表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【水の匣】  作者: 石田ヨネ
第四章 検討を重ねて、調査へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/39

36  黄色の、クレヨンしんちゃんの組ちょ――、もとい園長先生ふうのハイブランドのシャツ


 それはさておき、

「“それ”が可能にしたのが、アクアボンバの会場の、【動く水】なのだな?」

 と、ベテラン刑事が聞き、

「ええ、そうです」

 と、AQ社研究チームのリーダーが答えた。

 また、調査員の女が、

「この、【ポリウォータ】に、外部からワイヤレス送電などの、何らかエネルギーを供給することで、水を、“動かす”ことができる……。それを以って、“水の塊”を、まるでドローンのように操作したり……、あるいは、“入れもの”がないにもかかわらず、立方体のような形を保持させたりできる――」

 と、説明したのを合図にし、

「ほう? “それ”を考えれば、今回の、アクアボンバでの件も、一連の【水の匣】のケースも、説明できるな」

「――ということで? ス・ミンジュン、お前たちの製品、技術が、“何らかの形で関わっている”ということで、確定で、いいな?」

 と、ベテランふうの刑事たちが、ス・ミンジュンに圧を強めていく。

「う、うっ……!? そ、そんなっ、」

 ス・ミンジュンの表情が、ますます悲壮になる。

 また、刑事・捜査員のひとりが、

「AQ社に関する、あらゆる通信の記録――、また、出入りしている人間も調べ出せてもらったが、中には、“怪しいもの”も、ありますね?」

 と、ノートパソコンを見せる。

 そこには、さすが、中国警察の捜査力か――、膨大な通信記録を調べ上げるとともに、今回の事件に関わっている可能性のありそうなものを、AIやビッグデータ解析などのふるいにかけていた。

「そうですね。“それらのこと”もあわせて、詳しくは、ひとまず署で話を聞かせてください」

 女刑事が言って、他の刑事たちよりは“優しい形”で、ス・ミンジュンに近づいた。

「そ、そんなっ……!? わっ、私は、やってないッ!!」

 ス・ミンジュンが、泣きそうな顔になる。

 それだけでなく、

「研究員、従業員の方にも、何人か、来てもらいます」

「ち、ちょっ――!?」

「ちょっと、待ってください!」

 と、刑事たちの連行しようとする手は、研究員たちへも及ぶ。

 そうして、

 ――グワ、シッ――!!

 と、刑事たちが強引にも、

「ひぃっ!?」

 と、怯えるス・ミンジュンを、拘束しようとした。

 その時、



「――ちょっ、ちょっと、待ってッ――!!」



 と、突如として、男の声が響いた。


「「「「「――!?」」」」」


 刑事たち、それから、ス・ミンジュンたちAQ社の者たちも同時に反応する。

「あ、ん……?」

「誰、です――?」

 と、ベテラン刑事と女刑事が反応しようとしたところ、すぐ時間差で続けて、



「待つぽよー!!」



「「「「「「ぽよ――!?」」」」」」



 と、こんどは『ぽよ』と叫んだ女の声に、

 ――ガ、クンッ――!!!

 と、皆が、ギャグマンガのようにコケにかかる!! もしくは横転しにかかる――!!

「「「ぽ、ぽよ……?」」」

 何人かが、顔を見合わせる。

 日常的には聞くことのない、【ぽよ】との、強烈なことばであるから仕方がないだろう。

 その、声のしたほうを見ること――

 黄色の、クレヨンしんちゃんの組ちょ――、もとい園長先生ふうのハイブランドのシャツ姿のドン・ヨンファと、白と青を基調としたヘソ出しスタイルに、白のカチューシャのキマった、パク・ソユンのふたりであった。

 なお、何ゆえか――? ふたりの額には、ピタッ――と、何か【葉っぱらしきもの】がくっついているという。


 そんなふたりの姿を見て、

「あっ――? よっ、ヨンファッ――!!」

 と、まず、ドン・ヨンファの友人のス・ミンジュンが、真っ先に声をあげた。

 続いて、

「ああっ!? 何者だっ!! お前たち!!」

 と、声を荒げてベテラン刑事と

「そうですよ。というか? 『ぽよ』って何ですか? 『ぽよ』って?」

 と、こちらはクールな様子を変えることのなく、女刑事が、パク・ソユンに問うてくるも、

「ぽよ」

 と、パク・ソユンは、それだけ答える。

 その答えに、

「……」

 と、女刑事は動じないまま、目で静かな圧をかける。

 まあ、“かける”だけ、ムダなのであるが……

 そんな、パク・ソユンの【ぽよ】は放っておき、

「――で? 何者だ? お前たち」

「ス・ミンジュン氏とは、お知り合いなのですか?」

 と、刑事たちが、ふたりに尋ねる。

「あっ……? い、やぁ……、そ、のぉ……」

 ドン・ヨンファが、ドギマギしていると、

「は? いや、その……、って、堂々と言えばいいじゃん?」

 と、パク・ソユンがその態度が気にくわず、ドン・ヨンファをつっつきながらも、



「――そう、ね? ぽよ? 私たちは、探偵ぽよ」



 と、答えた。

 それを聞いて、

「「「「は、ぁぁ~? 探偵、だって――?」」」」

 と、案の定、刑事たち捜査チームのメンツが、怪訝な顔をしてみせる。

 また、ス・ミンジュンたちAQ社の面々も、

「「え――?」」

「「た、探偵……?」」

 と、ドラマやアニメでしか視ないような展開に、すこし動揺する。

 そんな、捜査する側とされる側が、ざわつく中、

「は、いぃ? アナタたちが、探偵、ですか……?」

 と、女刑事も怪訝な顔をし、目の前のパク・ソユンに聞いた。

「ぽよ。探偵ぽよ」

 パク・ソユンが、答える。

 その横で、

「……」

 と、ドン・ヨンファが、すこし顔を歪ませる。

 その、思うところ、

【ぽよ】が多めってことは、いまは、【ぽよ】の“高設定”なんだろう。

 まあ、ウザいこと、この上ないが……

 そうしていると、

「いや、探偵て……、そんな、ドラマや小説じゃないんですから。――というより? さっきから、何なの? 【ぽよ】って?」

 と、女刑事がつっこみながらも、その【ぽよ】の意味を問うも、

「ぽよ」

 と、相変わらず、【ぽよ】としか返してこないパク・ソユンに、

「ああ……、もう、いいです……」

 と、しまいには、呆れかえって黙ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