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メギドブレイク  作者:
2/10

旅立ち


「さて、と。これでよし。」


フレンド登録完了、と表示が出ている。


「これで私とのフレ登録は完了よ。」

「これでダイレクトメッセージやボイスチャットが使えるようになるのか・・・。」

「そうよ。つ、ついでにタケルも登録しない・・・?」

「あ、ああ。まぁいいか。これからハヤトが世話になるんだしな・・・。」

「わーい!んじゃ登録ね!!」

「お、おう・・・。」


フレンド登録。

無数にいるプレイヤーの中で、気の合う仲間や仲良くなった人物と行うもので、

登録された人物はフレンドリストという場所に常に表示される。

メールやチャットが使えるようになるので、待ち合わせなんかも簡単に行なえるようになる。

とはいえ、シンプルなメールであればフレンドでなくとも送ることはできる。


「よし、これで完了!!」

「それじゃ、何かあったらすぐ連絡くれよ?」

「わかった!」

「あと、最初はこの街で装備を揃えた方がいいな。そんなに高くないから大丈夫だろ。」

「了解!」

「タケルさん!?こんなところにいた!!」

「げっ、ツバメか?」

「げっ、じゃないですよ!ここまで来るの、大変だったんですからね!

 ほら、早く帰りますよ!仕事残ってるんですから!」

「あ、ああわかったよ。それじゃあ二人とも、頑張れよ!」

「あ、うん。」

「・・・。」



「すごい勢いで引きずられていったわね・・・。」

「そうだね・・・。」

「ま、まあ気を取り直して、行きましょうか。」

「うん。まずは道具屋さんかな?」

「そうね、回復系のフレグを買っておきましょうか。」


このゲームではフレグと呼ばれる結晶のようなものをよく使う。

例えば回復系、例えば強化系、他にも特殊なフレグが存在する。


「とりあえず、これだけあれば問題なさそうね。」

「それにしても、いろんな種類があるんだなぁ・・・。」

「回復・能力強化・対魔物用・転移系・・・どれもいずれはひつようになるでしょうね。」

「こんなにたくさんあったら、どれがどれだかわからなくなっちゃうよ・・・。」

「あら、ショートカットを使えば問題ないわ。」

「ショートカット?」

「そう。よく使うアイテムはショートカットコマンドに登録しておくの。

 いざというときにそこからすぐ取り出せるわ。」

「な、なるほど・・・。」

「ちなみにショートカットコマンドは最大5つまで登録できるわ。

 最初のうちは回復だけでも問題はないと思うけどね。」

「本当に物知りなんだなぁ・・・。」

「いや、これチュートリアルで習うんだけど・・・。」

「・・・・・・あはは。」

「あははじゃないわよ。まったく。そんなんでやっていけるのかしら。」

「さ、さあ!道具も揃えたし、武器と防具を見に行こうよ!!」

「あ、ちょっと!!」



武器と防具の店『アーデルラント』

このゲームの特色として、プレイヤーの職業がとても多い。

職業とはつまり剣士や魔法使いのようなものだ。

武器商人や鍛冶屋、料理人見習い、なんてのもある。



「武器防具を揃えるにしても、職業が肝心よね。」

「そうだね。職によっては装備できないものもあるし・・・。」

「ところで、ハヤトの職業って何なの?」

「えっと・・・あれ、何だったっけ。」

「・・・。」

「えっと、プロフィールから・・・ステータス・・・・っと。」

「あんたねぇ・・・それくらい把握してなさいよ・・・。」

「あ、そうそう!接剣士だった!」

「接剣士か、いわゆるスラッシャーね。まあ最初はあまり選択肢ないものね。基本的な職なのは当たり前か。」

「そういえばカエデの職業は何?というかレベルすら知らないんだけど・・・。」

「ん?ああ、私は小弓士だよ。レベルは18。」

「小休止?」

「・・・違うから。ショートアーチャーとも呼ばれてる職よ。

 ほら、これが私の武器。」


カエデはなにやら操作して小さな弓を取り出した。


「へぇ。じゃあカエデは遠距離タイプなの?」

「この弓のサイズじゃ、中距離が限界かな?」

「そうなんだ。でもすごいね!」

「何が?」

「んーわかんないけど!」

「・・・おい。」

「職業って、どうやったら増えるのかな。」

「色んな方法があるみたい。レベルで開放されるものや職の熟練度で開放するもの。特殊な条件で開放されるものもあるらしいわ。」

「そうなんだ。僕もいろんな職で冒険してみたいな!」

「きっとそのうちたくさん転職できるようになると思うよ。」

「楽しみだなぁ!」

「さ、武器防具一式買っちゃいましょ。私はもうあるからハヤトのが決まったらさっそく冒険開始よ!」

「おーう!」



「い、いざ冒険となると、少し緊張するね・・・。」

「あんた、少なくともレベルは5まで上げてるんでしょ・・・。」

「・・・正直に言うと、街の中のお使いクエストで上げたんだ。」

「ああ、そういえば最初の街なら5くらいすぐに上がるものね。そういえば、ハヤトの最初の街はどこだったの?まぁ、ミルガルデにいるってことは恐らくヤヤトの街だと思うけど。」

「すごい!どうして分かったの?」

「いい?プレイヤーが初めてゲームを始めるときは無数にある村や町の中から比較的安全な場所が設定されて、そこからスタートするのよ。ここはミルガルデの街。どう考えてもここがスタート地点になるのはありえないわ。街自体が大きすぎるもの。だとしたら、ここから一番近い街か村になるわ。そうすると必然的にヤヤトの街になるのよ。」

「な、なるほど・・・。」

「あんた、あんまりわかってないでしょう・・・。」

「・・・てへ。」

「てへじゃないわよまったく。でも、ここに来るまでに戦闘くらいはしたわよね?いくら近いからといっても、モンスターに遭遇せずにここまで来るなんてことは無いと思うし。」

