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入替青春日記  作者: 水玉そら
入学編
4/17

一人

一旦考えるのをやめた。

昨日と同じように俺(早川)は屋上の端で翔太を待った。


翔太「よいしょ。」


低い声が聞こえてきた。


早川「なんで?」


翔太「だから言ってんじゃん。僕だって。」


早川「あぁ、そうか。」


思考を止めすぎた。

まだ俺は翔太の言っていることがよくわからない。隣にひかりちゃんがいるのに慣れない。いや、中身は翔太なんだろうが昨日『友だち』になった奴には変わりない。

話せない。話を切り出せない。俺は翔太に何も話さずに立ち去ろうとした。


翔太「ご飯粒。」


ひかりちゃんは俺の頬に手を伸ばしてご飯粒を取った。そのご飯粒を何も気にすることなく食べた。

小学生の頃の記憶と重なる。


早川「あー。えーっとー。ひかりちゃん?」


翔太「だから翔太だって!」


そろそろ本気で怒ってきそうなので質問を変えた。


早川「じゃあ証拠は?」


口に出してから気づいた。もっと怒りそう。


翔太「うーん。昨日コロッケを奪った。」


真剣に答えてくれた。俺はずっと失礼なことをしていたのかもしれない。


早川「本当に翔太なんだな。」


—————九年前


女性「ほんとに1人で行ける?」


子ども「もう。バカにしないで!もう一年生なんだよ。学校くらい一人で行けるもん!」


女性「そうだね。もう一年生だもんね。」


俺は学校が好き。先生はいつも俺の話を聞いてくれる。友だちは優しい人に恵まれた。


先生「こら!廊下走らない!」


早川「ごめんなさーい!」


走りながら叫んだ。


俺には好きな人がいる。「はじめ」だ。


早川「ねぇはじめ!」


腕を掴んで引き止めた。


早川「今日も一緒に帰ろ!」


はじめ「いいよ。」


昼休みはいつも一緒にドッヂボールをする。


早川「今日は負けねぇ!」


はじめ「やれるもんならやってみろ!あ、ご飯粒。」


早川「ありがと。」


はじめ「食いしん坊だなぁ。」


はじめはすごい。いつもかけっこでは一番。ドッヂボールはいつも最後まで残る。

その上絵も上手い。


早川「それ、幽霊ウィッチのけーたろう?」


はじめ「うん。」


早川「すごい!俺はウィスえもんが好き。」


そう言うと、ノートの端に数秒で描いてくれた。


早川「アニメのまんまじゃん!」


はじめ「褒めすぎだよ。」


はじめは端を破って俺に渡した。


はじめ「あげる。」


早川「いいの?ありがとう!」


三年生の夏休み。はじめと一緒に宿題をやっつけていた。

はじめは難しそうに頭を抱えた。


早川「これはね、こうするの。」


はじめ「うん。」


早川「大丈夫?体調悪い?」


はじめ「いや、ありがとう。」


夏休み明け、俺は読書感想文だけサボった。


先生「早川。なんでやってない?」


早川「だって本読むのめんどくさいもん。」


今日も誰よりも早く帰りの準備をしてはじめのところに行った。


早川「行こう。」


するとはじめは無視して立ち去った。


早川「ねぇ。」


急いで引き止めた。はじめは優しい。人を傷つけることは決してしない。ましてや俺に。

何も言わずに振り払った。その拍子にはじめは指を机にぶつけた。俺にバレないように廊下に出てから指を押さえていた。

俺は怒った。


早川「なんだよ。いいもん、一人で帰るもん。」


久しぶりの一人の下駄箱は少し変だった。


「なぁ見た?はじめついにふったぞ。」

「ふったって。(笑)別に付き合ってないだろ。」

「てか竜二いつもはじめにべったりくっついて気持ち悪いんだよな。」

「直球ー。」

「女子かよ。(笑)」


聞かなかったことにはできなかった。


はじめはずっとそうだったのか?俺は気持ち悪い?


翌日の通学路、はじめは俺を待っていなかった。


早川『一人で行けるもん。』


学校に着いた。はじめはまだ来ていない。五分経った。また五分経った。おかしい。


チャイムが鳴った。


「起立。おはようございます。」


休みだ。


早川「ねぇ今日何ではじめ休みなの?」


「知らね。」

「てかめっちゃ真剣じゃね?ウケる。」


こうして心配しているのも気持ち悪いのか?気にしないものなのか?


数日後、はじめが学校に来た。


早川「はじめ!良かった。元気?」


教室の全員の視線がこちらを向いていた。

はじめは無視した。


「起立。さようなら。」


ちょっと怖かったけどはじめに話しかけた。


早川「今日は一緒に帰るよね?」


また無視された。

そのままついていった。


通学路、早歩きを始めたので僕も速く歩いた。


「ねぇ。」

「ねえ。」

「ねえってば!」


「うるせぇなぁ!」


「え?」


「気持ち悪いんだよ!三年間ずっとべたべたくっついてきて。」

「学校で裏で何言われてるか知ってるか?」

「ゲイ、ホモ、オカマ挙げたらきりがない!」

「お前のせいで俺まで悪口言われてんだよ。気づけよ!」


はじめの口から出たとは思えない言葉だった。


「もう一生関わるな。」

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