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元素の旅人 「理系社畜、異世界で元素魔法の賢者になる」周期表はチートじゃない。俺の「化学知識」が世界を救う法則だ  作者: 花咲かおる
第1巻「異界転移」  

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第5章:鉱山の街と硫黄の試練

翌朝、三人は鉱山の街へ向けて出発した。

エレメンタから東へ、馬車で半日の距離。街の名は『サルファタウン』。硫黄の街、という意味だ。

馬車の中で、オクシアが地図を広げた。

「サルファタウンは、硫黄鉱山で栄えている街よ。硫黄は、火薬や薬品の原料になるから、需要が高いの」

「でも、最近は魔物の被害が増えてるって聞きました」

ナトリが心配そうに言った。

「鉱山の奥に、強力な魔物が巣食ってるらしいわ。ギルドも討伐依頼を出してるけど、まだ成功した冒険者はいないって」

「レベルはどれくらい?」

「推定レベル8から10。私たちには、まだ厳しいかもしれない」

秀城は少し緊張した。自分はまだレベル6。二つ以上レベルが上の敵は危険だ。

「でも、硫黄使いのサルファさんに会うだけなら、危険はないはず。鉱山の奥まで行かなければ」

馬車は平原を進んでいった。道は整備されていて、ところどころに道標が立っている。

二時間ほど走ったところで、前方に山が見えてきた。

「あれがサルファ山脈ね」

灰色がかった山々が連なっている。山肌には、黄色い部分が見える。おそらく硫黄の鉱脈だろう。

さらに一時間進むと、山の麓に街が見えてきた。

サルファタウン。

エレメンタよりは小さいが、活気のある街だった。建物は石造りで、煙突から煙が立ち上っている。おそらく、硫黄を精製する工場だろう。

街に入ると、硫黄の匂いがした。刺激的な、独特の匂い。

「うっ、臭いですね...」

ナトリが鼻を押さえた。

「硫黄の街だから仕方ないわね」

馬車は街の中央の広場で停まった。三人は馬車から降りた。

「まず、この街のギルドに行きましょう。サルファさんの居場所を聞かないと」


サルファタウンのギルドは、エレメンタのものより小さかった。二階建ての木造建築で、看板には剣と鶴嘴が交差している。

中に入ると、数人の冒険者が食事をしていた。皆、汚れた作業着を着ていて、鉱山作業員のようだ。

「いらっしゃい」

カウンターから、筋骨隆々とした男性が声をかけてきた。五十代くらいだろうか。顔には古い傷跡がある。

「エレメンタから来た冒険者です。サルファ・ブリムストンさんを探しているんですが」

「サルファか。あいつなら、今日は鉱山にいるはずだ」

「鉱山に?」

「ああ。硫黄の採掘と、魔物の監視をやってる。鉱山の入口に詰所があるから、そこで会えるだろう」

「ありがとうございます」

三人はギルドを出て、鉱山へと向かった。


鉱山の入口は、街から少し離れた山の斜面にあった。

大きな洞窟の入口で、その前には木造の詰所が建っている。何人かの作業員が、鉱石を運んでいる。

詰所に近づくと、一人の女性が出てきた。

年齢は二十八歳くらい。黄色い髪を短く切り、同じく黄色い瞳をしている。作業服を着ていて、腰にはつるはしと短剣を下げている。

顔には自信と強さが滲んでいた。

「あんたら、見ない顔だね。旅の冒険者かい?」

「はい。エレメンタから来ました。サルファ・ブリムストンさんを探しているんですが」

「私がサルファだ。で、何の用だい?」

「実は、転移者の方が、硫黄の元素を習得したいと...」

ナトリが説明を始めた。

「転移者?」

サルファは秀城を見た。鋭い目つきで、値踏みするように。

「ああ、噂は聞いてる。全元素習得能力を持ってるってやつだろ?」

「はい」

「で、私に硫黄を教えろと?」

「お願いできますか?」

サルファは腕を組んで考えた。

「いいだろう。だが、条件がある」

「やっぱり...」

秀城は苦笑した。みんな、何か条件をつけてくる。

「最近、鉱山の奥に強力な魔物が出るんだ。『硫黄の悪魔』って呼ばれてる。そいつのせいで、奥の硫黄鉱脈に近づけない」

「硫黄の悪魔...」

「討伐を手伝ってくれ。成功したら、硫黄を教えてやる」

秀城は二人を見た。ナトリとオクシアは頷いた。

