表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メギドブレイク  作者:
7/10

修行の時間



「グランドリバーでは、ひどい目に遭いました・・・。」

「正直あれはしんどかったわね。」

「でもあの癒法士さん、すごく助かりましたね!」

「まあ、あの人のせいでひどい目に遭ったんだけど・・・。」

「ハヤト、次に目指すのはどこなんだ?」

「そうだね、ここからだとマールの村が近いかな。」

「わーい!宿に泊まれますー!」

「お前は野営でも楽しそうだけどな。」

「当たり前ですよカズさん!私キャンプ大好きですから!」

「それはよかったですねー。」

「なんですか、そのテキトーな返事は!」

「へーへー。」

「もう!」


グランドリバーを無事脱出した四人は一旦マールという小さな村で休憩をとることにした。

じきに日も暮れ、夜行性のモンスターが活発化するためだ。

夜行性のモンスターは他に比べて攻撃力の高い個体も多く、集団で襲われれば熟練のプレイヤーでも苦戦する。


「ここがマールですかー!のどかでいい村ですねぇ。」

「ここならゆっくり休めそうだな。」

「ハヤト、宿を確保しにいきましょう。」

「そうだね。カズとナナは食材を買ってきてくれないか?」

「え?それなら私も・・・」

「さ、ハヤト、さっさといくわよ。」

「ちゃんと行くから引っ張らないで・・・。」

「あ、ハヤトさん・・・。」

「そんなにあからさまにしょぼくれるなよ。」

「カズさん・・・。」

「さ、俺たちは食いモン買いに行くぞ。」

「はい・・・。」

「・・・ったく。ついでにお菓子屋でも行くか?」

「え!?いいんですか!??」

「しょうがない、奢ってやるよ。」

「カズさん大好きです!!!」

「こら、くっつくな。ったく現金な奴め。」



「どうしたんだよ急に引っ張りだして・・・。」

「・・・ちょっと話したいことがあって。」

「ん?どうしたの、改まって。」

「・・・グリモンのこと・・・」

「話すことは何もないよ。」

「・・・でも!」

「簡単な話だよ。あいつは僕らを裏切ってギルドを潰した。ただそれだけだ。」

「だけどグリモンは漆黒に・・・」

「カエデ!」

「!・・・・ごめん。」

「つくづく僕たちは漆黒というギルドに因縁があるみたいだ。」

「『月光蝶の湖』ムーンライト・バタフライ・レイクと呼ばれた私たちのギルド・・・。そしてハヤトの親友であり私の友人でもあったタケル・・・。」

「僕たちはやつらに奪われすぎた。」

「・・・そうね・・・。」

「さ、今はそんなことより宿の確保だ。行こう、カエデ。」

「ええ・・・・。」


本当に強くなったのね・・・。

カエデは小さくこぼした。


「カズさん見てくださいよ!このケーキ!!すっごく可愛いですよ!!」

「はいはい、ちゃんと見てるって。」

「こっちはモンブランだー!うわー!チーズケーキもありますよ!!」

「はいはい、ちゃんと見てるから。」

「えっと、じゃあ、ここからここまでのケーキを10個ずつ・・・」

「それは買いすぎだから!」

「えー!カズさんのけちー!」

「そんなに買っても食いきれないだろ・・・。」

「私ならやれますよ!!」

「やらんでいい。」

「ぶーぶー!」

「そんなに言うなら買ってやらんぞ・・・」

「私、モンブランとイチゴのショートケーキ一個ずつで!!」

「・・・はいはい。」



「うわぁーお姉ちゃん!その格好、もしかして魔法使いなの!?」

「ん?」

「この村の子どもか?」

「そうだよ!マリアっていうの!」

「マリアちゃんかぁ!・・・ふっふっふ、よくわかったね。そう、何を隠そう私が魔女だ!!」

「わぁ!かっこいい!!何か見せて見せて!!」

「では巨大な火の玉を・・・」

「お、お客さん!?」

「こらナナ、店でそんなもん出すな。フラッシュマインドで蝶々でも出してやれ。」

「カズさんって、意外とロマンチスト・・・?」

「うるさいよ。」

「なになに?何か出してくれるの??」

「ふっふっふ・・・見てなさい。」


ナナは詠唱を始める。

