男子
この男しつこい。よりにもよって人通りが少ない。
ナンパって成功体験はあるのだろうか?たぶんこいつは成功したことないだろう。
すると、うちのスマホが鳴った。
ナンパ男が出ろと言わんばかりに手を離した。このまま逃げようか迷ったが近距離で壁と挟まれているので無理だった。
電話をかけてきたのはひかりちゃん。
金田「もしもし。」
翔太『音量上げて。』
金田「どうしたの?」
翔太『いやぁ道に迷っちゃってー。』
金田「どういうこと?」
翔太『合わせて。』
『どこいる?マジでモールは方向音痴の敵。』
金田「え、映画館近くのトイレ。」
翔太『おっけー、すぐ行く。』
謎すぎる。ひかりちゃんはトイレに入った。迷うことなんかない。
男「なんだよ男いんのかよ。最初に言えよクソビッチ。」
金田「はぁ?誰がビッチだ!クソナンパ野郎!」
男は暴言を吐いて帰っていった。
後ろからひかりちゃんが戻ってきた。
翔太「上手く行ってよかったー。」
金田「あっ!ひかりちゃん、さっきの何?どういうこと?」
翔太「この声だしさ、スマホから男の声がしたら諦めるかもって思って。」
金田「なるほど。ありがと。」
今思えばすごく男っぽかったような気がする。別人みたいだった。
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翔太「ただいま。」
ひかりに買った服を見せた。
ひかり「なんこれ?」
翔太「友だちが選んだ。」
ひかり「気色悪。なんでこんなもん買ってくるかね?」
翔太「いいだろ別に。着るの僕だし。」
流石に恥ずかしかった。
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俺は新島渉。新キャラである。この度わたくしはピンチに陥っている。それは何かというとテスト勉強である。今範囲の単元を開いたが、全くわからない。
新島「竜二さん。教えて。」
早川「嫌。」
新島「冷たいなぁ。」
早川「自分で頑張れ〜。」
新島「お願いだってー。」
早川「—なら俺に頼むより…」
視線の先には桜田翔太がいた。妙に花岡さんに優しいのでおそらく付き合っている。
新島「桜田?」
早川「あいつ頭いいし。」
花岡さんがどっか行ったので桜田に話しかけた。
新島「ねぇ桜田さん。勉強教えて?」
ひかり「嫌だ。」
新島「そこをなんとか。」
ひかり「めんどい。」
早川「俺からもお願い。今回ムズいし。」
竜二が割り込んできた。なんだよお前も教えてもらいたい側かよ。
ひかり「あぁもうわかったよ。」
俺らは目を合わせた。
「よっしゃ。」
「よっしゃ!」
早川「今週からうちで勉強会しね?」
新島「お!竜二んち?どんなだろ?」
すると桜田は竜二を引っ張って何やらひそひそ話をし始めた。
ひかり「お前入れ替わってることわかってんのか?」
早川「もちろん。今回は男友達として勉強教えてください。」
ひかり「お前さぁ。」
新島「何?どうした?」
早川「あ、いや何でもない。」
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休みの日、俺(新島)は竜二の家を訪れた。普通の家。インターホンも普通。
早川「おうやっと来たか。」
中も普通。靴箱の上に印鑑と観葉植物、たぶん生きていない。階段は登りやすい。手すりつき。
部屋に着くと、桜田はもう勉強していた。
新島「偉!ちゃんと勉強してる!」
ひかり「するだろ。」
二人に教えてもらいながら課題を進めた。初耳単語が続出して何のこっちゃわからないものもあった。しばらくして何となくわかってくると三人とも無言で課題を進めた。
ひかり「ごめん。トイレ借りていい?」
桜田がトイレに部屋を出た。
俺は竜二だけに話した。
新島「なぁな。桜田と花岡さんって付き合ってんの?」
早川「なんでそんなこと訊くんだよ。」
新島「何でも…いいだろ。」
早川「さてはお前。」
新島「いいから質問に答えろよ。」
早川「別に付き合ってない…と思うけど?」(中身ひかりちゃんだし流石にないであってるよな?)
すると桜田が戻ってきた。また黙って課題を進めた。
我慢できない性格ので口を開いた。
新島「花岡さんっていいよな。」
しばらく沈黙が続いた。
目線で竜二には黙っとくように言った。
新島「あ、あのさ?桜田って花岡さんと仲良いじゃん?なんか、その、花岡さんの好きなもんとか知ってる?」
ひかり「好きなんだ。」
新島「え?あ、いや、その。」
隠すのが下手すぎる。
ひかり「アニメが好きらしいよ。オタクすぎて何言ってるかわかんないけど。」
新島「へ、へぇ。」
この感じだと本当に付き合っていないらしい。
ひかり「がんば。」
早川「がーんば。」
新島「からかうな!絶対他の奴に言うなよ!」




