第5話 彼氏ができました
第5話
「お兄ちゃん。腕の傷、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
「早く治ると良いね」
「そうだね」
「そう言えば、お兄ちゃん。今レベル2だよ」
「えっ、レベル2!?どうやって分かったの?」
「見えるから」
「えっ」
天山神は天空神の目を見る。その片方の目は、"神の目”になっていた。このまま行くと天空神は”人間“ではなく、“神”となっていくのだ。
「なあ、天空神。人間じゃなくなるって言われたけど、過去にも影響あるの?」
「あると思う」
「この前、お母さんに『何が変わった?』って言われた」
「何かそれやばくない」
「バレた?」
「バレてない事を信じよう」
「うん。そう言えば最近、天金神様に会ってないよね?」
「皆んな神だから、色んな所へ行くかもしれないよ?」
「それとも、お兄さん?」
「お兄さん?」
「うん。天金神様には兄がいて、『私と付き合ってることがバレたらやばい』って言ってたの」
「バレたらやばいの?お兄さんに止められた、とかかな?」
「また聞いてみるね」
「ああ」
2日後。天空神は天金神を見つけた。
「天金神様」
「天空神・・・またにしよう」
「えっ、はい」
(天金神様、どうしたんだろう?)
すると
「天空神」
と、誰かに後ろから呼ばれた。
「はい」
後ろを振り返ると、天金神の兄、天川神がいた。
「もう天金神とは付き合うな」
「何故ですか?」
「天金神は沢山恋人を作って告白し、何度も恋人と別れる悪い奴だ。天金神に会っても話すな」
「・・・はい」
天川神は今にも泣き出しそうな天空神を見た。自分でも言い方が悪いと気付いた様だ。
「あ、突然嫌な事を言って悪かった。でも君には嫌な思いをして欲しくないんだ」
天空神は顔を上げ初めて、天川神の目を見た。天川神の目ばどこか悲しく、優しくも見えた。すると天川神は天空神の両肩に優しく手を置き、
「ごめん」
と言って、天空神に抱きついた。
「天川神様」
天空神も抱きしめる。するといきなり友達口調で
「これあげる」
と言い、三日月の様な形をした、勾玉を首にかけてくれた。
「ありがとうございます。天川神様」
天空神は太陽の様な、明るい笑顔で笑う。
(笑顔も性格も好きだよ。天空神ちゃん)
「またね」
「はい、また」
2人は別れた。その夜、部屋に向かっていると、話し声が聞こえた。
「天空神と付き合っちゃ駄目っていつから決めたの?」
「いや、決めてはない」
「じゃあ何でだよ」
「天金神の悪い所があるからだ」
「実はさ兄さん。今日兄さんが、天空神に抱きついてる所見ちゃったんだけど、あれどういう事?本当は、僕の悪い所とか言って、彼女を奪うつもりなんだろう?」
「確かに俺は、天空神ちゃんが好きだ。でも奪うつもりはない。悪い所を直して欲しいんだ。彼女には嫌な思いをさせたくないんだよ・・・」
「つまり僕が天空神を傷つけたって言いたいんだろ?兄さん、昔から僕にそう言うよな。そんなに言うなら、彼女と付き合うのマジでやめたら。まぁそれは兄さんに任せるよ。僕はもう、1人で生きていくんだ」
そう言って部屋を出る。
「待てよ」
天川神は扉から身を出す。
「ったく、いつからああなったんだよ。あっ、天空神ちゃん。さっきの話聞いてた?」
「はい」
「弟の事、本当にごめんね」
「いえ」
「良かったら俺の部屋に来る?」
「えっ、良いんですか?」
「うん」
「じゃあ、失礼します」
天空神はぺこりと頭を下げると、天川神の部屋へ入る。
「ここ座って」
天川神は椅子を差し出す。
「はい」
天川神は天空神が座ると、話し出した。
「弟は、天空神ちゃんの事を思って言ったんだと思う。だからあんまり気にしないでね」
「はい」
「後は・・・」
天川神はかなりドキドキしながら、優しく天空神の両手を握る。
「俺、天空神ちゃんの笑顔も性格も全て好きです。もし良ければ、俺と付き合って下さい」
天空神はふっと笑う。
「私も好きです」
天川神は嬉し過ぎて、天空神を見つめた。
続く