「え?会わなかったよ?のんびり歩いてきたけれど。」

「・・・え?」

「ん?」

「まったく、運がいいんだか悪いんだか・・・。きっと狩られた後でリポップ待ちだったのね・・・。」

「リポップ?」

「そ、倒されたモンスターの代わりが補充されるまでの待ち時間のことよ。」

「そうなんだ。」

「そうなのよ。さあさあ、くだらない会話は終わり。そろそろ冒険の始まりよ!」

「お、おーう!」


意気揚々と歩くカエデの後ろを、不安を抱えつつハヤトもついていった。


「あ、そうだ忘れてた。」

「え、何?」

「私と『パーティー登録』しておきなさい。」

「パーティー登録?」

「・・・。」

「・・・お、教えてください。」

「あんた、チュートリアルやったんでしょうね。」

「え、えっと、あはは・・・。」

「さてはサボったな?」

「・・・ごめんなさい。」

「・・・はぁ、まったくしょうがないわね。いい?パーティー登録ってのはね・・・」


パーティー登録。

プレイヤー同士が小さなグループを形成し、モンスターを倒す際に行うものだ。

パーティー登録には利点がある。

一つ、経験値の共有。

基本的に、モンスターを倒して得られるものの中に経験値というものがある。

これは自身のレベルを上げるために必要なもので、原則としてそのモンスターにとどめをさした者のものになる。

つまり、どんなに仲間と共闘してモンスターを倒してもとどめをさしたプレイヤーしか経験値を獲得できない仕組みなのだ。

これでは共闘など起こるはずも無い。

そこでパーティー登録というわけだ。

パーティー登録をしておけば、パーティーメンバーの誰かがとどめをさした時点で自分にも基本値の70%の経験値を入手できるのだ。

そしてもう一つの利点、ドロップアイテムの獲得だ。

例外もあるが、一定の確率でモンスターを倒した際にアイテムが手に入ることがある。

これを一般的にドロップする、と言い、そのアイテムのことをドロップアイテムという。

ドロップアイテムには、街では売ってないものもあり、価値は圧倒的に高い。

そのため、ドロップアイテムを集めて商売をするプレイヤーもいる。

中には、伝説と呼ばれている武器や防具も存在するらしい。



「・・・ということ。よくわかった?」

「うん、なんとなく、そこそこわかったよ!」

「全然じゃない・・・。」

「あ!カエデ、モンスターだよ!」


二人は街を出てのどかな草原を歩いていた。

するとそこへ一頭の獣がやってきた。


「え?ああ、あれはザコ中のザコ。ケルルっていうモンスターよ。」

「なんだか、羊みたいな外見だね。」

「あいつの毛皮は割りと街で評判だったりするのよ?」

「へぇ!ぼく、倒せるかな・・・。」

「あんた、あいつに負けるようだったらこのゲーム辞めた方がいいと思うわ。」

「そ、そんなぁ!」

「それくらいザコってことよ!さ、戦闘の基本を教えるわ。」


アリーネ草原は低レベルモンスターが生息する、いわゆる初心者用のエリアだ。

初心者プレイヤーの大半はここで戦い方や、武器・防具の性能を確認したりスキルの確認などを行う。


「さて、接剣士の特徴は文字通り近接攻撃よ。要は斬って戦うの。」

「う、うん。」

「はい、それじゃあいつを倒してみて。」

「え?」

「え?じゃないわよ早く倒しなさい。」

「いやいやいや!いきなりなんて無理だよ!!」

「まったく、仕方ないわね、まず私が一体倒すから、同じようにやってみなさい。」