マリアは目を輝かせながらナナを見ている。

ナナの詠唱が終わり、周囲に蝶々の形をした光が数個現れた。


「うわあ綺麗!!魔法使いのお姉さんすごーい!!」

「へへっどんなもんだい!」

「すごいすごーい!ねぇねぇ!お兄さんも何か出せるの??」

「え、俺か?」

「うん!!」

「いや俺は・・・そうだな・・・。」

「わくわく!」

「出すってのは無理だが、瞬間移動くらいなら出来るぞ?」

「ほんとう!?やってやって!!」

「よし、よーく見てろよ?」


ひゅんっという音と共にカズがナナの隣から消える。

そしてすぐにマリアのとなりに姿を現した。


「すごい!どうやったの??」

「・・・秘密だ。俺は今忍者の修行中だからな、無闇に教えることは出来ないんだ。」

「そうなんだ・・・しゅぎょうがんばってね!!」

「おう、ありがとうな。」

「マリアー?そろそろ帰るわよー!」

「あ、お母さん!はーい!今行くー!」

「マリアちゃん、またね。」

「うん!お兄ちゃんお姉ちゃん今日はありがとう!!またねー!!」

「ばいばーい!」


マリアは母親の元へ駆け寄り、もう一度カズとナナに手を振ってから帰っていった。


「可愛い女の子でしたね!」

「そうだな。」

「カズさんって意外に思いやりあるんですね!」

「なんだよ意外にって。」

「いやぁ、なんかカズさんって子ども苦手そうなイメージだったんで。」

「子どもは嫌いじゃないぞ、むしろ好きな方だ。」

「カズさんがそれ言うとちょっと危険な香りがしますね・・・。」

「へぇ、つまりお前はお菓子買ってほしくないってことだなよくわかった。」

「うわーん!嘘ですごめんなさい!!モンブランとショートケーキ・・・。」

「ったく・・・。さっさと買っていくぞ。今ハヤトから連絡が入った。」

「わっかりました!」

「ほんっと、現金な奴だよお前は・・・。」


村にある唯一の宿屋「カルカロス」に四人は集合した。


「さて、これからどうしましょうか。」

「とりあえず、ケーキ食べましょう!」

「あら!ケーキ買ってきたの??」

「はい!カズさんが買ってくれたんです!」

「ふぅ~ん?・・・意外とナナちゃん狙い?」

「いらんこと言わないでくれ・・・こじれるから・・・。」

「てへっ。」

「・・・。」

「さ、ケーキを食べましょう!」

「ところでハヤト、明日からはどうする?すぐ出発するか?」

「いや、しばらく滞在しようと思う。」

「ほう。どうしてまた?」

「次に待っている難関はエターナルスノウだ。おそらく僕たちの今の力じゃ越えるのはきついだろう。」

「・・・俺とナナか。」

「私・・・レベル低いから・・・。」

「それだけじゃない。僕たちは連携が弱いと思うんだ。」

「連携?」

「うん。4人の連携がもっとうまくいけば戦闘の効率も格段に上がるはずだ。」

「なるほどな。」

「それと、一つ試してみたいことがあってね。」

「試してみたいこと・・・?」

「とりあえず今日はもう休もう。明日からきっと忙しくなるよ。」

「はーい!」


翌朝、四人は朝から村の近くにある『宵の洞窟』に入った。

宵の洞窟とはいわゆるダンジョンの名前だ。

このメギドブレイクの世界には無数にダンジョンと呼ばれるエリアが存在する。

それぞれのダンジョンには数多くのモンスターが巣食っていて、最奥にはエリアボスがいたり宝の箱が置いてあったりと様々だ。

中でも攻略不可と呼ばれる難易度のダンジョンに眠る財宝には、伝説級の価値があり、それを狙うトレジャーハンター達も少なくはない。


「ここのモンスターは平均レベルが40くらいだ。ナナには少しきついかもしれないが、だからこそ連携戦闘の訓練にもなるだろう。」

「私頑張ります!」

「よし、みんな行こう。」


ナナがフラッシュマインドで辺りを照らす。

カズは気配を消して先行し、モンスターがいるかを確認する。

ハヤトとカエデはそれぞれ周囲を警戒し、モンスターの奇襲に備える。


「なんだか、モンスターの気配がしませんね。」

「すでに狩られた後なのか・・・?」

「とりあえず、進んでみましょう。」

「そうだな、奥に進めばモンスターもいるかもしれない。」