「分かりました。でも、推定レベル8から10の敵なんですよね?」

「ああ。だから、今すぐ行けとは言わない」

サルファは鉱山の入口を指差した。

「まずは、浅い層で経験を積んでくれ。レベルを上げてから、奥に挑む。それでどうだ?」

「それなら、安全ですね」

「じゃあ、決まりだ。今から案内してやる」

サルファはつるはしを手に取った。

「ついてきな」


鉱山の中は、松明で照らされていた。坑道は広く、レールが敷かれている。トロッコが鉱石を運ぶためのものだろう。

「鉱山は三層に分かれてる。第一層は浅い場所で、魔物も弱い。レベル4から6くらいだ」

サルファが説明しながら進んでいく。

「第二層は中間で、レベル6から8。第三層が最深部で、硫黄の悪魔がいる」

坑道の両側には、黄色い鉱脈が見える。硫黄だ。

「硫黄は火山活動で生成される。ここは昔、火山だったんだ」

「今は活動してないんですか?」

「休火山だな。でも、地下にはまだマグマが流れてる。だから、奥に行くほど暑い」

五分ほど進むと、坑道が広い空間に開けた。

そこは採掘場のようだった。壁面には硫黄の鉱脈があり、いくつかのつるはしが置かれている。

「ここが第一層の採掘場だ。さて、と...」

サルファが周囲を警戒した。

「魔物が来るぞ。準備しろ」

秀城たちは武器を構えた。

地面が震えた。そして、壁から何かが現れた。

巨大な芋虫のような生物。体長は二メートル。灰色の体に、黄色い斑点がある。口には鋭い牙が並んでいる。

╔═══════════════════════════╗

║ サルファワーム ║

╠═══════════════════════════╣

║ レベル:5 ║

║ HP:150/150 ║

║ MP:30/30 ║

║ 攻撃力:25 ║

║ 防御力:18 ║

║ 素早さ:10 ║

╠═══════════════════════════╣

║ 弱点:火属性、水属性 ║

║ 耐性:物理 ║

╠═══════════════════════════╣

║ スキル: ║

║ ・硫黄ガス噴出 ║

║ ・かみつき ║

╠═══════════════════════════╣

║ ドロップアイテム ║

║ ・硫黄の結晶 ║

║ ・ワームの皮 ║

╚═══════════════════════════╝

「サルファワームだ!火か水の魔法で攻撃しろ!」

サルファが叫んだ。

「【炎の玉】!」

ナトリが魔法を放った。炎の玉がワームに命中し、爆発した。

弱点を突いた!

サルファワームに55のダメージ!

HP:150→95

「よし、効いてる!俺も!【水魔法】!」

秀城は水を生成し、ワームに向かって放った。水がワームの体を包み、冷却する。

弱点を突いた!

サルファワームに48のダメージ!

HP:95→47

ワームは苦しそうに身をよじった。そして、口から黄色いガスを噴出した。

「硫黄ガスだ!吸うな!」

サルファの警告に、三人は息を止めた。黄色いガスが周囲に広がる。目が痛い。刺激臭が鼻を突く。

「【酸素供給】!」

オクシアが魔法を唱えた。新鮮な酸素が三人を包み、ガスを吹き飛ばした。

「ありがとう、オクシア!」

「今だ、トドメを!」

「【炎の矢】!」

ナトリの魔法が、ワームの頭部に直撃した。ワームは悲鳴を上げて倒れ、光の粒子となって消えた。

╔═══════════════════════════╗

║ サルファワームを倒した! ║

╠═══════════════════════════╣

║ 経験値:40を獲得! ║

║ お金:25リアを獲得! ║

║ アイテム入手! ║

║ ・硫黄の結晶 x2 ║

║ ・ワームの皮 x1 ║

╠═══════════════════════════╣

║ 経験値:90→130/350 ║

║ 所持金:129→154リア ║

╚═══════════════════════════╝

「やるじゃないか。連携もいい」

サルファが褒めた。

「この調子で、もっと戦闘経験を積め。レベルが上がれば、第二層にも行けるだろう」

その後、三人はサルファの指導の下、第一層で魔物を狩り続けた。

サルファワーム、硫黄コウモリ、マグマスライム...

