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魔導師、幼女の手に転生する  作者: りょう改
二章 学園編
20/46

魔導師、遠足をする①

メルに決闘を申し込んで数週間が経った。あの時から、メルに退学について言われていない。その上、普通にライブラリアに所属できてしまったのだ。しかし、目をつけられてしまったのは確かだろう。禁書を盗むのは難しそうだ。


決闘の後、寮に戻ったら急激な眠気に襲われ、目が覚めるとメリーの手に戻っていた。

そこからは入れ替わることもなく、メリーは学園生活を楽しんでいる。



「ねぇ!メリー!これ見て!」

授業が終わったであろうリンが勢いよく扉を開ける。

早めに授業が終わり、寮に戻っていたメリーは本を読んでいた。

「どうしたの?」

メリーが本に栞を挟み、リンの元へ小走りで向かう。

「魔導師ログの探検ツアー?」

僕はその言葉を聞き、耳を疑う。確かに、リンが持っているチラシのような物に「魔導師ログの生まれた地を探検しませんか?」と書いてあった。

「そう!魔法を作ったとされる魔導師ログの生まれた土地を巡る探検ツアー!ほらメリーって魔導師ログが出てくる話よく読んでるでしょ?」

「そ、そうだけど…」

メリーは軽く目を逸らす。そうだ、メリーはエレーヌ様に憧れてこの本を読んでいるのだった。

リンはメリーの手を取る。


「もしよければ一緒に参加しない?」





「今日はよろしくお願いします!」

メリーがルイとリンに頭を下げる。

「いや、いいの、いいの!」

「良くないですっ!こんなに荷物いらないよね!」

ルイがいくつもの荷物を移動させながら、リンを怒っている。

話を聞いてみると、リンの実家は結構なお金持ちらしく、今回のツアーもリンの両親の知り合いが主催している物らしい。僕達はまだ実施していないツアーを、2週間前に参加させてもらっているらしい。


「ね、ねぇ魔導師さん?このツアーに参加しちゃって大丈夫だったんだよね?ほら、バレちゃったり…」

メリーがコソコソと僕に話しかける。

「まぁ、大丈夫だろう。500年経ってるんだ、しかもメリーの手に転生してるだなんて誰も思わない。」

僕はこう言ったが、このツアーに参加すると利点すらあると思っている。500年前で当時の物がどのくらい残っているかは分からないが、転生魔法に関連する物だってあるかもしれない。


「メリー!もうすぐ出発しちゃう!」

リンは機関車の入り口で手を振る。

「はーい!」

メリーは魔法機関車へ急いで駆け出していった。






僕の住んでいた町、ロスペルテナは王都から近い分、身分の高い人が多く住んでいた。あの頃のロスペルテナは活気のある町だった。森が近い分、水も食べ物も美味しかった。

メリーがロスペルテナに味を踏み入れた時に目を疑ってしまった。街並みは廃れ、あれ程、鮮やかだった木々が枯れている。

「えっ…」

リンも驚いているようで言葉が出ていない。

そこに、1人の青年が走ってきた。

「リン・ミライ様ですか?」

「そうですが…」

「誠に申し訳ございません!」

青年は大きく頭を下げる。

「え、えっと。どういうことでしょうか?」

ルイがそう尋ねると、青年はゆっくり顔を上げる。顔を酷く歪めていて、今にでも泣き出しそうだ。

「実は、2日まえから井戸から水が組み上げられなくなっていまして。それだけだったらまだ良かったのですが、木々が栄養をなくしたように枯れ、土はカラカラに乾燥してしまったのです。」

「水魔法や草魔法などは試したのですか?」

「試しました…しかし、異常な速さで水は土に吸われ、草は枯れました。」

「そんな…」

彼の様子を見ると、まだリンの両親の親友には連絡ができていないようだ。

「廃れてしまった僕らの街を復興したくて、このツアーを提案したのに…」

確かに、見回しても500年前の活気は見られない。

あの頃には心地よく感じた風もいまや冷たく乾燥している。500年前の姿はもう無いと風にさえ言われているような気がする。

山の方を見つめる。ほぼ山の入り口のような場所に、この街に少し合わない明るい色でペンキが塗られた家があった。

あの小さい家が僕の家だった。

きっとこの企画をやるにあたって、ペンキを塗り替えたのだろう。

昔はあそこからエレーヌ様の家に会いにいってたっけ…あれ、エレーヌ様は僕の家の近くに住んでいたのか?

何故か、戦争より前の記憶が薄れているのだ。これが転生魔法の副作用なのだろうか。

僕は必死に思い出そうとする。


確か、僕がここに引っ越して間もなかった頃、誰かにとある本を貰ったんだ…


「ねぇ、…!この本に書いてある…探しに行かないか?」

「フフフッ良いね!見に行こう!」

確かあの後…


「っ!」

「どうしたの、魔導師さん?」

メリーは心配そうに尋ねる。

「メリー、リンやルイと一緒に僕の家へ行ってみてくれないかい?もしかしたら…この事件を解決できるかもしれない。」




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