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水の匣  作者: 石田ヨネ
■■ 1 ■■ 上海、外灘、夜のスカイバーにて
1/3




 夏――

 スペインの、海岸――


 太陽の、強い日差しが燦々とする下、スカイブルーの海が、 


 ――グ、ワァァン!!

 

 と、大きくせりあがる!!

 2、30メートルと、まさにビルのような高さの大波。

 そう――

 ここは、大波に挑むサーファーたちの聖地、スペイン――ではなく、ポルトガルのナザレ。

 大西洋の深海峡谷や、海岸線の形などの様々な要因によって、ヨーロッパのみならず、世界でも有数の大波が発生するスポットである。

 そして、そんなナザレにて、今まさに最高点まで上昇しようとするビッグウェーブを、


 ――ズ、シャァァ!!!


 と、切り裂くかのようにサーフボードで滑る、ひとりの女の姿があった。

 白のカチューシャの目立つ長い黒髪を結い、キリッとした美人顔に、まさにモデルというべきスタイルの女――

 実際にモデルとしても活躍している、韓国人DJのパク・ソユンは、この大波に挑んでいた。

 水の、うねりは最高点に達し、そこから


 ――ザッ、パァァン――!!!


 と、その形を崩しつつ、パイプのように巻いていく!!

 その、パイプの中を

「……」

 と、パク・ソユンは動じず冷静にして、サーフボードで滑り続ける。

 そうしてついに、崩れ切った波をうしろにしながら、

 ――シャ、ァァ……!!

 と、滑走しきった。

 その、ビッグウェーブの頂点から崩れるループと、ひとつ間違えれば甚大な水に飲みこまれかねない、極限の緊迫の連続――

 それを、


「――おい」


 とここで、あろうことか――? どこからか、唐突に男の声がした。

「ん? 何?」

 パク・ソユンが、ジトッ……とした目で声に答えると、


「全部、同じ顔じゃねぇーか」


 と再び、中年の男のつっこむ声が返ってきた――

 ――――

 ――

 ――とここで、魔法かイリュージョンのように、男の声で場面は変わる。

 スペインから遠く東へ離れること、中国は上海――

 夜の、旧租界時代のレトロな洋館群の残る、外灘のスカイ・バーでのこと。

 卓に置かれたスマートフォンの大きめの画面には、先の、パク・ソユンがビッグウェーブでサーフィンをするプロモーション的な動画が映っていた。

 すなわち、パク・ソユンは、SPY探偵団の仲間らとともに、スカイデッキで酒を飲んでいた。

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