいだからな。ゾンビに手を出すつもりだったのか?」
昨今におけるサメのようなものだ。ブードゥー教も知名度が上がって満足しているだろう。
「えっと、その当時は多分? 書いてないって事は何かの理由があったんでしょうが」
相談を受けた覚えも会話のネタに出た覚えもないから、面白くするのは不可能と判断したんだろう。そんなネタをここで持ち出されても困るが、ゾンビ自体は俺の好みなので置いておく。
もしも相談を受けていたりしたら、トマトちゃんも桃太郎じゃなくてゾンビが元ネタになっていた可能性もあったという事だ。
「書いてないのは単に難しかったからじゃないか? ここまで作品が氾濫すると、単にゾンビを出すだけじゃ作品の個性に成り得ないしな」
作品が多く存在するジャンルではあるが、独自性、物語の落とし所をつけるつもりならかなり困難な題材である。問題は色々あるが、小説にする場合は映像媒体で演出を使えないというのも大きい。個人的には短編の映画が理想の媒体じゃないかと思う。
「そうなんですよー。メモ帳でも、独自色を出そうとして色々考えている節が見受けられます。私も若かったという事ですね」
岡本が創作の類を始めたのはつい最近……長く見積もっても高校に入ってからのはずなんだが。それ以前はそういうサブカルチャーに触れてもいなかったらしいし。
「で、その若かりし頃の岡本美弓はどういう方向で独自色を出そうとしたんだ?」
「どうやらかつての私は、そこに一石投じるためにゾンビを強化する方向に向かったらしいんです。色々な強化パターンが書き残されていました」
ああ、ゾンビ自体に付加価値を付けて独自性を出す方向か。数が多いだけじゃオリジナリティに欠けるからな。大抵は強くし過ぎてしまってどうしようもなくなるパターンだ。
「ただ、これに勝つ方法を思いつかなかったようで、これが構想段階で放り投げた原因じゃないかと思います。で、レタスセンパイならどう対処するのかなと」
大火力で蹂躙っていうのは如何にもアメリカ的なイメージがあるわけだが、逆に知恵と工夫とトラップでなんとかするっていうのも醍醐味ではある。
どちらにしてもゾンビは物量や不死性を前面に出してくるもので、個々の能力はそこまで怪物じみたものではないという印象が強いだろう。ゾンビらしく強いってのは中々難しいものだ。
「……そうだな。自由な発想で対処する場合、むしろそれが足枷になる事がある。ここは一つ制限的なシチュエーションで対処方法を考えてみよう」
「お、久しぶりにレタスメトリクスの発動ですね。制限……といいますと?」
なんだ、レタスメトリクスって。
「クローズドサークルってわけじゃないが、取れる手が限られていたほうが物語としては進行させやすい。ついでに言えば読者も規模感を想像しやすいだろ」
携帯電話が便利過ぎるから物語の舞台を昭和中期にするようなものだ。
「……なるほどなるほど」
「ついでに言えば相手側の勢力も絞れる。舞台を限定すればとりあえずのオチもつけやすい。世界規模での問題に絡んでたらキリがないだろ」
ゾンビものでは良くとられる手法だ。というか根本的な問題まで踏み込むには難しい題材だからな。
ゾンビが発生した。パニックになった。情報が少ない中で奮闘した。ゾンビの群れを突破してとりあえずの安全地帯にはついた。さて、これからが俺たちの戦いだって感じで。途中でそれっぽい発生原因の情報に触れたりするのもミソだ。
自力で脱出しなくても、奮闘している中で公的組織がヘリで救助に来ましたでもいい。収容に手間取って、主人公が英雄的な行動で時間稼ぎして危機一髪でもオチとしては十分だ。尚、助けに来たヘリがカプコン製の場合は爆発する。
「実際に使える手法じゃないが今回はパイロット版って事で、このサラダ倶楽部に限定してみようか」
「ほうほう」
「舞台はこの学校か、街か、せいぜいそれくらいの規模。初期地はこの部室。初期メンバーは……まあお前でいいや。それともう一人……そこの犬で」
「た、頼りない……」
呼ばれたのが分かったのか、部室の隅で骨のおもちゃを齧っていたポテトがこちらに向いた。吠える事なく寄って来るあたり、頭はいいのが良く分かるが、相変わらず不細工である。
