第3話 理想的な彼女。
次の休みに、ほんの興味本位でシモン君に付いて行って、その女の子とお茶をすることになった。
「いや、ほら、そんなに難しく考えなくてもさ、王都で友達ができたと思えばいいさ。僕もよく女の子とお茶したり、ご飯食べたりするよ?」
そうシモン君が言う。…友達か…それならいいような気がした。3人だし。下心はないんだし。
シモン君が紹介してくれたのは、ルイーズという女の子。明るい茶色の髪を上品に結んで、趣味の良いおとなし気なワンピースを着ている。しかもかわいい。
「はじめまして。ルイーズと申します」
恥ずかしそうにそう名乗った声も小さくて…おとなしげだ。家名は聞けなかったが…雰囲気からすると子爵家ぐらいだろうか?
僕らは何度か3人で会ってお茶にしたり、食事に行ったり…。シモン君が休日もアルバイトを入れたらしく一緒に行けなくなっても、僕はルイーズを誘って、お茶に行ったり、買い物をしたり、公園を散歩したりした。
彼女は僕から何か聞かないと、黙ってついてくるような内気な子だった。
「本屋に寄ってもいいかな?」
「ええ。もちろんですわ」
僕が本を探している間…彼女は詩集を読んで過ごし、待っていてくれた。
「待たせたね」
「いいえ…」
微笑むルイーズ。
シモン君が友達でもプレゼントぐらいするよ?というので、そんなものかな?と、彼女を連れて宝飾店にも行った。
「ルイーズはこれがいいの?」
「…いえ、高価なものですもの…」
ルイーズがじっと見ていたルビーのネックレスを買ってあげた。
「…ありがとうございます。」
そう言って、嬉しそうに笑った。
僕は、夏休みも家に帰らず、寮に残った。都合がつけばルイーズと過ごした。
「ルイーズ、ケーキはクリームとチョコレートとどちらが好き?」
「…どちらでも、アルバン様がお好きな方を」
「ルイーズ、どこか行ってみたいところはある?」
「まあ…どこでも…アルバン様が行きたいところで」
彼女は自分のこともあまり話さなかったから…お家の事情も良くはわからなかったが…とにかく僕はいつの間にかルイーズに惹かれていた。
どこに行くにも半歩遅れてついてくるような…言葉数の少ない、つつましい女の子。
結婚するなら、こんな子がいいな。
もちろん僕の婚約者のセレーヌは定期的に便せん一杯の近況報告を寄こしていたが、返事もしなかった。
僕のお誕生日祝いも届いた。夏用のシャツ。
ルイーズとのデートに早速着て行った。
そんな夏のある日、僕はシモン君に晩御飯に誘われて出かけた。
下町の路地裏の小さな店。
店の前でルイーズが夏用の可愛らしいワンピース姿で待っていた。
……3人でワインで乾杯して、彼女が…にまっと笑った。
あ、この子、こんなふうにも笑うんだ。
そこまでは覚えている。




