第11話 大切な弟
第11話
すると、1人だけ姿が見えた。天米神だ。天米神はデスに飛び掛かる体制で目の前に現れた。天米神を目にしたデスは、天米神の目を見て見開く。
「・・・兄ちゃん」
デスは静かに呟く。
「そうだ、思い出した。天米神は俺の兄だ。俺はどうして今まで忘れていたんだろう?」
デスの言葉を聞いて、天米神は微かに笑ったが、その瞳の奥はこれまでの涙が見えた。"兄ちゃん“と言った今が、泣いてしまう程に嬉しかった。これは何年ぶらりだろうか。そして笑顔を作るが、その顔は今までの涙がいっぱいで、今すぐにでも溢れそうだった。
「今までありがとう、デス。僕は君の兄になれて、とても幸せだったよ。元気でね、デス」
天米神は些細な声でそう言って、デスを倒した。デスはゆっくり地面に転がり落ちる。
「俺も兄ちゃんの弟になれて嬉しかったよ。今までありがとう、兄ちゃん。大好きだよ」
デスは天米神を見て涙を流しながらふっと笑い、そのままチリとなって空へと消えていった。天米神は、ですが今までいた地面をじっと見つめながら、昔の出来事を思い出していた。
♯それは今から5年前のある日の事だった。デスと天米神は兄弟で毎日楽しく暮らしていた。2人の両親は、2年前にかなり高い崖から転落して死んでしまった。その頃のデスはとても幼かった。2人が自慢する程幸せだったのは、デスが14歳になるまでだった。6年が経ったある日の秋、2人は人生で初めて兄弟喧嘩をしてしまった。2人の喧嘩の原因は、生まれつき持っている個性の強さ、ただそれだけの事だった。その結果、天米神とデスは話さなくなり、デスは家でした。2人はパズルの様にバラバラに分かれてしまった。デスは両親が転落した高い崖の上に立ち、その先の景色をかまりの涙で滲む目で眺めていた。
景色を眺めるデスの両目には、沢山の涙が浮かんでいた。それはそんな時だった。
「私の仲間にならないか?」
1人の青年がやってきた。それは神を操る、悪党のデイバーだった。デスは振り返り、目を見開く。生きていたら、父と同じくらいの年齢の人だったのだ。
「君はお兄さんと喧嘩をしてしまったんだね?」
「はい。何故それを知っているんですか?」
「私はある力で、君たちの暮らしが見えるのだ。それに君は強くなりたいかい?」
「はい」
(やっと仲間が増えた)
デイバーはニヤリと笑う。
「君に強くなる力を与える。受け取るが良い」
デイバーはデスに強くなるパワーを与えた。デイバーから力を受け取った瞬間、頭が転がる様に痛かった。あまりの痛さに、頭を抑えながら蹲る。数分後。
「どうだ、強くなったか?」
「ああ。おかげで強くなったよ。ありがとう」
礼を言うデスの目は、悪へと変わっていた。
「俺は天米神よりもずっと強い」
デスは悪徳な顔をし、自分の手の平を見て笑う。デスは自分が天米神よりも強くなれて、大きな喜びを感じていた。それから3年後、デスの心が悪になってしまったのだ。そして今まで心は悪のままだった。
#天米神はデスの立っていた所を見て泣いていた。他の神が天米神を悲しい目で見る。泣いている天米神の元に天星神が天米神の右肩に優しく手を置き、声をかける。
「天米神」
天米神は自分の涙を腕で拭い、天星神を見る。
「天星神様」
天米神は涙でいっぱいに潤む目をキラキラさせながら、猛ダッシュで天星神の方へ走る。天米神は涙が今にも溢れる様な涙を沢山目から流しながら、天星神に抱きつく。そんな天米神を天星神は優しく抱きしめる。天米神は声をあげて泣き出す。天星神は自分の弟の様に天米神の頭を優しく撫でる。
「天米神、そろそろ行こうか」
「はい」
天星神は少しだけ泣いている涙を拭っている天米神を見て、そっと手を繋いだ。
続く