様々な魔物と戦い、経験値を稼いでいった。

そして、三時間後——

╔═══════════════════════════════════╗

║ レベルアップ! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ レベル:6→7 ║

║ HP:210→245(+35) ║

║ MP:150→185(+35) ║

║ 攻撃力:34→40(+6) ║

║ 防御力:41→48(+7) ║

║ 魔力:60→70(+10) ║

║ 素早さ:32→38(+6) ║

║ 賢さ:49→57(+8) ║

║ 運:13→15(+2) ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 次のレベルまで:500経験値 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 新スキル習得! ║

║ 【元素融合強化 Lv.1】 ║

║ 効果:融合魔法の威力+15% ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 新スキル習得! ║

║ 【属性耐性 Lv.1】 ║

║ 効果:全属性ダメージ-10% ║

╚═══════════════════════════════════╝

「レベル7!それに、いいスキルが二つも!」

ナトリが喜んだ。彼女もレベル7に到達していた。オクシアはレベル8。

「よし、これなら第二層にも行けるな」

サルファが頷いた。

「休憩してから、第二層に挑戦するぞ」


第二層への入口は、さらに奥にあった。

坑道は徐々に下っていき、温度も上がってきた。汗が滲む。

「暑いですね...」

「第二層は地下深くだからな。マグマに近い」

サルファが説明した。

「魔物もより強力だ。油断するなよ」

第二層に入ると、周囲の様子が変わった。

壁は赤黒く、溶岩のような色をしている。地面からは熱気が立ち上り、ところどころで硫黄の蒸気が噴出している。

「ここが第二層だ。硫黄の濃度も高い。ガスマスクがない人は、呼吸に気をつけろ」

秀城は【酸素供給】の魔法を自分と仲間にかけた。新鮮な酸素が肺を満たす。

「便利な魔法だな」

サルファが感心した。

前方から、低い唸り声が聞こえてきた。

「来たぞ!」

暗闇から、三匹の生物が現れた。

犬のような形状だが、体は岩でできている。目は赤く光り、口からはマグマが垂れている。

╔═══════════════════════════╗

║ マグマハウンド ║

╠═══════════════════════════╣

║ レベル:7 ║

║ HP:200/200 ║

║ MP:50/50 ║

║ 攻撃力:38 ║

║ 防御力:30 ║

║ 魔力:25 ║

║ 素早さ:35 ║

╠═══════════════════════════╣

║ 弱点:水属性 ║

║ 耐性:火属性、物理 ║

╠═══════════════════════════╣

║ スキル: ║

║ ・マグマ噛みつき ║

║ ・火炎放射 ║

║ ・体当たり ║

╠═══════════════════════════╣

║ ドロップアイテム ║

║ ・マグマの核 ║

║ ・火の魔石 ║

╚═══════════════════════════╝

「マグマハウンドだ!水魔法が有効だぞ!」

「任せて!【水魔法】!」

秀城は大量の水を生成し、三匹に向かって放った。水がハウンドたちを包み、ジュウッという音を立てて蒸気が上がった。

弱点を突いた!

マグマハウンドに65のダメージ! x3

HP:200→135

「よし、効いてる!続けて!」

ナトリとオクシアも魔法を放った。炎と氷の魔法が、ハウンドたちを襲う。

だが、ハウンドたちも反撃してきた。一匹が秀城に向かって飛びかかってきた。

「【マグマ噛みつき】!」

「くっ!【ダイヤモンド壁】!」

秀城は炭素魔法で防御壁を作った。透明なダイヤモンドの壁が、ハウンドの攻撃を防ぐ。

ダメージ軽減!