「すでに校内はパニック。ゾンビも大量発生中だ。サラダ倶楽部の面々は校内のどこかにいる」
「確かに、センパイがたなら普通に生き残ってそうですもんね」
「全員そんな感じではあるが、あえていうなら一番死にそうなのは顧問だな」
プライドのない奴なら土下座してでも生き残る意志を見せそうだが、相手はゾンビだ。許してくれるとは思えない。
ひょっとしたら借金を誤魔化せるチャンスと奮闘してしまうかもしれないから絶対ではない。
「つまり、センパイたちと合流しつつ脱出なり籠城戦の舞台を整えると」
「他に救助対象はいてもいいが、まともに動けるのはサラダ倶楽部の連中だけって設定だな。ゲームならプレイアブルキャラだ。ウチの連中なら、そういう時にどういう行動とるか予想がつくだろ?」
以前ここに来た斎藤さんとかはしれっと生き残ってそうなイメージはあるが、彼女の場合はそもそも学校にいなそうだ。いつの間にか安全圏にいそう。
「なるほど、確かに。ちゃんと書くならそのままってわけにはいかないですが、シチュエーションの想像はしやすいかも。転校済のブロッコリーセンパイはどうしましょう?」
「……外部協力者って感じで」
あいつの連絡先など知らんが、何があってもブロッコリーだからで済ませられそう。
そういう意味不明な部分の説得力を持たせるのは難しいから、サラダ倶楽部はあくまでパイロット版。最終的には普通の枠に収めるのだ。
「それにお前ならトマトとポテトしかいない状況より、死地に飛び込んで誰かと合流したほうが安全って判断するだろ」
「言われてみればそんな感じですね。ここで籠城して安全とも思えませんし」
「さて、舞台は整った。生き残るために足掻くのだ、ただのトマトよ」
「おおー! やったるでー!!」
ちなみにこれがトマトちゃんだと普通にゾンビを殲滅してしまう恐れがあるので、あくまで岡本美弓でなければならない。お供に犬はいるが、ワイバーンもコングキングも不在だ。生贄を捧げても召喚されない。
「というわけで設定を積み上げていこうか。まず、ゾンビはどんな感じなんだ? 強いって言ってたが、ロケットランチャーでもぶっ放しても倒せない感じのヤツか?」
「えっと……メモによればモデルはツナセンパイです」
「どうしようもねえ」
のっけから絶体絶命だった。部内で一番生き残りそうな奴が、いきなり敵に回ってるとか。
正直、どれだけ工夫してもどうにもならなそうな相手だ。元々ゾンビみたいな奴だけど、アレにゾンビの特性が追加されたら絶望ってレベルじゃない。立ち向かうのも逃げるのも厳しい。
「あいつの場合、何やってきてもおかしくないからな。むしろ生存するためにあえてゾンビになりましたって言われても納得してしまいそうだ」
ゾンビっていえば基本的に本能だけで動いてるイメージがあるけど、そういうお約束も無視してきそう。
「まあ、その土台を決める前の設定ですし。モデルがセンパイってだけですから、本物は別にいるんでしょう。多分、近くの山の中でサバイバル中とか」
「いや、この際奴はすでにゾンビ化してしまっているという設定でいこう」
「ええー。更に絶望的じゃないですか」
俺もそう思うが、いきなり躓くのもな。あいつがサバイバルに関して万能過ぎるという構成上の欠点もある。あくまで自分限定の万能性だが。
「まあアレは確かに敵に回したら厄介極まる相手だが、ゾンビになってるならもう少し対処しやすく……なってる気がしねえな。ただ、どちらにしても多数の中の一体なら対処方法はある」
多数のモブゾンビに紛れる方法すらとってきそうだが、それでも一体には違いないのだ。
……正直一体だけでも恐怖しかないが、最悪高堀を前面に押し出せば相打ちを狙う事ができるかもしれない。本能に根ざす恐怖心とかで。
「ネタ帳によれば増えるみたいです」
「お前は渡辺をなんだと思ってんだ!」
思わず、視界すべてを覆い尽くす渡辺ゾンビの映像が浮かんでしまった。岡本的に渡辺が増えるのはアリなのかもしれんが、アレを増やすのは人類的に危険なのではなかろうか。
くそ、完全にゾンビのイメージが渡辺に固定されてしまった。
「ああ、そういう無軌道な強化が膨らんで脳内でも対処不能になったと」
