表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導師、幼女の手に転生する  作者: りょう改
二章 学園編
31/46

魔導師、本を盗む②

バタンッ

石の扉が閉まった衝撃で周りの本棚が小さく震える。

扉が閉まると、天井にあるガラスが眩しくひかり始めた。扉に、ぼうっと魔法陣が浮かび上がった。僕らは身構えたが、何も起こらない。

「!、もしかして…」

メリーが勢いよく扉にぶつかるが、びくともしない。


僕達は閉じ込められたのだった。



「どうしよう…」

メリーは顔を青ざめさせ、うずくまる。メリーの声が反響する。その音がメリーの不安を増加させたのだろう。

室内を見回すが、周りは大理石のような白色の壁と床が、図書館にある本棚よりも大きい黒の石の本棚を目立たせている。天井にあるぼんやりとした光がメリーといくつかの本を照らす。

「むしろ良い方に捉えよう。僕らは禁書庫に入っていて、いつでも僕の本を写せるんだ。」

「そっか…そうだよね。」

メリーは勢いよく立ち上がる。

「うがー!頑張るぞっ!ブーク!」

メリーはブークを呼び出す。ブークは寝ぼけているようで、目を擦っている。

「キュ…キュア?」

「ブークも魔導師さんの本を探すの手伝って!」

「キュキュア!?」

メリーはブークの腕に黒い本棚から出した本を何冊か乗せる。

ブークは片方の眉毛を上に上げた後、部屋の隅に移動し、しょぼしょぼと本を確認しはじめた。

「さぁ、私達も探さないとね!」

メリーは半袖を肩まで上げ、息を吐いた。


数時間後…

「ふぁあ…」

メリーはとろんとした目で眠たそうに、ページを捲る。

「こっちは…遠隔で人を眠らす魔法について…」

「キュ…キュ…」

ブークはもはや寝ていて、船を漕いでいる。僕は元々眠気を感じない為、いくらでも本を読むことができる。しかし、メリー達はそうとも行かない。なんせ、ここの禁書庫にある本の多くは難解な魔法構成や歴史など、メリー達には難しい内容のものが多い。

「メリー、ここは僕に任せてくれ。メリーは寝ててもいい。」

「そ、そういうわけにあ…」

「大丈夫だ。」

メリーは僕の事を見つめた後、諦めたように脱力させる。

「じゃあ…数分だけ…ぐぅ」

メリーは目を瞑ったかと思えば、すぐに寝息を立て始めた。

僕はもう一度、横に積んである数冊の本に目を通す。たった一つの本棚から一冊の本を見つけ出すだけだから、簡単だと思っていた。装丁は禿げている物は多い上、メリーの身体の2倍ほどある本棚の本を確認していくのは大変だったのだ。


僕は装丁が薄汚く、ただ紙が連なっているだけにもみえる本を手にする。

「E魔法について…?」

表紙を捲ると、そこには僕の字が書いてあった。

『◯月×日、とある魔法の性質を発見。この魔法から、時空の移動を可能とする魔法の構成を思い浮かぶ。次ページから、その詳細について記していく。』

僕はこの本がずっと探していた転生魔法に関する文献だと考え、唾を飲み込む。

僕は、はやる思いを抑えて次のページを捲る。


バチッ


強い電流が僕の手に流れる。

途端に手に力が入らなくなり本を離してしまう。


「そうか、これが噂の魔法か…」

この禁書庫について聞いた時に、ナルヤは保護魔法について説明していた。

確か、物体を守る為にかける魔法が保護魔法。保護魔法をかけた物体に触れると軽い電気が流れる。初めはピリピリする程度だが、何度も繰り返し触れようとすると強くなるのだ。

弱い電流と聞いていたが、反射的に手を離してしまうほど強いものだとは…

しかし、ここでナルヤに教えてもらった刷り上げ魔法を用いると、電流が流れずに文を別の紙に写すことができる。

僕はメリーが背負っていたリュックに入っているメモ帳を取り出し、魔法をかける。

「刷り上げ魔法よ、この本を写せ」

文字が浮かび上がり、ゆっくりとメモ帳に文字が移動していく。


ギギギ…

石の扉から光が漏れ始める。誰かが、扉を開けているようだ。僕は手元にあるメモ帳を見るが、まだ刷り上げ魔法は終わっておらず、僕の事を嘲笑うかのようにゆっくりと移動をしている。

僕は辺りを見回す。部屋の端に置いてあった木箱が目に入った。

「風魔法よ、メリーと本を動かせ。」

メリーの身体が風によって浮かび上がる。メリーの周りにあった本は全て本棚に仕舞われていく。

丁度メリーが木箱の中に隠れ終わる頃に扉が完全に開く頃にはメモ帳を握らせたメリーが木箱の中に隠れる。


「本当は貴方をここに入れたくなかったんですがね…」

革靴を鳴らしながら、メルが眉間に皺を寄せ入ってきた。

安堵のため息が漏れそうになった。隠れていなかったら、今頃見つかって退学を言い渡されていたかもしれない。


「わざわざすみませんね。」


「!?」

つい言葉が出てきそうになる。メルに続いて禁書庫に入ってきたのは見覚えのある男だった。

メルは長い髪を耳にかける。

「早く要件を終わらせましょう。ナルヤさん。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