HP:245→225

MP:185→165

「硬い壁だな!」

サルファが驚いた声を上げた。

「でも、完全には防げない...!」

秀城は反撃に転じた。

「【水蒸気爆発】!」

水素、酸素、ナトリウムの三つの元素を融合させた。高温の水蒸気が爆発的に膨張し、ハウンドたちを包み込んだ。

融合魔法!元素融合強化!

マグマハウンドに98のダメージ! x3

HP:135→37

「すごい威力!」

「トドメだ!【炎の矢】連射!」

ナトリが三本の炎の矢を放った。それぞれがハウンドに命中し、倒した。

╔═══════════════════════════╗

║ 戦闘勝利! ║

╠═══════════════════════════╣

║ 経験値:150を獲得! ║

║ お金:90リアを獲得! ║

║ アイテム入手! ║

║ ・マグマの核 x3 ║

║ ・火の魔石 x2 ║

╠═══════════════════════════╣

║ 経験値:130→280/500 ║

║ 所持金:154→244リア ║

╚═══════════════════════════╝

「やるな。レベル7の魔物を三匹同時に倒すとは」

サルファは感心した様子だった。

「この調子なら、もう少しレベルを上げれば、硫黄の悪魔とも戦えるかもしれない」


その後も、第二層で戦闘を続けた。

マグマハウンド、硫黄ドラゴン(小型)、炎の精霊...

強力な敵との戦いで、秀城たちは確実に成長していった。

そして、さらに二時間後——

╔═══════════════════════════════════╗

║ レベルアップ! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ レベル:7→8 ║

║ HP:245→285(+40) ║

║ MP:185→225(+40) ║

║ 攻撃力:40→47(+7) ║

║ 防御力:48→56(+8) ║

║ 魔力:70→82(+12) ║

║ 素早さ:38→45(+7) ║

║ 賢さ:57→66(+9) ║

║ 運:15→18(+3) ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 次のレベルまで:700経験値 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 新スキル習得! ║

