魔界は今日も平和
生き……………て……いる………か?
うん、手は動く。足になんか違和感は感じるがまぁ小さいことは気にしない。
倒れているのか。
ただ、周りが真っ暗だ。さっきの爆発で失明したか?
……………あ、目開けてなかったわ。
うん、見える。大丈夫だ、問題ない。
目は今目の前にある魔王城の爆発したあとであろう頂上跡が見えるくらい絶好調だ。
しかしここまで飛ばされたのか。
まぁ結構魔王城古かったし、リフォームするきっかけになったから良かったかな。というかそう考えないと流石に心が折れる。
横には目が消えたシンゲツが転がっている。目立った外傷はない。魔力切れか。まぁ無理もない。あのときは本当にヤバかったからな。
えーと、あん時の状況を整理すると、まず、魔力0の俺がシンゲツを呼び出した理由が、魔力をアイツから貰うためだ。で、微量の魔力を溜め込んだ俺が身体強化の魔法を使って、更にシンゲツを抱え込んでシンゲツごと守ろうとしてここまで吹っ飛ばされた訳だ。
まぁとりあえず戻って魔王城を修復するか。
よっこらせっと、あれ?
立てなかった。よくみると、左足がない。やはりあれじゃ足りなかったか。そしてさっきの違和感はこれか。
マジかよ。瞬間移動も、魔力が今空だからしばらく使えないし。
さて、何をしようか。
眠るか。
何時間寝ただろう。目を開けるとしばらく見なかった、そして懐かしい屋根が見えた。ここは…魔界か。
「兄貴!目が覚めたか!」
俺が寝ているベッドの横には弟のジョウゲンが居た。
「ん?ああ、ジョウゲンか、俺はなぜここにいる?」
「当然治療するからだよ!」
あ、そっか、足吹っ飛んだんだっけ。じゃなくて。
「いやだから何で俺の居場所分かったん?」
「魔物総動員して探したわ!魔界の頂点に立つ兄貴が急に遊びにいくって置き手紙置いてどっか行ったからそりゃ大騒ぎしたわ!」
「落ち着け。じゃあ城の奴等はまだあそこにいるのか?」
「あ、ああ、兄貴の部下の皆さんは魔界にいるよ。城の修理をしてるからそのついで。」
「なんか悪いな、そんなことまでしてもらって。」
「あ、そうだ、なんか王座の近くに黒焦げの物体があったんだけど、あれ何?」
「ああ、とりあえず魔力流し込んどけ。そしたらわかる。」
「なんかわからんけど解った。」
それわかってるのか?ん?そういえば足の違和感が消えてるな。
「で、足はと、もう治ってるのか。」
「魔力で、簡単にくっつくからね。まぁリハビリはいるけど。」
知らんかった。魔力って結構便利なのな。
「そりゃしょうがねぇな。じゃ、リハビリがてら人間界の海って所にでも行ってくるか。」
「おいぃ!こっちは大変だったんだぞ!!こっちの仕事をまず済ませろよ!」
感情が高ぶるとうるさくなるのが、兄でありながらいまだに何故なのかわからない。
「お前、そのうるさくなるの直した方がいいぞ。でもあれだな、どうしようか。ああ、カゲンにでも任しとけばいいだろ、あいつそういうの得意だったろ?」
「ちょっとは自分で仕事を………」
ダッダッダッ
噂をすれば、か。
「呼んだ!?兄さん!」
「………ドアの向こうででも待ってたのか?」
「いや?こっから5キロほど先でふらついてたけど?」
瞬間移動も使わずに数秒で来るとか怖いわ、じゃなくて、俺が言ったカゲンって単語がその距離から聞こえたのが怖いわ。
「ま、まあいいや、数日だけ俺の仕事を任されてくれないか?」
「ハイ喜んでーー!」
「どっかの居酒屋か!?」
「あ、そうだ、さっき居酒屋にもいってきたよ。」
「知らねぇよ!」
「あ、ごめん、まあ兄さんの仕事なら喜んでやるよ。」
「だってよ、これでいいだろ、ジョウゲン。」
「...すぐ戻ってこいよ。こっちだって大変なんだからな。」
「わかってるって。」
「じゃ、行ってくるわ。またいつかな。」
シュン!
やっぱ瞬間移動ってありがたいな。一瞬で城の前まで着いたぞ。
さてと、全員呼ぶか。
『フォン』
「全員聞こえてるか?皆で海に行くぞー!!」
かれこれ二時間説得しました。
「はぁ......説得にこんだけ疲れるとは...」
ムツキは
「サメとかいうやつ!!フルボッコにして食ってやるぜぇ!!」
とか復活直後に言ってるし、第二の部下キサラギは、
「水中...それに魚...興味のあるものばかりだ...!」
とか勉強熱心だし何なのほんとにもう俺の部下。
こうしてハチャメチャな俺らの海遊びが始まった。正直嫌な予感しかしない。
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魔王の部下たち
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1.ムツキ 戦闘の天才
「海だー!サメだー!戦闘だーー!!」
2.キサラギ 策略の天才
「海か...実に興味深い...!」
3.ヤヨイ 究極の人見知り(下手に接すると殺されかねない)兼音楽の天才
「海?!何それ怖い...」
4.ウヅキ 記憶力の天才
「久々に新しいものが覚えられる!」
5.サツキ 絵の天才
「これは...新しい閃きの予感!」
6.ミナヅキ 心理学の天才
「海を見たとき皆がどんな反応をするのか楽しみだわ。」
7.フミヅキ 運動の天才
「水泳か...久しぶりだな。」
8.ハヅキ 治療の天才
「海の水かー、なんかに使えそうな気がするじゃん!」
9.ナガツキ 隠密の天才
「.........!!」
10.カンナヅキ 機械の天才
「水陸両用のロボットを今度作ってみようかしら。」
11.シモツキ 狙撃の天才
「この自分専用に改造した水鉄砲...全員一発で当ててみせるさ...」
12.シワス 想像力の天才
「海は無限大......!」
尚、全員はマンゲツの二時間の説得の後、ジョウゲンの説得により今に至ります。