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魔導師、魔法を作る①

「ここがイニティ山ね」

僕達はガイアと別れて、フラムフィと一緒にイニティ山に訪れた。

数ヶ月前に来た時と変わらず、傾斜が少ない山で、背の高い木が生い茂っている。奥に行けば行くほど木が光を遮り、日が何処まで昇っているのか分からない。時間感覚を失っていく。

「フラムフィは来た事ないの?」

メリーが尋ねるとフラムフィは考え込む。

「…そんなにここの地域は来ないからね。」

確かにフラムフィが店を開いている街からここの山までは随分と距離がある。方向としても山に近づけば、人口は少なくなっていく為、フラムフィも近づかないかもしれない。


「お嬢ちゃん、前にイニティ山に来た事があるって聞いたけど…」

「あ、そうなの…」

メリーは以前初めてクエストを受けた時にこの山に向かった事を説明した。


「何かその時にいつもと違うことあった?」

メリーは「うーん」と呟き、思い返そうと頭に手を当てる。

「私もその時この山に初めて来たからなぁ。」

「お嬢ちゃんもそうなんだ…」

メリーは歩く速度を遅くして、少し俯く。

「…、あの」

「?」

フラムフィが首を傾げると、メリーは恥ずかしそうに手を触り始める。

「私の事、メリーって呼んで欲しい…です…」

「…!もちろん、メリーちゃん!」

フラムフィはメリーの肩に腕を乗せる。フラムフィの顔は嬉しそうに笑みを溢している。



するとフラムフィの腰の高さほどある茂みから物を引きずるような音が聞こえる。


ガチャガチャ…

耳を澄ませてみると鉄が擦れるような音が近づいてくる。

「何か音が聞こえない?」

「…見てみるか。」

フラムフィは身構えながら、茂みをかき分けた。

「何も…いない?」

フラムフィが茂みに背を向ける。

「!?、フラムフィ!」


「グガァァァ!」


頭の無い騎士のような格好をしたモンスターが茂みから飛び出してきた。フラムフィを刺し殺そうとしているのか両手で剣を握り締め、振り下ろしている。


きっとフラムフィならすぐに倒してしまうだろう。

そう思っていたが、フラムフィの様子がいつもと違う。

フラムフィは瞳孔を大きく開き、恐れを抱いているのがわかる。身体は酷く震えいて、その場から動かない。

「ッガード!」


バキッ!

重たい音がなり、剣筋がガードで防がれる。モンスターからの攻撃は僕の防御魔法で防げたようだ。

「ッログ!?」

「何驚いてるんだ!このままだと串刺しにされてたぞ!?」

「…そ、そうだよね。」

呼吸が荒いフラムフィはゆっくりと深呼吸をする。

呼吸を落ち着かせると、頬をパチンと叩いた。

500年前もフラムフィは戦が始まる前には頬を叩いていた。

頬を叩くと気持ちを切り替えれるんだ、500年前はそんな事を言っていた。


フラムフィは炎を腕に纏わせる。炎は形を変え、先端に炎を纏ったグレイブに変化する。

そのグレイブは500年前と変わらない、フラムフィの武器『ヘスティア』だった。美しい装飾を纏っている長い柄、穂先についている鋭い剣は赤黒く光っている。フラムフィが武器を振ると、追随するように火の粉が舞うのだ。

フラムフィがヘスティアを抱えているだけでも絵になってしまう。

そんな彼女は戦争中に「軍神」と呼ばれていた。僕の精霊として数多の戦に出向いては僕の事を守ってくれていた。


フラムフィはメリーの顔を優しく見つめる。先程までとは違い、その顔は自信に溢れている。

「ログ、メリーちゃん準備は良い?軍神と呼ばれた力見せてあげる。」


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