║ 【二刀流 Lv.1】 ║

║ 効果:武器を両手に持てる ║

║ 攻撃速度+10% ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 新スキル習得! ║

║ 【魔力回復 Lv.1】 ║

║ 効果:戦闘外でのMP回復速度+20% ║

╚═══════════════════════════════════╝

「レベル8!」

秀城は拳を握った。これで、硫黄の悪魔と互角に戦えるレベルになった。

「よし、準備は整ったな」

サルファが頷いた。

「明日、第三層に挑戦するぞ。今日はここまでにして、街で休息だ」

三人は鉱山を出て、街へと戻った。


その夜、宿屋の食堂で三人は作戦会議をしていた。

「硫黄の悪魔...どんな魔物なんでしょうか」

ナトリが不安そうに聞いた。

「詳細は不明だけど、硫黄を操る魔物らしいわ。おそらく、毒ガス攻撃が主体」

オクシアが答えた。

「なら、【酸素供給】で対抗できるな」

秀城は考えた。

「それと、水魔法。硫黄は水に溶けるから、洗い流せるかもしれない」

「あと、塩素も有効かも。次亜塩素酸で消毒できる」

化学知識を総動員して、戦略を練る。

「明日、必ず倒そう」

三人は決意を固めた。


翌朝、四人は第三層への入口に立っていた。

サルファも一緒だ。

「第三層は危険だ。私も同行する」

入口の扉は、鉄製で頑丈だった。鍵がかかっている。

「この先は、通常は封鎖されてる。硫黄の悪魔が出てからは、特にな」

サルファは鍵を開けた。重い扉がゆっくりと開く。

中からは、熱気と硫黄の匂いが溢れ出てきた。

「行くぞ」

四人は第三層に入った。


第三層は、まさに地獄のような場所だった。

床は赤く光り、溶岩が流れている。壁からは硫黄のガスが噴出し、天井からは火山灰が降っている。

温度は五十度を超えているだろう。呼吸するだけで喉が痛い。

「【酸素供給】!」

秀城は全員に魔法をかけた。これで呼吸は楽になる。

「前方に注意しろ。悪魔は、この先の最深部にいる」

サルファが先導する。

溶岩を避けながら、慎重に進んでいく。

十分ほど進むと、広大な空間に出た。

そこは、巨大な火口のような場所だった。中央には溶岩の池があり、その向こうに巨大な影が見えた。

「あれが...」

影がゆっくりと動いた。そして、姿を現した。

悪魔、という名にふさわしい姿だった。

体長は五メートル。人型だが、体は黒い岩と硫黄でできている。頭には角が生え、背中には火の翼がある。目は黄色く光り、口からは硫黄のガスが漏れている。

╔═══════════════════════════╗

║ 硫黄の悪魔 ║

╠═══════════════════════════╣

║ レベル:10 ║

║ HP:500/500 ║

║ MP:200/200 ║

║ 攻撃力:55 ║

║ 防御力:45 ║

║ 魔力:60 ║

║ 素早さ:40 ║

╠═══════════════════════════╣

║ 弱点:水属性、氷属性 ║

║ 耐性:火属性、物理 ║

║ 無効:毒、硫黄 ║

╠═══════════════════════════╣

║ スキル: ║

║ ・硫黄ガス噴射 ║

║ ・酸性雨 ║

║ ・マグマ生成 ║

║ ・硫黄爆発 ║

║ ・再生 ║

╠═══════════════════════════╣

║ ドロップアイテム ║

║ ・硫黄の魔石(大) ║

║ ・悪魔の角 ║

║ ・硫黄の結晶(特大) ║

╚═══════════════════════════╝

「HP500...!」

今まで戦った中で、最も強力な敵だ。

「グオオオオオッ!」

悪魔が咆哮した。その声は洞窟全体を震わせた。

「散開!攻撃が来るぞ!」

サルファの叫びと同時に、悪魔が口から硫黄のガスを噴射した。

黄色いガスが広範囲に広がる。

「【水魔法】!」

秀城は大量の水を生成し、ガスを洗い流した。水と硫黄が反応し、白い煙が上がる。

「【炎の矢】!」

ナトリが攻撃を開始した。炎の矢が悪魔に命中した。

悪魔は火属性に耐性がある!

ダメージが軽減された!

硫黄の悪魔に20のダメージ!

HP:500→480

「火が効きにくい!」

「水で攻めろ!」

「【水魔法】!」

秀城は水の奔流を放った。大量の水が悪魔を直撃した。

弱点を突いた!

硫黄の悪魔に85のダメージ!

HP:480→395

「効いてる!」

だが、悪魔は素早く反撃してきた。

「【酸性雨(アシッドレイン)】!」

悪魔が手を振ると、天井から黄色い雨が降ってきた。硫酸の雨だ!

「まずい!【ダイヤモンド壁】!」

秀城は防御壁を展開したが、酸性雨は壁を溶かし始めた。

「くそっ、硫酸には弱い...!」

「【酸素障壁】!」

オクシアが追加で障壁を張った。二重の防御で、何とか雨を防ぐ。

「サルファさん、攻撃を!」

「任せな!【硫黄爆弾(サルファボム)】!」

サルファが硫黄の塊を投げた。それは悪魔に命中し、爆発した。

硫黄の悪魔に40のダメージ!

HP:395→355

「私も!【氷の(アイスランス)】!」

オクシアが氷魔法を放った。氷の槍が悪魔の胸を貫いた。

弱点を突いた!

硫黄の悪魔に95のダメージ!

HP:355→260

「半分まで削った!」

だが、悪魔の体が赤く光り始めた。

「【再生(リジェネレート)】!」

悪魔の傷が癒えていく!

硫黄の悪魔HP回復!

HP:260→310

「再生した...!」

「このままじゃキリがない!一気に畳みかけるぞ!」

サルファが叫んだ。

「メンデレ、お前の最大火力の融合魔法を使え!私たちが時間を稼ぐ!」

「分かりました!」

秀城は両手を前に出した。今まで習得した元素すべてを集中させる。

水素、酸素、炭素、リン、ナトリウム、塩素...