「爆発オチでも全滅は厳しそうなんですよね。ツナセンパイの場合、普通に生き残っていつの間にか増えてそうで」
「いや、それ以前の問題として、身内ネタで済ませるんじゃなければ分かり辛過ぎるだろ」
読者は渡辺の事を知らんのだからその説明が必要なわけで、その分テンポが犠牲になるだろう。というか、上手く伝えられる気がしない。外部から見た場合、アレはただの理不尽にしか映らないはずだ。
「さすがに収拾つかないから増殖する渡辺ゾンビはなし。代わりに本物の渡辺も不在でいいから」
「仕方ないですね。それ以外の要素でツナセンパイ級の絶望感を演出する……」
「いや、なんで最上級の絶望を想定するんだよ。ゾンビものなら、適当に一つか二つ要素を追加すれば形にはなるだろ」
「そうですかね?」
「世のゾンビものってそんな感じだろ。今の時代はアレだが、一応走るゾンビだってウリにはなったんだ」
「じゃあ、踊るゾンビとか」
「インド映画になっちまうな」
関係ないが、これだけ作品が氾濫している現代で、インド映画っていうイメージを作り上げたのは純粋にすごいよな。
歌って踊るゾンビは、それはそれで怖いが、間違っても小説にはならないだろう。
「ウサイン・ボルトくらい速かったらウリにはなりそうですね」
「でも一体じゃな。今回の舞台だとそこまでやる必要はないが、いっそオリンピック中に各国の代表がゾンビになりましたとか」
「なるほど、走るゾンビだけでなく、泳ぐゾンビや、砲丸投げするゾンビがオリンピックで競い合うと」
「段々意味分からなくなってきたな」
いつも通りの展開である。なんで競技始めてるんだよ。人間襲えよ。
「じゃあ、レタスセンパイならどんな強化をすればいいと思います?」
「あくまでゾンビって土台ありきでの強化だよな……」
中々難しい。
「とりあえず、一般人に対処できないくらいには強くしたいところだな。良くある手法だと、潜在的なリミッターを無視したパワーを出せるとか」
「でも、あの人たち腐ってますよ。筋肉も腐ってるんじゃないですかね」
「筋肉以外で動いてるとか? 実はアメーバ的な生命体に寄生させてるとか」
「なるほど」
強力な再生力を持つが、自身は寄生対象がないと動けないとか。呪術的なものではなくウィルス型のパターンだ。宇宙人型と言ってもいい。
「でも、あんまり固くしたらゾンビっぽくないから、人間よりも脆いくらいでいいかも。いくらダメージ喰らっても動き続けるけど、バラバラにしたら行動できなくなる感じで」
「それだと時間経過で復活する感じですか」
「そうだな。明確に弱点を決めておくか。ここはそれっぽく熱にしておこうか。体温や気温で死ぬのは馬鹿らしいから、千度くらい?」
「えっと……その弱点は突けるものなんでしょうか」
「火炎放射器の直撃なら?」
「おお、それっぽいですね」
問題は火炎放射器など学校にはないという事なんだが。
「感染経路はどうしましょう?」
「接触感染かな。ウィルス型とはいえ、空気感染だと厳しいだろ。噛みつかれたら完全アウトな感じ」
「ポテトが噛み付くのも駄目って事か……役に立たない」
お前より役に立ちそうな気がしないでもないが。
「増殖目的なら、吐瀉物や血を吐き出してきたりするかも」
「汚い絵面ですね」
「汚いで思い出したが、ああいうのってやっぱり臭いんだよな?」
「そりゃ基本死体ですからね。フローラルな香りを漂わせててもそれはそれで怖いですが」
「だったら、それも武器の一つにするか。超臭いゾンビ」
「ち、近寄りたくない」
増殖目的なら、むしろ向こうから寄ってくるだろう。
「あとは、どうやって外部を認識してるかだな」
「良くあるのが聴覚とかですかね。大きな音に寄っていく感じで」
「聴覚に関係する器官は腐ってないのかって疑問はゾンビだから置いておくとして……それなら音波攻撃ができるってのはどうだ? 雄叫びを上げると耳鳴り、平衡感覚喪失するくらい」
「視覚、嗅覚に加えて聴覚まで攻撃してくると。普通に攻撃してくる次点で触覚もか……味覚まで攻撃してきたら完璧ですね」
「じゃあ、不味いって事で」
「食べませんよっ!?」
ひょっとしたら、人類の主食が増殖するゾンビになる未来が待っていたりするのかもしれない。
