異世界転生が大好きな佐藤と高橋君
放課後の教室。佐藤は歴史の教科書を机に広げ、指先で奇妙な紋章を描いていた。
「……ククク。ついに見つけたぞ。これは教科書ではない、失われた『古のエルフの契約書』だ」
「山川出版って書いてあんぞ」
高橋の平坦な声が、佐藤の没入感を切り裂く。
「……高橋。貴様には、この聖徳太子の瞳の奥に封じられた『滅亡の呪文』が見えぬようだな」
「ただの印刷のドットだろ。」
「黙れ! ――いいか、この『墾田永年私財法』こそが、大地を焼き尽くす広域殲滅魔法の真名……!」
「土地、耕してんだよ。」
佐藤はめげずに、ザビエルのページを見開き、その頭頂部を厳かに指差した。
「来い! 昏き深淵より出でよ、《ザビエル・サンダーボルト》!!」
「布教しに来て雷落とすな。」
「……ザビエルの『ザ』は、残響の『ザ』なのだッ!」
「お前の頭の中で反響してんだろ。あと今叫んだ瞬間に女子テニス部が廊下通ったぞ。バッチリ見られてたぞ」
「……っ!!」
佐藤の顔が、赤く染まる。
「……ふん、今日はこのくらいにしておいてやる! さらばだ、高橋!」
「逃げんな。明日も歴史の小テストあんぞ。不合格だったら、今のザビエルのポーズ、クラスの全員に言いふらすからな」
「……貴様、前世は異端審問官か!」
「いいから単語帳作れ」
結局、二人は並んで年号を暗記し始めた。
佐藤が小さな声で「……いい国作ろう、終焉幕府」と呟くのを、高橋は聞き逃さなかった。
「一一九二年で終わらせるな。開いた瞬間に幕を閉じるな」
「……歴史は残酷なものなのだ!」
こんな友達がいたらおもしろいだろーなと思い、なんとなく描きました。。