これらを組み合わせて、最強の攻撃魔法を創る。

「みんな、三十秒時間をください!」

「任せろ!【硫黄の(サルファウォール)】!」

サルファが硫黄の壁を作った。悪魔の攻撃を防ぐ。

「【炎の玉】連射!」

ナトリが牽制攻撃を続ける。

「【氷の槍】!」

オクシアも攻撃を続けた。

その間、秀城は魔法を構築していった。

「まず、水素と酸素で水...」

右手に水が生成される。

「そこに硫黄を加える...」

左手に硫黄の結晶を生成する。

「水と硫黄を反応させて...硫化水素...いや、違う!」

秀城は化学反応式を頭の中で組み立てた。

「水に硫黄酸化物を溶かして...硫酸!」

硫酸。強力な酸。最も腐食性の高い物質の一つ。

「H₂SO₄...水素二つ、硫黄一つ、酸素四つ!」

秀城の両手が激しく光った。透明な液体が生成される。だが、その液体からは強烈な魔力が放たれている。

╔═══════════════════════════════════╗

║ 新融合魔法創造! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 【硫酸(サルフリックアシッド)】 ║

║ H₂+S+O₄ (水素x2+硫黄+酸素x4) ║

║ コスト:45MP ║

║ 威力:超大 ║

║ 効果:強力な腐食ダメージ ║

║ 防御力を無視する ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 警告!この魔法は危険です! ║

║ 使用には細心の注意を! ║

╚═══════════════════════════════════╝

「完成した!みんな、離れて!」

三人は急いで後退した。

「食らえ!【硫酸】!」

秀城は生成した硫酸を、悪魔に向かって放った。

透明な液体が空中を飛び、悪魔の全身にかかった。

「グギャアアアアッ!」

悪魔が絶叫した。体が激しく発光し、煙を上げている。硫酸が、悪魔の岩の体を溶かしていく。

╔═══════════════════════════╗

║ 融合魔法!元素融合強化! ║

║ クリティカルヒット! ║

║ 防御力無視! ║

╠═══════════════════════════╣

║ 硫黄の悪魔に235のダメージ! ║

║ HP:310→75 ║

╠═══════════════════════════╣

║ 継続ダメージ発生! ║

║ 毎秒10ダメージ! ║

╚═══════════════════════════╝

「すごい威力!」

悪魔は苦しみながらも、最後の力を振り絞った。

「【硫黄爆発(サルファエクスプロージョン)】!」

悪魔の体が膨張し始めた。自爆攻撃だ!

「まずい!爆発するぞ!」

「させるか!【水蒸気爆発】!」

秀城は追撃魔法を放った。高温の水蒸気が悪魔を包み込んだ。

悪魔の自爆と、秀城の魔法が同時に爆発した。

轟音。

爆風が四人を襲った。

「うわあああっ!」

秀城は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。全身が痛い。

ダメージ!

HP:285→180

MP:225→135

視界が霞む。だが、意識は保っている。

煙が晴れると、悪魔の姿はなかった。光の粒子となって消えている。

╔═══════════════════════════════════╗

║ ボス討伐成功! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 硫黄の悪魔を倒した! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 経験値:350を獲得! ║

║ お金:200リアを獲得! ║

║ アイテム入手! ║

║ ・硫黄の魔石(大) x1 ║

║ ・悪魔の角 x2 ║

║ ・硫黄の結晶(特大) x3 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 経験値:280→630/700 ║

║ 所持金:244→444リア ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 称号獲得! ║

║ 【悪魔殺し】 ║

║ 効果:悪魔系の敵に+20%ダメージ ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 特別ボーナス! ║

║ 新魔法習得により経験値+100! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 経験値:630→730/700 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ レベルアップ! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ レベル:8→9 ║

║ HP:285→330(+45) ║

║ MP:225→270(+45) ║

║ 攻撃力:47→55(+8) ║

║ 防御力:56→65(+9) ║

║ 魔力:82→95(+13) ║

║ 素早さ:45→53(+8) ║

║ 賢さ:66→77(+11) ║

║ 運:18→21(+3) ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 次のレベルまで:900経験値 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 新スキル習得! ║

