第2話 寮生活。
貴族用の男子校に入る。2年間だが自由だ。
母は屋敷から通えとうるさかったが、寮生活を選んだ。
17歳になったら、セリーヌがうちに行儀見習いに入る。セリーヌも同じ伯爵家だが、格式はうちの方が高い。はるか昔に王族の血が入っているらしい。
月に一度のお茶会があれだけ騒々しいのに…これから朝から晩まで?無理でしょ?
学院に寮が有って本当に良かった。
「もう、アルバンが何もお話ししてくれないから、セリーヌちゃんが家に来るの楽しみだわ!あの子がいると家の中が明るいわよね?」
「……」
明るい?騒々しい、の間違いでしょう?母上。
だいたい…僕は母上の話し相手を作るために結婚するわけじゃありません。
…そうか…セリーヌがうちに嫁いで来たら、結局、朝から晩までうるさいのか??
僕はさっさと寮に入った。
二人部屋は机とベッドだけだったが、僕は心行くまで本を読んだ。
放課後は図書館に行き、休日も家に帰らず本屋巡りをしたりした。
同室の子はイネス子爵家のシモン君。苦学生らしく、夜は家庭教師をしているらしい。帰りはいつも遅い。門限ぎりぎりだ。
「アルバン君は婚約者はいるの?」
「ああ。いるよ。小さいころからの家同士が決めた娘だけどね」
珍しくバイトがなかったのか、部屋のベッドに寝ころんだまま、いつものように本を読んでいた僕にシモン君が聞いてきた。
「へえ。さすがエタン伯爵家だね。きっと、おとなしくて飾り物みたいな女の子なんだろうなあ」
「え?うーん…それがねえ…」
自由になった解放感からか、同年代の子なら僕の悩みがわかってもらえると思ったのもある。僕は…僕のおしゃべりな婚約者に実はうんざりしていることを、こっそりシモン君に打ち明けた。
「もう…黙っていられないの?と思うほど話すんだよ。母もつられて話すしね」
ゲラゲラと笑いながら、シモン君が僕に同情してくれた。
「そりゃあひどいね?アルバン君はつつましい女性が理想なんだろう?」
「まあね。仕方ないけどね。家同士の婚約なんてそんなものだろうし。」
僕があきらめたようにそう言うと…シモン君がある提案をしてくれた。
「そっかあ…僕が家庭教師をしている娘さんがさあ、おとなしくてとてもいい子なんだ。紹介してあげるよ?」