「よし、警戒しつつ進もう。」


しかし、その先どこまですすんでもモンスターの気配はおろか痕跡すら見つからなかった。


「おかしい・・・。戦闘の形跡が全く無い・・・。」

「このダンジョンはモンスターがいないんですか?」

「いや、モンスターの存在しないダンジョンなんて、月見峠の囁きの泉くらいだ。」

「とすると、モンスターに気付かれる前に全て殲滅したってこと?」

「そんなことできる人間がいるのか・・・?」


いや、そんなことはありえない。

少なくともここで戦闘があったのなら、その形跡が残るはずだ。


「とりあえずつきあたりまで行こう。何か情報があるかもしれない。」

「そうね、とりあえず行けるところまで行きましょう。」


四人はその後も歩みを進めた。

しかし、モンスターを発見することはできなかった。


「これはどういうことだ・・・?」

「何もなかったですね・・・ただの洞穴?」

「いや、そんなはずはない。ちゃんとエリア名も出ているんだから。」

「特にモンスターがリポップする気配も無いわね・・・。」

「・・・とりあえずここを出よう。」


四人は元来た道を帰る。

途中、やはりモンスターに遭遇することは無く、四人は何事も無く洞窟を出た。


「一体どうなっているんだ。新しいクエストか何かか・・・?」

「わからない・・・とにかく一旦村に戻ろう。」

「そうですね。でもこれからどうしましょう・・・。」

「しかたないわ、フィールドモンスターで経験値を稼ぎましょう。」

「そうだね。フィールドのモンスターだとポップ場所がランダムだから多少効率は悪いけど仕方ない。」

「しばらく時間がかかりそうだな。どれくらいここにいるつもりだ?」

「そうだね・・・とりあえず二週間で様子を見よう。」

「二週間ケーキ食べ放題です!!」

「そんなに食ったら太るぞ。」

「ふ、太りませんよ!私は!!」

「ゲーム内ではどんなに食べても太らないのよ?」

「そうなんですか!?てっきり私、食べても太らない体質かと・・・。」

「そんなわけあるか。」

「ううう・・・ひどいです・・・。」

「まぁ時間はあるんだし、ゆっくりレベルを上げていこう。」

「そうだな。焦らず確実にいこう。」

「目標だけど、ナナとカズは65レベル以上。僕とカエデは75レベル以上でいこうと思うんだけどどうかな。」

「うぅ・・・あと大体15レベルくらい上げないとです・・・。」

「ま、お互いに頑張ろう。」

「カズさん・・・あと少しだからちょっと余裕見せてますね・・・。」

「う・・・そんなことないぞ?」

「そんなことあります!カズさんには私のレベル上げ、手伝ってもらいますから!」

「・・・そうなってしまうのか・・・。」

「よし、これで決まりだね。」

「・・・な、何が?」

「ナナとカズは日が暮れるまでモンスター狩り、僕とカエデは日が落ちてから夜行性モンスター狩りだ。」

「え!?四人で狩らないんですか!?」

「うん。一戦闘の参加人数は少なければ少ないほど経験値の配分も増えるし、僕とカエデのコンビなら夜行性モンスターも何とかなると思う。」

「まっハヤトが足手まといにならなければね。」

「だ、大丈夫だって!」

「しくしく・・・ハヤトさんと一緒に戦えない・・・。」

「ナナ、恋に壁はつきものだ・・・。」

「私はカズさんのお守り・・・しくしく・・・。」

「おい、慰めた俺の心返せ。」

「ナナちゃんナナちゃん。」


カエデが手招きをする。

そしてそのままナナに小声で何かを話すカエデ。

それを聞いたナナの顔がみるみる険しくなる。


「・・・ということで、ナナちゃんも頑張ってね。」

「私、レベル上げ頑張ります!!」

「うお、なんだいきなりやる気になったな・・・何て言ったんだ?」

「ん?うふふ・・・秘密よ。そんなに知りたい?」

「いや、遠慮しておくよ・・・。」

「三人とも、僕の話し聞いてる?」

「ああ、すまんすまん、それで?」


「うおーーー!修行だーーーーー!!」

「ナナちゃん、そのいきよ!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