║ 【危険物取扱 Lv.1】 ║

║ 効果:危険な魔法の制御が容易に ║

║ 暴発リスク-50% ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 新スキル習得! ║

║ 【魔力増幅 Lv.1】 ║

║ 効果:魔法威力+10% ║

╚═══════════════════════════════════╝

「レベル9...」

秀城は立ち上がった。体は痛いが、回復ポーションを飲めば治る。

「みんな、大丈夫か!?」

「ああ、何とか...」

ナトリとオクシアも無事だった。少し傷ついているが、致命傷ではない。

「サルファさんは?」

サルファは壁に寄りかかっていた。額から血が流れている。

「大丈夫だ...ちょっと頭を打っただけだ」

「【癒しの息吹】!」

オクシアがサルファを治療した。傷が癒えていく。

「ありがとう...助かった」

サルファは立ち上がった。

「やったな...硫黄の悪魔を倒した...」

四人は顔を見合わせた。そして、笑った。

「やったぞ!」

「勝ちました!」

「お疲れ様!」

戦いは終わった。


鉱山を出ると、太陽の光が眩しかった。

サルファタウンに戻ると、街の人々が歓迎してくれた。

「硫黄の悪魔を倒したって本当か!?」

「すごい!もう安全に採掘できるぞ!」

「冒険者たちに乾杯!」

その夜、ギルドで祝賀会が開かれた。

食事と酒が振る舞われ、冒険者たちが次々と祝福の言葉をかけてきた。

秀城は酒が弱いので果実ジュースを飲んでいたが、それでも気分は高揚していた。

「メンデレ」

サルファが近づいてきた。

「約束通り、硫黄を教えてやる。明日、時間あるか?」

「もちろんです」

「よし。じゃあ、明日の朝、鉱山で」


翌朝、秀城はサルファと共に鉱山の第一層にいた。

「硫黄の元素は...複雑だ」

サルファは硫黄の結晶を手に取った。

「硫黄は、生命と死、両方に関わる元素だ」

「生命と死?」

「生命に必要なアミノ酸には、硫黄が含まれている。でも、硫黄は有毒なガスも作る。硫化水素、二酸化硫黄...」

サルファは真剣な顔で言った。

「硫黄は、矛盾を抱えた元素なんだ。それを理解しないと、硫黄とは共鳴できない」

「矛盾...」

秀城は考えた。矛盾。自分の人生も、矛盾だらけだった。

科学者を目指したのに、会社員になった。自由を求めたのに、束縛されていた。

でも、今、この異世界で新しい道を歩いている。

「矛盾を受け入れるのは...難しくないです」

秀城は微笑んだ。

「俺自身が、矛盾の塊ですから」

「なら、簡単だな」

サルファは秀城の前に立った。

「目を閉じろ。硫黄をイメージしろ。黄色い結晶、火山の匂い、そして...二面性」

秀城は目を閉じた。

硫黄。黄色い元素。火山の元素。

「硫黄は燃える。青い炎を上げて。でも、その炎は有毒なガスを作る」

燃える。秀城の心も燃えている。でも、その炎は時に苦しみも生む。

「硫黄の声を聞け」

秀城は意識を集中した。

すると、感覚が生まれた。熱さと冷たさ。光と闇。生命と死。

すべてが混ざり合っている。

「...聞こえる」

燃えたい、でも恐れられる。必要とされたい、でも避けられる。

それは、秀城自身の感情だった。

認められたい、でも自信がない。成長したい、でも失敗が怖い。

「俺は...矛盾を受け入れる」

その瞬間、秀城の体が黄色い光に包まれた。

╔═══════════════════════════════════╗

║ 重要!元素習得! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 【硫黄(S)を習得しました!】 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 原子番号:16 ║

║ 元素記号:S ║

║ 分類:カルコゲン ║

║ 特性:可燃性、毒性、二面性 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 習得可能魔法: ║

║ ・硫黄弾(コスト:10MP) ║

║ ・硫化水素(コスト:18MP) ║

║ ・二酸化硫黄(コスト:20MP) ║

║ ・硫黄爆発(コスト:30MP) ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ ステータス上昇! ║

║ 魔力:95→100(+5) ║

║ 攻撃力:55→58(+3) ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 重要!融合魔法解放! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 【硫酸】は既に習得済み! ║

║ 戦闘中の創造により習得! ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 【硫化水素(ハイドロジェンサルファイド)】║

