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魔導師、精霊集会に参加する③

フォンスの視線がこちらに移る。その視線からして向けられている感情は良いものでは無いのだろう。メリーに向けられているのかと思い、少し狼狽する。

しかし、フォンスの視線はメリーより上に向かっていた。

(わたくし)、フラムフィが怪しいと思っていますの。」

フラムフィは動揺をし目を見開くが、姿勢を直し口を開く。

「ちょっと待ってください。根拠はあるのですか?」

「フラムフィは人間と共に暮らす中で精霊を仲介しているでしょう?この中で一番、人間界で起きる事柄には詳しいですわ。」

「それだけで?それだったら、エレクだって人間界で暮らしているわ。」

「まさか。それだけで、集会を開催していませんわ。ここ数日、エレクとフラムフィの様子を魔法で見ていたの。」

「なんと!気づかなかった!」

エレクは大袈裟に驚く真似をする。

「エレクは普段と変わらない行動をしていたわ。でも、フラムフィは違った。精霊界から人間界を覗いたから詳しくは覗けなかったけど、ずっと1人で調べ物をしていたわよね?」

フラムフィは顔をこわばらせる。

「ここ最近はお店も閉めて、調べているようだけど?」

空間が静かになる。フラムフィに向く眼差しが一気に冷たくなった。

フラムフィは唾を飲み込む。

「それは、今回の暴走事件が精霊にも影響を受けているからだわ。私の仕事にとっても死活問題ですもの。」

「どうして、一人で解決しようとしているのかしら。これは精霊界、人間界に影響する問題よ。貴女ほどの精霊なら私達に協力を仰ぎそうなのに。」

「それは…」

フラムフィは唇をかむ。

「まぁまぁ」

歌を歌うように、美しい声がこの空間に反響する。ガイアが立ち上がって、フラムフィとフォンスを一瞥する。

「フラムフィの言い分も分かるさ。この状態でフラムフィがこの問題の犯人だというには早すぎないか?」

「ガ、ガイアさん…」

フラムフィは不安そうに眉を歪ませた。

「俺に一つ提案がある。」


「お嬢ちゃんに調査をさせるのはどうだい?」


メリーはひどく動揺したようで、「え」と声を漏らす。

「お嬢ちゃんがフラムフィと仲がいいのだろう?このままだとフラムフィが犯人と呼ばれてしまうが…」

メリーは両手で拳を作り、強く握る。

「も、もし、フラムフィが犯人じゃ無いと証明できなかったら?」

「フラムフィもメリーも拘束させてもらう」

「なっ」

フラムフィは席から立ち上がる。

「フラムフィは精霊界を混乱させたと原素精霊の座を剥奪されるかもな…」

ガイアは考え込むようなポーズを取った。

「わ…」

「わたしが証明する!フラムフィが何もしてないって事を!」

「でも…」

フラムフィは心配そうに呟く。

「そうですよ。精霊集会なのに、人間に解決を求めるなど…!」

フォンスは語気を強く話すが、ガイアが制するように笑みを浮かべると、食い下がった。

「フォンス、アルボレ、エレク…この幼女を信じろ。問題をきっと解決してくれる。」

彼が浮かべる笑みは、不思議と威圧感がある。

「っ、わかりました…」

フォンスは不満気に深く座り込む。

集会は誰も話さなくなり、静かになった。

「じゃあ僕は一回帰るね、眠いし…」

アルボレは立ち上がって大きな木を背負い直した。

「この集会が終わるまでには帰ってきてくれよ?」

ガイアがそう尋ねると、「はい、はぁい。」と言いながら、手を振って部屋から出て行ってしまった。フォンス、エレクも空間から出て行ってしまう。この空間にはメリーとフラムフィ、そしてガイアしかいない。


「集会が終わるまで…?」

「私たちは精霊よ。人間とは時間感覚が違うの。集会だって終わるまで数日かかるわ。」

フラムフィはガイアを見つめながら答える。

「数日…」

「そうさ。この集会が終わるまでまだ時間がある。その間にお嬢ちゃんとフラムフィには集会が終わるまでにフラムフィの証明をして欲しい。」

「えっと…」

先程までとは違い、フラムフィを信じるような口ぶりにフラムフィとメリーは困惑をしている。

ガイアは本心を隠すようにわざとらしく笑う。

「フラムフィが何もやっていないってのは俺は信じているさ。」

ガイアは真剣な顔になる。

「でもな、今精霊界でもその話題で持ちきりなんだ…フォンスも焦っているようだし。フラムフィは精霊全体のエネルギーの巡りが俺たち原素精霊の力にも影響するって知ってるだろ?」

「知ってますが…」

「この集会に俺が参加しようとしたのも、この問題が思った以上に精霊に影響があるからなんだ。」

ガイアの言葉にフラムフィは怪訝そうに頷く。

「アルボレが初めに俺に声をかけてくれたんだ。先代の木の原素精霊ソーリス、今はユグドラシルだっけか?ユグドラシルの葉が落ちてきてるってな…」

「ユグドラシルが…」

フラムフィは目を見開く。

「えっと、ユグドラシルって…?」

「あぁ。アルボレっていたでしょう。あの子の先代の原素精霊がユグドラシルという大きな木になったの。精霊界、そして人間界のエネルギーの秩序を守るためにね。」

「なるほど…」

メリーが頷くのを見て、ガイアが話を続ける。

「ユグドラシルが枯れるっていうのはエネルギーの秩序が乱れ始めているって事だ。これは精霊界だけの問題じゃ無いってわけだ。そこで2人に調査を頼みたい。」

「でも、集会が終わるまでなんでしょう?なんで私達に…」

フラムフィが尋ねると、ガイアは精霊達が座っていた机と椅子を見つめる。

「さっきも言ったが、お嬢ちゃんとフラムフィだったらこの問題を解決できると思ったからさ。」

「っ!」

フラムフィは言葉を飲み込む。

「もしこの事件が解決したら、俺がお嬢ちゃんが知りたい事を一つ教えてやる。なんだっていいさ。この世界の起源だって、これから生まれる生命の一つだって…」

ガイアが左手を見つめている。


「転生魔法の正体だって」


メリーは大きく息を吸った。

「まぁまぁ、その話は終わってからでいいだろう?まずは一つ俺が気になっている場所があるんだ。そこを調べて来てくれないか?」

ガイアは魔法を使い、光によって地図を描き始める。見覚えのある地形が立体的に次々に描かれていく。

「ここさ。」

彼が指したのは、あまり大きく無い山。しかし、その山の近くにあった集落は見たことがあった。

山の下には名前が浮かび上がって来た。

イニティ山

メリーはその地図を見て、立ち尽くす。

「どうしたんだ?」

僕が尋ねると、メリーは声を振るわせながら浮かび上がった山に指を指した。

「ここって、私が初めてクエストを受けた所だ。」


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