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魔導師、巻き戻る⑤

「500年前の魔法を知っているヤツ…」

僕が一番最初に思いついたのはたった1人だった。

 鎧に触れた手に静電気が走る。手にジンジンとした痛みが残る。最初に触れた時よりも、強い電流が流れたような気がした。


500年前の魔法を知っている人物、ナルヤ・キョウが思い浮かんだ。


ナルヤが暴走事件を引き起こしている犯人なんだろうか。しかし、彼がそんな事をするなんて僕には思えなかった。

でも…僕はナルヤのことをよく知らない。

僕たちがあったのだって戦争が始まって数年が経った時期だ、時間で表せば僕がナルヤと会って転生魔法で離れるまで5~6年しか経っていない。

500年生きてきた彼にとっては5~6年なんて一瞬の出来事に等しいだろう。


僕はナルヤに魔法を教え、弟のように思っていた。しかし、ナルヤはそう思っていなかったという事なのだろうか。


僕の様子を見てだろうか、ガイアは息をつく。

「…まあ、君が考えている人物以外にも、当てはまるヤツは多い。今回みたいな鎧を作るとしたら、精霊は人間よりも得意さ。水の原素精霊である、フォンスだって魔導具の専門家だ。」

「そ、そうだよな…」

しかし、頭の中はずっと混乱している。

本当にナルヤが鎧を作っていたら…

そう思うと気持ちが落ち着かない。

「…そんなに焦るな。俺らが魔法を作って、解析すれば良いんだ。」


ガイアは立ち上がり、ローブについた砂埃を払う。

僕はすぐに立ち上がる気がしなかった。

解析し無ければ結果がわからずに済むんじゃないか。頭の中にそんな考えが思い浮かぶ。


そんな僕を見て、ガイアはため息をつき、腕を組む。

「君はここで停滞するのか?君の精霊も不安そうに見ているが。」

「…?、精霊?」

後ろを振り向くが、エネルギーの動きも精霊らしい存在感も感じない。

「君に見えていないのか?彼女は、今…ハハ」

ガイアが急に吹き出して笑い始める。

「話しちゃダメって勢いよく手を振っているよ。ッハハハ、急にしょんぼりしてる…」

彼が話す、元気で身振りの大きい少女の顔が思い浮かぶ。

「ッその子ってもしかして…」

僕はガイアのローブの裾を引っ張った。

「剣を背負っていたりしないか…?」

ガイアは僕の後ろにいるであろう少女をチラリと見つめる。

「ああ、背負っているが…」

「じゃあ、その子はメリーだ!」

僕が大きな声を上げると、ガイアは驚いた様子でメリーの様子を確認する。

メリーが頷いたのをみたのか、ガイアは「そうみたいだ」と呟く。


「メリーっていう精霊なのか?君は見えていないようだけど…」

ガイアは不思議そうに尋ねる。

「いや、精霊では無いんだが…その、フラムフィに僕自身が精霊に近い存在だと言われていて…その僕がこの身体の持ち主であるメリーと入れ替わりが起きているから…だと思う。」

僕がたどたどしく説明をすると、ガイアは興味深そうに頷いた。

「精霊との入れ替わりね…聞いたことないな。」

「フラムフィもそう言ってたな…」

すると、ガイアは表情を変え、面白いものを見たような笑みを浮かべる。

「お嬢ちゃんは、早く鎧について調べて欲しいみたいだ。何回も鎧のことを指差しているな。」

「そう、なのか?」

「そうだ。君はどうする?このまま調べないのか?」

心臓が強く脈打つ。このまま調べてしまったら、僕は耳も塞ぎたくなるような情報が分かるのではないか、という考えが頭によぎる。

もし、メリーとの入れ替わりが起きないのが、この世界と関係しているなら…


「もしかしたら、入れ替わりも暴走事件と関係してたりな…」

ガイアがポツリと呟く。

「ッ」

確かに、どちらも原素精霊でも知らない現象が起きている。


「この鎧の魔法を解析しよう」

ガイアは口を大きく開け、楽しそうに笑みを浮かべる。

「解析はどうするんだ?」

彼は腕を大きく伸ばし、ストレッチをしている。その様子から彼が出した問いの答えはすでに分かっているようだった。


「もちろん、僕らで魔法を作ろう。」

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