║ H₂+S (水素x2+硫黄) ║

║ コスト:22MP ║

║ 効果:猛毒ガス生成 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 【二酸化硫黄(サルファダイオキシド)】║

║ S+O₂ (硫黄+酸素x2) ║

║ コスト:20MP ║

║ 効果:漂白・殺菌 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 【硫化ナトリウム(ソディウムサルファイド)】║

║ Na₂+S (ナトリウムx2+硫黄) ║

║ コスト:25MP ║

║ 効果:腐食・還元 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 【二硫化炭素(カーボンダイサルファイド)】║

║ C+S₂ (炭素+硫黄x2) ║

║ コスト:28MP ║

║ 効果:可燃性溶媒生成 ║

╠═══════════════════════════════════╣

║ 魔力が100に到達! ║

║ 特別ボーナス! ║

║ スキル【魔力の奔流】習得! ║

║ 効果:魔法詠唱時間-20% ║

╚═══════════════════════════════════╝

「七つ目の元素!そして、融合魔法が五つも!」

サルファが驚いた。

「それに、魔力が100に...すごい成長速度だな」

秀城は自分の手を見た。七つの元素の力が宿っている。

「ありがとうございました、サルファさん」

「礼には及ばない。お前が悪魔を倒してくれたおかげで、街は救われたんだ」

サルファは秀城の肩を叩いた。

「これからも、頑張れよ。全元素習得、応援してる」

「はい!」


その日の午後、三人はサルファタウンを出発した。

馬車でエレメンタに戻る途中、秀城はステータスを確認した。

╔═══════════════════════════╗

║ ステータス ║

╠═══════════════════════════╣

║ 名前:メンデレ・秀城 ║

║ レベル:9 ║

║ 職業:元素使い ║

╠═══════════════════════════╣

║ HP:330/330 ║

║ MP:270/270 ║

║ 攻撃力:58 ║

║ 防御力:65 ║

║ 魔力:100 ║

║ 素早さ:53 ║

║ 賢さ:77 ║

║ 運:21 ║

╠═══════════════════════════╣

║ 習得元素:7/118 ║

║ ・ナトリウム(Na) ║

║ ・塩素(Cl) ║

║ ・酸素(O) ║

║ ・水素(H) ║

║ ・炭素(C) ║

║ ・リン(P) ║

║ ・硫黄(S) ║

╠═══════════════════════════╣

║ 習得融合魔法:15 ║

║ ・塩結晶(NaCl) ║

║ ・水魔法(H₂O) ║

║ ・水蒸気爆発 ║

║ ・次亜塩素酸(HOCl) ║

║ ・二酸化炭素(CO₂) ║

║ ・メタン(CH₄) ║

║ ・炭酸ナトリウム ║

║ ・リン酸(H₃PO₄) ║

║ ・リン化水素(PH₃) ║

║ ・硫酸(H₂SO₄) ║

║ ・硫化水素(H₂S) ║

║ ・二酸化硫黄(SO₂) ║

║ ・硫化ナトリウム ║

║ ・二硫化炭素(CS₂) ║

║ (他、未発見の組み合わせ多数)║

╠═══════════════════════════╣

║ 習得スキル:10 ║

║ 所持金:444リア ║

║ 経験値:30/900 ║

╚═══════════════════════════╝

「七つの元素、十五の融合魔法...」

まだ道のりは長いが、確実に前進している。

「次は、どの元素を狙いますか?」

ナトリが聞いた。

「窒素だな。CNOPSの最後の一つ」

「窒素使いは、北の国境にいるんでしたっけ」

「ええ。でも、北は遠いわ。旅の準備が必要ね」

オクシアが地図を見た。

「エレメンタから北の国境まで、馬車で三日。途中、いくつかの街を経由する」

「長旅になりますね」

「でも、その途中で他の元素使いにも会えるかもしれない」

秀城は窓の外を見た。夕日が沈みかけている。

「この調子で行けば、一年以内に半分くらいは習得できるかな」

「絶対できますよ!」

ナトリが励ました。

「それに、私たちもまだまだ強くなります。レベル10目指して頑張りましょう!」

馬車は夕暮れの平原を進んでいった。

三人の冒険は、まだ始まったばかりだ。

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