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メギドブレイク  作者:
3/10

一年後の未来は



僕がこのゲームを始めたのは一年くらい前だったか。

最初は何もかもが新鮮で、楽しい事に溢れていた。

親友との再会、新しい仲間たちとの出会い。

僕はどんなことがあってもこのゲームを愛せると思っていた。

だけど、あの日---


「ハヤトさん・・・?ハヤトさんってば!!」

「ん?ああ、何?ごめん、聞いてなかった。」

「もう!しっかりしてくださいよ!!」

「ごめんごめん。それで、何だって?」

「だーかーらー!私の新しいスキルについてなんですけど!」

「ああ、はいはい。何だっけ、確かフラッシュなんたらっていう・・・」

「フラッシュマインドです!聖属性の分身を作り出す魔法です!」

「そうそう、それをどう戦闘に組み込むかって話だったね。」

「そうです!」

「んー、そうだな・・・。陽動として使ってみたりしてはどう?」

「陽動・・・ですか。」

「その分身、今出せる?」

「はい、やってみます。」


ナナは意識を集中させ、魔法詠唱を始めた。


「----出でよ!フラッシュマインド!!」


辺りが光に包まれ、その中心に人型の光がたたずんでいた。


「どう、ですかね。」

「この分身、攻撃とかはできる?」

「はい、一応。でも大したダメージは無いみたいです。」

「つまり、移動式の明かりというわけか。形を変えることはできる?」

「やってみます!」


ナナは光の分身と向き合う。

目を閉じ意識を集中させるナナ。

すると、光の分身は姿を鳥のように変えた。


「で、出来ました!」

「よし、これなら使い道がたくさんありそうだ。少し魔力を抑えてもう一度やってみてくれ。」

「はい!」


「おーおー、やっとるねぇー。」

「カズさん!おかえりなさい!」

「ああ、ただいま。あ、そのまま続けていいよ。ハヤトの指導は最高だもんな。」

「僕は、教えてもらった知識をそのまま教えているだけだよ。」

「カエデさん、だっけか?ハヤトの戦闘指導をしたっていう・・・。」

「戦闘だけじゃない。このゲームのことを色々とね。」

「その人は、今どこにいるんですか?私も指導受けてみたいです!」

「さぁ、だいぶ前に別れたから今はどこにいるのか・・・。それに、カエデは僕以上にスパルタだよ?」

「う・・・や、やっぱり私はハヤトさん一筋で!!」

「都合のいい事言って。」


三人で笑いあう。

少し前なら、こんなことできなかっただろう。

本当にナナとカズには救われた。

もしあのまま一人だったら、僕は・・・。


「ハヤトさん!こんな感じでいいですか?」


目の前には薄く光る鳥が飛んでいる。


「あ、そうそう。そのまま魔力を抑えて。」

「はい!」

「よし、一気に開放!」

「はいっ!!」


辺りが閃光に包まれる。


「こ、これはすごいな・・・。」

「ハヤトさん!め、目が・・・!!」

「これはなかなか使えるね。」

「れ、冷静に言わないでくださいよ!」


フランジェの街。

穏やかな気候と豊富な資源で栄えた街の一つだ。

ハヤト達三人はここの宿屋に部屋を借りている。


「いやー、新しい魔法、役に立ちそうでよかったです!」

「どんなスキルや魔法も使い方次第だよ。」

「私も、ハヤトさんみたいに応用力があれば・・・。」

「はっはっは!ナナには無理だって!」

「カズさんひどいですよぅ!!」

「ま、せいぜい頑張るこった!」

「ぐぬぬ・・・。」

「さ、今日はもう遅い。そろそろ休もう。」



「ハヤトさん、今日はどこに行くんですか?」

「そうだな、特には決めてないけど、ナナはどこか行きたいところとかある?」

「私、お菓子屋さんに行きたいです!」

「ま、まぁいいけど・・・。」

「カズさんは今日も狩りに?」

「んー、まぁ、レベルも上げたいし、いい運動になるしな。」

「後で私も参加していいですか?私もレベル上げたくて・・・。」

「ああいいよ。ついでにフラッシュマインドの練習でもするか。」

「はい!!」

「んじゃ、とりあえず俺は行くわ。デート楽しんでなー!」

「で、デート!?」

「そんな、デートだなんてぇ~。」

「ナナ、なんでちょっと照れてるんだよ・・・。」




「うわぁー!いろんなお菓子がいっぱいだ!!」

「これはすごいな。こんなに種類があるんだ・・・。」

「ハヤトさん!これとかおいしそうですよ!」

「そうだね。カズの分も買っていこうか。」

「はい!」

「よし、とりあえず一旦宿に戻ろうか・・・」


「・・・・・・・・・ハヤト?」


「・・・え?」


「やっぱり、ハヤトじゃない!元気にしてた?」

「・・・カエデ!」

「え?もしかしてあの人が・・・?」

「こんなところで会うなんて奇遇ね。何してるの?」