「は、はい・・・。」


一体のケルルに近づくカエデ。

ケルルもカエデに気づいたのか、明らかに敵意を向けている。


「いい?基本的には武器は好きなように使ってもいいわ。それと、常に装備しておけばわざわざ取り出す必要もないわ。」


そう言うとカエデは構えた弓を真上に放った。


「行動に制限は無いし、現実世界と大差ないのよ。」


カエデはケルルに弓を向ける。


「私の武器の場合は、矢を放つ必要があるけど、ハヤトは剣だからただ斬るだけでいいわ。ついでに、私はこう戦うの。」


弓を構えた状態でカエデは弓を引く動作をする。

すると手の中に矢が生成された。


「す、すごい!」

「そして、これを放つ!!」


ヒュンッという音とともに矢が飛んでいく。

ケルルは驚いて逃げようとしたが逃げきれず矢を受けて倒れた。

そしてそのまま光とともに消えていった。


「すごい・・・一撃で・・・。」

「私のレベルならこんなの当たり前よ。ハヤトのレベルで近接攻撃なら、3発もあれば十分かしらね。それじゃあ、次は私があらかじめ弱らせておくから、とどめをさしてみて。」

「わ、わかった・・・。」


カエデはその辺に落ちている石を拾うと、それをケルルに当てていく。

徐々にケルルの体力ゲージが減っていく。

そして大体3分の1くらいのところで、


「ハヤト、今よ!」

「とりゃあー!!」


ハヤトの攻撃がぎりぎりでケルルに届き、ケルルは倒れた。


「や、やった!!」

「まぁ、初めてにしては上出来ね。」

「わーい!わーい!」

「そんなに喜ぶことじゃないわよ・・・。」

「ねぇ見た見た!?ぼく倒したよ!!」

「・・・はいはい。」


その後、感覚や癖をつかむために何度か低レベルモンスターに挑戦し、

気がつけばもう日が沈む頃になっていた。


「どう?感覚は掴めたんじゃない?」

「うん、おかげでレベルも3上がったよ!」

「あんた、こんな雑魚相手にレベルが3上がるほど戦ったのね・・・。」

「カエデ、途中で寝てたもんね。」

「だって私ここの連中だったら一撃で倒せるし、少なくともハヤトよりは戦闘経験あるし。」

「う・・・。」

「ところで、今ってレベル8よね?スキルは使ってみた?」

「スキル?何それ。」

「・・・だろうと思ったわよ。ステータス画面のスキルっていう項目を開いてみて。」

「うわ、なんだかいろいろあるよ?」

「点滅しているスキルはある?」

「えーっと・・・『衝撃剣』っていうのがあるよ!」

「そのスキルの説明を読んでみて。」

「なになに・・・『剣の振りと同時に小さな衝撃波を打ち出す』って書いてある。」

「なるほど、発動方法は?」

「えっと・・・『剣先に意識を集中させ振りと同時に放つ』だって。」

「よし、やってみよう。」

「え!いきなり!?」

「もちろん。使えるものは使わないとね。」

「はぁ・・・また特訓だ・・・。」

「文句言わないの。それに一度スキルの使い方に慣れちゃえば案外何とかなるものよ。」

「そんな曖昧な・・・。」

「さ、とにかく頑張って!あと、スキルには一度使った後のリキャストタイムがあるから。そうそう連発はできないから気をつけなさい。」

「りょ、了解です・・・。」





「ぼ、冒険って・・・・大変だ・・・。」



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