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水の匣  作者: 石田ヨネ
■■ 2 ■■ 振り返り、水の匣事件について
5/5


          ******



「――てな感じでね、この『水の匣』事件っていうのが、いま、この辺りで話題になっているみたいなんだ」

 とは、場面は上海のスカイバーに戻って、ドン・ヨンファが説明を終えた。 

「けっ、何が、てな感じでね、だ」

 キム・テヤンが舌打ちしつつ、

「むぅ……、そんな、事件があるとは、ねぇ……」

 と、その横、カン・ロウンが深く感心した様子で唸る。

 まあ、このSPY探偵団という、仮にも探偵サークルみたいなもののリーダーであるから、お前が一番に知っておくべきだろという話だが。

 すると、その時、


 ――ピ、ュッ――!!


「あッ、べしッ――!?」

 と、ドン・ヨンファが、突然の奇声をあげた。

 胸でなく、顔にかけられた液体――

「う、ぅ……、ぐぅ……」

 拭いながら、ドン・ヨンファが見た。

 その先には、

「……」

 と、パク・ソユンがゴルゴ13のごとく、水鉄砲を構えていた。

「なッ!? 何をするだァッー!! ソユンッ!!」

「ああ? せっかく、水の話をするからさ? 水つながりで、いいじゃない」

「よかないって!」


「ああ、あと、さ? ヨンファ? ここに、いいフォークがあるじゃない? せっかくだからさ? アンタのカナリンの線を、3本線にしてあげよっか? アディダスみたいに」

「何だよ? その、脈絡ないの。てか、カナリンじゃなくて、ロールスロイス・カリナンね。わざと間違えてるだろ」

 と、ロブスターの皿のフォークを手にして言うパク・ソユンに、ドン・ヨンファがつっこんだ。


 そのようにしつつ、

「まったく……、本当に、鬱陶しいヤツらだな」

 と、顔をしかめるキム・テヤンに、

「は? ヨンファは、鬱陶しい枠かもしれないけど、私は鬱陶しくないぽよ」

「けっ、お前も十分に鬱陶しいってんだよ!」

「そうだよ。そもそも、人に水鉄砲をかけるなんてふざけたことする人間が、鬱陶しくないわけないじゃないか」

「は? それは待つぽよ。ふざけているようでふざけて水鉄砲をかけたかもしれないし……、ふざけいるようでふざけないで水鉄砲をかけたかもしれない、ぽよ」

「いや、その、『ぽよ』と水鉄砲なんて、100人中99人が、ふざけているようにしか見えないだろ」

 と、ドン・ヨンファがつっこんだ。


 そうしながらも、

「とりあえず、明日のイベントに支障がないよう、その辺にしておきなよ、ソユン」

「はぁ、」

 と、カン・ロウンが、パク・ソユンを気遣って言った。

 グラスを置きながら、

「それで、その、水の匣ってのを、いつ調べるわけ? せっかくの、面白そうな事件だし」

 と、パク・ソユンが聞いた。

 すなわち、このような変わった事件があれば、首をつっこむのがSPY探偵団である。

「う~ん……? そう、だなぁ……?」

 キム・テヤンが、考えるように唸り、

「まあ、明日の、空いた時に調べるか……? あるいは、ソユンの、イベントが終わった後にでも調べようじゃないか」

 と、カン・ロウンが言った。


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