第8話 神部屋
第8話
天川神と付き合い始めてから、2ヶ月が経った秋。天金神は天の国に姿を現すようになった。そんなある日。
「天空神」
「はい」
振り返ると、天金神が使う武器の小刀を持って迫って来た。そして、天空神の腹に強く深く刺す。相当、天空神を恨んでいるようだ。兄を取られたからか?天空神は腹の傷を強く抑え、その場に座り込む。目の前が歪んで見える。
(誰か助けて)
助けを呼ぼうとしても、声が出ない。そのまま倒れる。
♯ 天川神が自分の部屋から出て来た。すると、目の前に静かに通り過ぎる天金神がいた。
(天金神、久しぶりだな・・・あれ何だ?)
天川神は、天金神の握り締めている、光る何かに目をつける。それは血がついた小刀だった。小刀を見た瞬間、天川神はもしかしてと思い、いつも以上に急いで1回へと降りる。すると、目の前に大量の血を流した天空神が、仰向けで耐えれていた。
「天空神ちゃん・・・」
天川神走って駆け寄る。
「・・・ちゃん」
誰かに呼ばれた気がした。
(死前喘鳴か?)
※ 死前喘鳴:死亡直前、お亡くなりになる前に、誰かが呼ぶ声が聞こえる、幻聴の様な事を記す。
「天空神ちゃん、天空神ちゃん」
天川神が何度も呼びかける。
「天川神様・・・」
目を開く。ぼんやりと薄れる意識の中で、天川神が見える。
「何があったんだ?」
「天金神が・・・うっ」
「天金神が?」
「・・・はい」
声が掠れていく。
「何で・・・天金神が?」
分からない。そう言いいたかったが、そんな体力はなくそのまま目を閉じる。
「天空神ちゃん」
反応がない。どうする事も出来なく、天川神は天空神を優しく抱える。天様の前を静かに通り過ぎる。天様は天川神をじっと見る。
「天川神、天空神から血が出ているが、どうしたんだ?」
「天金神に襲われました・・・」
「天金神に?何故だ・・・」
天川神は暗い表情で答える。
「僕にも詳しくは分かりません。でも、天空神ちゃんが”天金神“だとはっきり言ったんで」
「・・・天金神を呼んでくれ。天空神の傷は手当するから、私に渡して。天金神を頼むよ」
「はい」
1時間後。
「手当したから、安静にね」
「はい」
天川神は天様から天空神を引き取る。天川神は、自分の腕の中で眠る天川神を抱える。あれから3時間後、天空神は目を覚ました。
「気が付いた」
天川神は天空神の顔を覗き込む。
「天川神様・・・」
天空神は天川神を見る。
「意識が戻って良かった」
「・・・天川神様。天金神はあの後、どうなりました?」
「天様が言ってたんだけど、8年間神部屋にいる事になった」
神部屋とは牢屋と似ている部屋である。
「そうですか」
天空神はゆっくり起き上がる。
「天空神ちゃん・・・守れなくてごめん」
その声はとても涙ぐんでいた。天川神は天空神に抱きつく。天空神を守れなかった事に、天川神は泣いていた。
「天川神は様には沢山守って貰ってますよ」
天空神は天川神を抱きしめ、頭を優しく撫でた。天川神は涙を腕で拭う。天空神は天川神を見る。そして8年間の神部屋の訳を天川神に聞く。
「天川神様。さっき天金神が8年間神部屋にいるって言ってましたけど、何故ですか?」
「・・・天金神は2回、神に攻撃をしてるんだ」
「えっ」
「天空神ちゃんが入ってくる2年前に、天金神は天様にパワーを使って、当たりそうになった時、天米神って言う神が天様を庇ったんだ。そこで天星神様がやって来て、魔法でギリギリ天金神の攻撃を止めたんだ」
「天米神様は大丈夫だったんですか?」
「うん。何とか大丈夫だった」
「良かった・・・」
(天金神、2年前にもそんな事してたんだ。こんな事して、天金神は本当に神様なのかな?)
「もしかして、此処にいる天民全員を恨んでいる可能性もありますよね?」
「そんな気がする」
「そうですよね・・・」
天空神は8年後、天金神が天民を襲わないかずっと不安になっていた。
(天金神がこれ以上、神を襲わないで欲しいけど・・・)
8年後、天金神が襲わない事を祈る。2人は8年後の天金神について話していたのだった。
続く




