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魔導師、幼女の手に転生する  作者: りょう改
二章 学園編
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魔導師、学園に通う①

メリーはガラガラと音をたてながら窓を開ける。

一気に風が車内に吹き込んだ。

「わぁっ!すごいよ!」


僕らはナルヤに貰ったチケットを使い、魔法機関車という物に乗っている。魔法機関車とは魔法によって、動いている大きな馬車のようなものらしい。

馬車よりも速く走るため、初めはいつひっくり返るかものかとドキドキした。

メリーは窓の外へ顔を出す。空は雲ひとつない青々とした空。奥には石造りの幾つもの大きな建物が建っている。

 

 僕らがこれから向かう、王都フリミニスタンはこの国で一番栄えている場所である。以前、僕らが行った騎士団の本部近くは、戦前は首都であったが、統治後フリミニスタンという海辺に近い都市が王都となった。フリミニスタンの周りは海で囲まれており、遠くから見ると建物のひとつひとつが浮いているようにも見えた。


フリミニスタンの真ん中にある大きな城が、アムール城である。周りが湖で囲まれており、城の見た目は白く彫刻のように綺麗だ。湖の反射した光が壁に映っている。ナルヤによるとこの城はアムール国の代表する建物とも言われているようだ。


そこから数キロ離れた場所にあるのが、リベレスター学園。見た目は500年前のアムール国の建物と似ており、華美な雰囲気は感じないが、塔が連なっているように見える外装は圧倒される。


「今からここに行くんだ…!」

メリーはその言葉を噛み締めるように言う。

「出来れば、あの目的で行きたく無かったけどね…」

メリーも「そうだね…」と言いながら困ったように笑う。


僕らが今回リベレスター学園に向かうのは、禁書庫にある僕の転生魔法に関する文書を盗む事。

盗むと言っても、記録魔法を使って紙に写してくるだけでいい。

なのでそこまで難しく無さそうと思っていた…


「結局、僕らは紙に移すだけでいいんだろう…」

メリーに僕の言葉を伝えてもらうと、ナルヤは「まぁ、うん。」と歯切れ悪く返す。

「まぁ、詳しいことは学園に着いて伝えるよ。着いたら理事長室にきて欲しい。」



あの時、少しナルヤの様子がおかしかったのが気になる。何もないと良いんだが…

 

 元々リベレスター学園は、10歳から23歳までの魔導師、剣士等の武術養成学校である。10歳未満の子供には体験入学と言う形で授業を受けることができるのだ。しかし、授業を受ける為には魔導師から推薦を貰わなくてはならない。体験入学は中々狭き門なのだ。

僕達はナルヤから推薦を貰い、体験入学を4ヶ月間

行うことになった。


 「お友達ができちゃったりしてー!」

メリーは嬉しそうに頬に手を当てる。

「はっ!でも、こっそり本を写す為に来たのだから、目立っちゃいけないんじゃ…」

メリーは席を立ち上がる。

その様子を多くの人が見ていたようで、恥ずかしそうに座り直す。

「いや、そんなに目立たないだろう。ナルヤの話では今年の体験入学者は多いって言ってたし…」

「そうだよね!」


僕はその時、まさかその発言が全くの真逆であったとは考えもしなかった。





リベレスター学園に着いて、僕らは理事長室に向かっていた。


「あの子が噂のリナーヴさんらしいよ。」

「あ!あのナルヤ様の推薦の…!」


メリーがこの長い廊下をわたる間、僕が呼吸器を持っていたら必ずため息を付いただろう。

信じられないほど、僕らは視線を浴びていた。

それもそのはず、この学園の門の隣にある目立つ看板に

『途中体験入学者…メリー・リナーヴ/推薦者 ナルヤ』

と書いてあったのだ。


 メリーが緊張した様子で歩く。手と足が一緒に動いていた。

「そんな緊張しなくても…」

僕が話しかけるとメリーは上擦りながら

「こんなにも多くの人に囲まれることなんて初めてだし。」と言う。

メリーを宥めていると、この学園に通っているであろう少女が話しかけてきた。

「リナーヴさんでしょ?あの門の前の看板に書かれているのって…」

1人の少女が話しかけると多くの生徒がメリーの周りに集まってくる。


「ナルヤ様に推薦されるなんて、何をした方ですの?」

「俺の親の代でもナルヤ様の推薦って聞いたことないってさ。」


 メリーは頭がパンクしたようで、「うぅ…」と声をあげている。

止むことのない質問の嵐に、僕はこの任務は一筋縄ではいかないと認識した…



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