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‐〖進学科〗‐

 檜佐木の作業する手元に、紅茶の入ったカップが置かれる。

「副会長、お疲れさまです。今日はもう、面談はないんでしたよね?」

「ええ。本当はもう少しペースを速めたいのですが、中々捕まらない人が多いのですよね」

 庶務である花寄の気遣いに感謝を告げつつ、紅茶を口に含む。少し離れた席では美吉も一杯を堪能していて、今日も激務の二人を眺めていた。

 新興部に関して山のような問題が積み上がりながらも、未だ大きな事態には発展していない。それは間違いなく、副会長と庶務の手腕によるものだった。

 少ない情報で次善の策を想定、対応する檜佐木和賢に、人一倍駆け回り物量を力技でこなしていく花寄史。今でさえも互いに労いながら、書類整理をしたり業務の後処理をPCに打ち込んだりしている。

 それでいて、成績もそれぞれ学年1位を保っていた。

「さすがは進学科だよねぇ」

「美吉さんは早く、その承認だけは終えて下さい」

「あはは……」

 しみじみと呟く生徒会長に、崩れそうな書類を指摘する副会長と、苦笑を浮かべる庶務。

 それから少しして美吉も渋々ながら書類にサインを記していくのだが、一枚終えれば二枚の承認待ちが増えていた。

 檜佐木は文面に全て目を通し、時には訂正まで行っているはずなのにまるで手を緩めない。挙句、長がどこで詰まっているのかも把握して助言まで寄越していた。

 花寄も右手で高速タイピングを行いながら、左手でスマホのフリック入力をこれまた高速で行っている。傍から見れば異様とさえ取れる光景。

 そうでありながらも二人は、穏やかに雑談を行うのだ。

「進学科と言えば、新興部に入っている生徒も結構いましたよね?」

「ええ。そろそろ対応しなければいけません」

「あはは、頑張ってください」

 庶務からの激励を受けながらも、副会長は気が重たそうだった。それに会長は手を止めて話に混ざる。

「やっぱ進学科相手だと、今までのようにはいかないの?」

「賢い方々ばかりですから。まあ出来るだけ長引かないようにしたいです」

 進学科。

 檀々高校における各学年の1組に在籍する生徒を指す。その学力は県内でも有数であり、そしてテストでは測れない才を持つ者まで集まっていた。

 とはいえその頂に立っているのが、檜佐木と花寄なのだが。

「ま、二人がいればどうにかなるよね」

 化け物じみた事務能力を目の前にして、美吉は今日も楽観視するのだった。


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