第9話 兄弟の絆
第9話
その日の夜の事。天川神はぐっすりと寝ている、天空神の横顔を見ていた。そんな時だった。
ガッシャーン、とガラスの様な物が割れる様な音がした。天川神は天空神の部屋を飛び出す。その音は天金神がいる、神部屋の方から聞こえてくる。
「天金神が危ない」
天川神は神部屋まで走る。扉を開けると、何をしても壊せないはずの鉄格子と壁のレンガが壊され、破片が床に飛び散っていた。部屋の奥には天金神がいる。部屋の明かりも消えている。敵が入って来たからだろうか。敵によると、体が大きすぎて神部屋に入れないので、壁を壊したと言う事だ。
「天金神、下がって」
「うん」
天川神は敵が目的とする天金神の前に立ち、腕を伸ばす。
「敵、俺が相手だ」
その声に敵は視線を天金神から変え、天川神の方を向く。その隙を狙い、
「いでよ召喚獣、水攻撃」
と、呪文を素早く唱える。敵は水に当たりながらも、こっちへ来る。天川神は敵の攻撃のパワーの重さで後ろに下がりそうになるが、そのまま攻撃を続ける。そんな時、敵が分身する。1体が後ろへ瞬間移動し、天川神の頭を鉄パイプの様な物で殴った。前へ倒れる。
「兄さん」
天川神は立ち上がり、同時に敵を倒した。敵はキラキラと光、消える。
「天金神」
「兄さん」
2人はお互い走り、優しく抱きしめ合う。
「天金神、怪我はないか?」
「ないよ。それより兄さんは?」
「俺は何とか大丈夫だよ」
「良かった」
天金神は安心する。
「まさか、壁と鉄格子まで壊されるなんて・・・」
天金神は、敵の強さで驚いた様に呟く。
「ここは絶対に壊せないのにね」
「それだけ敵が壁を壊せるくらいの力を蓄えてたって事かな?」
「そうだと思いたい」
2人は壊れた壁の破片をじっと見る。
「兄さん、これどうしよう?」
「このままにしたら駄目だから天星神様に言って直して貰おう」
「そうしよう」
天金神は自分が今、部屋を出て良いかどうかをよく考え、
「僕、言いに行って来る」
と言った。天川神は言いに行く天金神を止める。
「今は皆んな寝てるから、出来る限りの事をやろう」
「うん」
2人は出来る限りの事をやった。次の日の朝、天川神は天星神に夜の事を伝えに行った。
「天星神様。お願いがあるんですけど、宜しいですか?」
「良いよ」
「昨日の夜、天金神がいる神部屋に敵が入って来て、壁と鉄格子を全て壊されてしまって、直して欲しいと言うお願いなんですけど」
「敵強かったんだね。報告ありがとう」
天星神は笑顔でそう言うと、神部屋に向かった。直して欲しいと言えてホッとした天川神は、天空神がいる部屋へ向かう。静かに部屋に入ると、
「おはよう御座います。天川神様」
と、いつもの明るい声が部屋に響く。
「おはよう、天空神ちゃん」
「天川神様。昨日の夜、何かありました?」
「うん、あったよ」
「何があったんですか?」
「・・・天金神がいる神部屋に敵が入って来て、壁を壊されたんだ」
「神部屋って、壊せないんじゃ無かったんですか?それだけ敵が強かったんですね?」
「うん」
「天金神は・・・敵に襲われてない、ですよね?」
「うん。でも俺はやられた」
「大丈夫ですか?やられた所は何処ですか?」
「頭だけど、何ともないよ」
「・・・良かった」
「そう言えば、今回の何だけど、あんなに強い敵は生まれて初めて」
「生まれて初めて?」
「うん。でも4年前に似た様な事があった」
天川神は、昔の事を思い出す様に言った。
「えっ」
「4年前にお母さんが、"デイバー”って言う敵に襲われたんだ」
「・・・そんな」
天空神 は天川神の話に耳を傾ける。
♯ある日、早実家に”天川神”と言う男の子が生まれた。天川神の母、天海神は海の神様で王様である。つまり、天川神は”神から生まれた本当の神“なのだ。天海神はとても優しく常に笑顔で、女性からも好かれやすい性格をしている。
「天川神」
天海神は優しく呼びかける。天川神は天海神の膝にちょこんと座りながら、ゆっくり見上げる。3年後、弟の天金神が生まれた。ここから天の国へ進出するのだ。
続く




