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魔導師、本を探す②

「犯人を見つけるにはどうすれば良いんだろう…」

「メルが犯人を見つける間は協力をするって言ってくれてたから頼ってみると良いよ。」

ナルヤが石の扉に向かって魔法をかける。すると扉が簡単に閉まっていった。

「そう、だよね…」

メリーとナルヤは禁書庫の外に出て、図書館内のソファに座り込む。黒色のソファが2人の身体を沈み込んでいた。


「そうだ、メリー。ナルヤにこれを渡してくれないか?」

右手に文献を写したメモ帳を握らせた。メリーはメモ帳をみて一瞬固まったが、すぐにナルヤを見つめた。

「あの、これ魔導師さんが…」

「!、先生が写してくれたんだね!」

ナルヤはメリーがメモ帳を持っている手を包み込む。メリーは少し赤くなった顔を逸らす。

「このメモ帳は解析しておくけど、でもやっぱりもう1冊も欲しいな。」

「ちょ、手を…」

段々とメリーの声が小さくなっていく。

「あ!ごめん。つい、嬉しくてね。」

ナルヤはパッと手を離すと、メリーは顔を手で覆った。

すると、メリーはピタリと動きが止まり、急に目を見開く。

「っ!そうだ!」


「何か思いついた?」

ナルヤは面白そうにメリーの顔を覗き込む。

「隠れちゃうのはどうですか!禁書庫に!」






禁書庫内に僅かな外の光が入り込む。その光に喜ぶように、キラキラと埃が舞っている。

「…」

メリーは自分で少し窓を開けたのに、不満そうに再び窓を閉める。時々「うー」と唸り始め、テディベアの様に首を曲げる。

「メリー、何か言いたい事があるのかい?」

「いやさ、そのさ。」

言いづらそうに、メリーは眉間に皺を寄せた。

「私1人でやるとは思ってなかったと言うか…まぁ、良いんだけどね」

「そう言う事か。」

きっとメリーはナルヤが一緒に禁書庫に隠れてくれると思っていたのだろう。一応ナルヤは騎士団の幹部でもあり、理事長でもあるのだ。僕らに付き合えるほど暇じゃない。

ナルヤはメリーの考えに賛同し、すぐにメルに相談をしたらしい。そこでメリーが禁書庫に籠ることを許してくれたのだ。初めにメリーが禁書庫に入ってきた時に掛かった魔法は、内側から扉が開けられなくなる魔法。特殊な魔法を使って扉を開けると、魔法が作動せずに扉を閉める事ができるらしい。本が盗まれてから掛けた魔法らしいので、犯人はこの事を知らないだろう。

「でもさ、いつ犯人がくるか分からないのに…」


ドンッ!


扉の外から扉に物が当たる様な音がした。

「メ、メル先生かな?」

「いや…」

しかし、メルの場合は魔法で開けるのではないか。魔法で開けないのは、魔法でこの石の扉が開けられることを知らない人か魔法の痕跡が残るのが嫌な人という可能性もある。

「メリー、隠れよう。」

「え、わ、わかった。」

メリーは急いでこの前隠れていた木箱に隠れる。

すると、勢いよく扉が開き、禁書庫内に人が入ってきた。顔はよく見えないが、身長からナルヤやメルとは違う人物だとわかる。

「ま、まさかこんなに早く…」

メリーは目をパチクリさせる。

「アイツが本棚に手を伸ばした時、捕まえよう。」

メリーは頷いた。

入ってきた人物は、真っ先に本棚に手を伸ばす。前回侵入した時に調べていたのか、迷いなしに僕の本に触れる。

「いまだ!」

「光魔法よ!彼女の目の前を照らせ!」

思わず目を瞑ってしまう様な強い光が、書庫を包み込む。

「うぎゃ!」

尻餅をついたようだ。僕の本も落としたのだろうかガサっと物が落ちた様な音も聞こえる。

「拘束魔法、アイツを拘束しろ!」

光が落ち着いてくると、入ってきた人物の姿が見えてきた。

「ぐ!はなしなさいよ!」

尻餅をついて両手両足を拘束された少女が、こちらを睨んでいた。

黄金の輝くような髪を結んで編み込ませ、澄んだ青色の瞳をこちらに向ける。長くとんがった耳を自慢するかのように髪を耳にかける。服装は学園の制服の上に白衣のような物をきていた。目のやり場に困ってしまう程彼女はスタイルが良い。彼女が抵抗する度に激しく揺れる為、思わず目を逸らす。

「エ、エルフさんみたい…」

メリーがその姿を見て、目を輝かせる。

「ほ、本当!?ってそうじゃないわ!」

彼女は一瞬頬を緩ませたが、再び、暴れて拘束を解こうとする。

「い、いいわ。私には魔法があるもの!」

何かブツブツ独り言のように口走り始めると、彼女の周りが光始める。足元には大きな魔法陣ができていた。

「メリー、アイツ逃げようとしているぞ。」

「それは、ダメ!」

メリーは勢いよく彼女に飛びつく。

「うわっ、ちょ!転移魔法!ゲニウスへ!」

するとメリーも光に包まれる。

ぐにゃりと空間が途切れるようだ。初めて馬車で長距離移動をした時のような気持ち悪さを感じる。

段々と…意識に…真っ白なモヤがかかって…

そこで僕の意識は途絶えた。









「うわぁあーー!」

ドサッ

随分と高い場所から落ちたようだ。

メリーはいまだに状況が掴めず、キョロキョロと周りを見回している。

辺りは真っ白の空間で何もないように見える。

「ちょっと!退いて欲しいんだけど!」

メリーの足元から声が聞こえる。下を見ると、先ほど禁書庫に本を盗みにきた少女をメリーが踏んづけていた。

メリーは申し訳なさそうに、少女から降りる。少女はため息をつきながら、身体についているゴミやら埃を払った。

「まさか、あなた達もここにきちゃうとは、転移魔法はまだ問題あるわね。」

「こ、ここは?」

メリーがそう尋ねた時、後ろから声がした。

「フレ?遅いじゃーん。言ってた文献取ってきてくれた?」

「いや、その、実は…」

フレと呼ばれたその少女は、居心地の悪そうに目を逸らす。

「ん?君は?」

まるで美術品のような美しい黄金の髪が足のくるぶし近くまで伸びている。サファイアを埋め込んだような吸い込まれる真っ青な瞳、中性的でもあるが真のあるよく通る声。彼女の服装はまるで神話に出てくるように美しい。そして彼女には、大きいとんがった耳がついていた。

彼女は僕たちの方を見つめて、慈愛と敬意そして敵対心を含めた笑みを向けていたのだった。






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