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序章

「悪魔が復活した?」


青年は、青い鎧を纏い、実に質のいいブロンドヘアをなびかせながら聞き返した。


「はい。それも、人間の肉体と意識を共有しているようです」


聞き返された女は、背中に翼を持ち、白く長い髪。その頭からは小さな角が突起している。

 女は青年の前にひざまずき、俯き加減に答えた。


「………ロストソウルの力だな」


悪魔の事情も情報も知り尽くしている。だから何が起きてるのかわかる。


「ロスト………ソウルとは?」


一方で、女には青年が何を言ってるのかわからない。


「千年前の話だ。天使と悪魔が全面戦争をした。実力は五分五分。厄介なのは、上級天使を倒すことが悪魔側には出来なかった。逆に、上級悪魔を倒すことも天使側には出来なかったのだ」


「なぜです?」


「上級天使も上級悪魔も、自己再生能力が優れている。倒すなら一回の攻撃で存在ごと消さねばならない。しかし、そんなことが容易く出来るわけもない。そこで悪魔共は、人間界の天才鍛冶屋と謳われた刀匠とうしょうダイダロスに、禁忌の魔法ロストソウルで武器を造らせた。それらの武器の総称をそう呼ぶ」


「では、そのロストソウルと、悪魔の復活に何の因果があるのでしょう?」


「ロストソウルには、使い手の記憶と力を封じ込める能力があると聞いたことがある。それは、絶対数で天使に勝てない悪魔の神が、自分達の命と引き換えに、全ての天使を永い眠りに就かせた後、その魂を拾い、永き年月を過ぎて復活させる為に造らせたものだとか」


悪魔の神………そう聞いた瞬間、女の背筋が凍りつく。数多い神々が、唯一恐れを抱くのは悪魔の神。その名を口にすれば死を招くとすら噂されているのだ。


「ロキ様。人間界征服に支障が出るのでは………」


青年を“ロキ”と呼び、その横顔を見る。


「フッ………支障などあるものか。邪魔なら殺せばいいだけだ」


そんな簡単に事は運ばないだろう。それをロキは知らないはずがない。

ロストソウルを使っていた上級悪魔は、別名“闇十字軍レリウーリア”と呼ばれ、悪魔の神に直に仕える強者達。それだけの勢力が自分達にあるとは思えない。


「案ずるなサキュバス。俺の知り合い達は神の称号こそないが、その領域にいる者ばかりだ。悪魔ごとき闇の住人に負けるような輩じゃない」


「それはつまり、仲間となってくれると?」


「仲間という言葉は妥当ではないが、戦いの場を提供されると喜ぶ奴らだ。協力してくれるさ。悪魔相手なら申し分ないだろ」


ロキはニヤリと含み笑いをした。自身もまた、悪魔と一戦交えることを望んでいるのだ。


「因みに、ロキ様のお仲間とは誰なんです?初耳ですが?」


「フフ………興味が湧くか?………なら直に会って来るといい。そして伝えろ。悪魔の復活と、その戦争の始まりを!」


青い鎧がギラリと光り、ロキの威厳を醸し出した。




これは、闇十字軍レリウーリアがまだ羽竜達と出会う前の物語。


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