「ああ、ちょっと買い物に・・・ね。」

「あら?そちらの方は?」

「あ、えっと!私ナナって言います!今ハヤトさんとパーティー組ませてもらってます!!」

「ナナ・・・なんでそんな緊張してるの?」

「え、だ、だってハヤトさんの先生みたいなものだからっ!緊張しちゃって!」

「ふぅ~ん?ハヤト、あんたも隅に置けないわねぇ~。」

「な、なんのことでしょうか・・・。」

「ハヤトさんが敬語!?」

「こんな可愛い女の子と旅をしてるなんて。あなたの冒険とやらは女の子と街でデートするってことだったのねぇ?」

「ちょ、顔がこ、怖いって・・・。」

「か、可愛いだなんて・・・デートだなんて・・・うふ。」

「おいナナ。」

「それに、随分と男らしい話し方になったのねぇ?昔なんて泣きながら私に・・・」

「あーーー!!やめて!僕が悪かったってば!!」

「あら、何よ。もうちょっとからかってやろうかと思ったのに。」

「全く、変わらないな、カエデは。」

「人間なんてそんなに簡単に変わらないものよ。」

「それも、そうだね。」

「そうだ、ナナ。」

「はいっ!」

「そういえば、ちょうどこの前カエデに指導してもらいたいって言ってたよね・・・?」

「え・・・あ・・・あう・・・。」

「へぇ~、私の指導、受けたいんだ?」

「ひ、ひぃぃ・・・。」

「・・・って、見たところ魔法系の職よね。私そっちの方はやったことないから、簡単なアドバイスくらいしか出来ないけど、それでもいい?」

「あ、はい!・・・・た、助かった・・・。」

「ん?何か言った?」

「いえ!よろしくお願いします!!」

「よし、んじゃさっそく行きましょうか!」

「え、今からで・・・」

「もちろん!ハヤト、あんたも来なさい。」

「え、僕も?」

「当たり前でしょ。・・・積もる話もあることだし。」

「・・・・・わかったよ。」




「・・・こ、これで30体め・・・。」

「ふむ、なかなか根性あるわね。」

「カエデさん・・・私そろそろげんかい・・・」

「何言ってるの。あと30体!」

「ひ、ひぇぇ・・・・・。」


ナナは泣きそうな顔でフィールドモンスターと戦っている。

あと30体も倒せば、レベルも2つくらい上がるだろう。

少し離れたところで様子を見ていたカエデの横にハヤトが座る。


「カエデ、話っていうのは・・・。」

「・・・大体予想はついてるんでしょ?」

「・・・ブラックギルド・・・漆黒。」

「その通りよ。」

「じゃあやっぱり・・・!!」

「ええ、存在するわ。」

「じゃあ、あの噂も・・・?」

「・・・恐らく。」

「・・・『ダメージオーバーフロー』。」

「キャラクターの受けたダメージが、直接プレイヤーに流れ込む現象。ダメージ量によっては命の危険もある。それをやつらは意図的に発生させている。」

「一体どうやって!」

「憶えてる?約三年前、このゲームを製作しているPoporas社のゲーム開発部門で火災事件があった事。」

「それならニュースで見たことがある。火元が不自然だったことから、警察は放火の疑いも視野に・・・・・・・!!」

「気づいたようね。恐らく放火で間違いないわ。その際、データを盗んだんでしょうね。」

「・・・確か・・・火事のあった部門は・・・。」

「・・・システム開発部門の、さらにキャラクターダメージに関する部署よ。」

「そ、そんな!?」

「やつら『漆黒』のメンバーがそのシステム情報を盗み出し、それを改良し『ダメージオーバーフロー』を作り出した、そうに違いないわ。」

「どうしてそんな・・・。」

「理由はわからない。なぜ三年前の事件から今までやつらが静かにしていたのかも。単に機会を窺っていたのか・・・それともダメージオーバーフローの開発に手間取ったのか・・・。どちらにせよ、放ってはおけないわ。」

「ああ、やつらは絶対に許せない・・・!!」

「あんた、まだあのこと・・・。ギルドを作らないのもそれが理由?」

「・・・。」

「まぁ、あんたの好きにすればいいと思うけど。」

「・・・うん。」

「私たち、思えば長い付き合いよね。」

「もう、一年くらいになるね。」

「そうそう、最初はハヤトなんてまだ5レベルで。武器やスキルの使い方から説明したっけ。」

「僕はチュートリアルを飛ばす癖があったからね。すごく助かった。」

「いいのよ。私も教えるの楽しかったんだから。」

「あの時はタケちゃんと久しぶりに会った時だったんだ。懐かしいや・・・。」

「そういえば、タケルは元気にしてる?私連絡取ってないからさ。親友のあんたなら、たまに会ったりくらいするでしょ?」

「・・・・・・・・・。」

「・・・ハヤト・・・?」

「・・・タケちゃんは・・・・・。」










「・・・・・・・・・・死んだ。」

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