「ツナセンパイのゾンビほどじゃないですが、結構強そうな感じになってきましたね」
「とはいえ俺だけの案じゃイマイチ独自性に欠ける感じではあるな。メモ帳に他の強化パターンは書いてないのか?」
「ありますよ。えーとですね……『ソ連兵のように畑で収穫できる』」
「いきなり酷い感じだが、まあアリっちゃありだよな。要はバラバラにされても復活するっていう話だろ?」
「いえ、どうも収穫する時に増えるらしいです」
「え、植物なの?」
腐った状態で発芽するとか、植物としてどうなんだって感じだが……インパクトはあるな。ある意味怖い。
「多分ですけど、そのまま放置したら増えるぞっていう恐怖を演出したかったんじゃないかと」
「ああ、なるほど。ソ連の下りは?」
「ただの比喩だと思います」
ソ連兵が畑から取れるってのは物量で侵略してくる際のイメージではあるが。本当に畑からとれたらただのホラーだ。投降したくないというのも分かる。
「あとはですね、『合体が可能』」
「ああ、そこら辺に落ちてるパーツで亡くなった部分をニコイチ補完可能って事か。確かに強いな」
しかも、畑の下りと同じで放置できない。長期、短期どちらの意味でも。
「それもありますが、追加パーツとして合体できるようです」
「え、腕六本にしたりとか? 機能するなら確かに怖いな」
「ええ、加えて動物ゾンビとか虫ゾンビとか、植物ゾンビも対象らしく」
「ちょっと待て。え、人間だけじゃないの?」
「そうですね。でも犬ゾンビとか良く見ません?」
「それはそうだが……それが合体するのか」
「はい」
意味不明なキメラが出来上がるな。飛んだり、地中に潜ったり、海中で活動したりするゾンビか。
戦わなくても家畜や植物が感染している可能性を考えたらいつ隣の人がゾンビになるかも分からんと。
「……そろそろ十分な気がしてきたが、他にもあるんだろ?」
「はい。『自分の骨や内臓などを武器に使う』」
「骨投げてきたりすんの?」
「他のパーツで修理できるなら有効な武器になりそうですよね。『腸ロープによる捕縛』とか書いてあります」
確かに長いけどさ。接触感染なら、それで感染もするんだよな。かなり有効な武器だ。
「『精神共有していて自己犠牲を厭わないワンフォーオールの精神』」
増える時点で個々の意識があるのはおかしいから群体生物なのはありえそうにしても、正に恐怖の軍団だな。
「『銃などの科学兵器を使う』」
ああ、ここまで来ると使いそうではある。銃はともかく、車がヤバいな。
「『ネットを使って世論操作』してくる」
「タチ悪っ!?」
「『組織的な軍事行動』、『独自の社会構造を持ち、自らの改善・最適化を行い続ける』、『人類側に潜伏する』」
「どうしようもねえな」
そこまで行くと対処方法がない。
「アレだろ? ネット上でゾンビでも話し合えば分かり合えますとか言い出すアホを装うんだろ?」
「ゾンビを殺してもなんとも思わないんですか、とかですね。アカウントハックくらいしてきそうです」
なんとも思わねえよ、そんな化け物。あっという間に一大勢力になって人類駆逐されるわ。
「あー、すでに対応不可能な気がしないでもないが、増える以外で生命体としての全体方針とか持ってたりするのか? 内容によっては話し合う余地があるかもしれん」
「人類の完全抹殺」
「ゲームオーバーです」
滅亡決定。
「ええー、そこを上手い事考えてくださいよー」
「……まあ、学校からの脱出くらいは可能かもしれんな。その先になんの未来もないが」
感染対象が人類だけじゃないなら家畜として生きていくのすら難しい。完全同化する未来しか見えない。核戦争より絶滅必至な状態かもしれない。
何がヤバいって、ネット利用できるのがヤバい。本格的なネガティブキャンペーン組まれただけでアウトだ。
「要するにお蔵入りするには理由があるって事だな。何事もほどほどが良いと」
トマトちゃんなら生き残ってしまいそうだが、その場合でも人類は死滅しているだろう。地球上にトマトちゃん一人が君臨する未来が訪れるだけだ。
初期案だと、これに加えてゾンビが渡辺だったわけだろ? 無理に決まっとるがな。
さっさとゾンビになったほうが幸せかもしれない。(*´∀`*)