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入替青春日記  作者: 水玉そら
夏祭り編
16/17

ゆうき

昼休み、早川は朝、先生に言われたあみだくじの紙に名前を書きにいった。しかし、まだ書いていない生徒が四、五人名前を書きに来ていたので少し外で待つことにした。


生徒「どこがいい?」

生徒「どこでも一緒だって。」

生徒「せっかくだし隣にしよ。」

生徒「あ、ごめん。書く?」


早川「ありがと。」


仲良し組は教室から出ていった。早川は早く書いて弁当を食べたい。紙には人数分の線が垂れ下がっていた。自分の名前を書き終わると横で待っている林に気づく。名前を書くには林は教壇にあがらないといけない。


早川「ああ、待ってた?」


林「ううん大丈夫。」


早川「書いちゃうね。」


林「え?あっ。」


『林咲』


林「え?下の名前。」


早川「ん?ああ。うちのクラス林さん二人いるでしょ。だから。」


早川(あ、俺今めっちゃキモいことした?)


林(下の名前知ってるんだ。)


早川「んじゃ俺先生に呼び出し喰らってるから。」


林「うん。」


早川が教室を出ていこうとした瞬間、また肩を叩かれて呼び止められた。


林「あの、この後一緒にお弁当食べない?」

 「いや別に、早川君いつも一人で食べてたから。その…」


早川「柊木さんは?」


林「かなちゃんは…」


—————


今日のホームルーム前、林は意を決して柊木に言った。


林「あのさ、まじめな話なんだけど、その…。」


柊木「なになに?好きピでもできた?」


林は小さく頷いた。


柊木「えぇ〜!?誰ぇ〜?」


林「早川君。」


柊木「きゃ〜!いつからいつから?」


林「バカにしないでよ。」


柊木「してないよ!」


林「それでさ、早川君ともっと話したいんだけど、タイミングがわかんなくて。」


柊木「そういうことなら任せんしゃい!」


—————


林「かなちゃんは…大丈夫って。」


早川「そういうことなら。いいよ。」


早川(柊木さんがすごく後ろのほうで喜んでいるのが見える。これはあれか?林さんは俺が好きなのか?そんで柊木さんは林さんを応援してるのか?)


早川は職員室へ行き用事を済ませた。教室へ戻る途中も考えた。


早川(ん?それじゃあのとき"いない"って聞こえたのか。というか突然話しかけてきたのは俺に近づくため?)


すると誰かが後ろから大声で話しかけてきた。


新島「ずりぃぞ!顔がいいからって!」


早川「うお!びっくりした。」


新島「女の子のほうから話しかけられて。ずりぃずりぃ!」


早川「うるせぇ。どっか行け。」


早川は林にも迷惑になるからと説得し、新島を引き剥がした。


—————


林さんを隣に置き食事をする。なんか変な感じがする。机をくっつけられ、俺は左側の窓に追いやられる。とにかく、俺には好きな人がいることを伝えなければ。いや、言うのか?それを言ってしまうと俺が翔太が好きなことを認めたことになってしまう。ていうか林さんが俺のこと好きかもわからないだろ。ええい!どうでもいい!


早川「林さん実は俺…」


林「早川君ってどんな女子がタイプ…?」


早川「あ…。」


早川は返答に困った。


林(直球すぎるって!何やってんだ!バカ!アホ!)


早川「なんというか、かっこよくて、でもなんかおちゃらけてて、元気な人。」


早川(嘘はついてない。)


林「へぇ。かっこいい…か。」


柊木はガッツポーズをしてこちらを見ている。バレバレなので今すぐやめてほしい。


—————


花岡「ねぇ、何か課題出てた…よね?」


ひかり「ああ、今日物理のノート提出だね。」


花岡はその場で震えてひかりに泣きついた。


花岡「やってない…どうしよう…」


ひかり「ええ?今からやれば間に合うよ。昼休み全部使って急げば。」


花岡「手伝ってぇ。」


ひかり(なんか最近スキンシップ増えたな。まあかわいいしいっか。)


ひかり「ほら僕の写して。」


花岡「ありがとう。」


花岡とひかりは爆速で課題を進めた。あと三割書けば終わる。ところがチャイムが鳴り響く。二人は絶望の顔をした。


ひかり「まぁだ!大丈夫!六限だから次の十分休みで終わらせたら…」


結果、残り一割のところで間に合わず。物理の授業においてノートは成績の大半を占めるので、教師に今日提出すれば減点は最小限にしてやるといっぱい叱られたあとに言われた。


花岡「ごめん…放課後まで…」


ひかり「いいよ!あとちょっと!ファイ!」


花岡「みじかっ(笑)」


ひかり「はは、いいからやる!」


花岡「そっちが仕掛けたんじゃん。」


無事、課題は終わり、あとは職員室に提出しに行くのみ。しかし、花岡は職員室の前で震える。


ひかり「早く行きなよ。」


花岡「大人…怖い…」


ひかり「あー、そゆことね。わかるわー。圧っていうかさぁ、職員室って怖いよね。」


と言いながらひかりは扉をノックし叫んだ。


ひかり「失礼しまーす。」


花岡の声に似せて言い、ひかりは花岡を中に押し込んだ。


ひかり「ほいほい、頑張れ。」


花岡は職員室のコーヒーの匂いを吸い、怖気付く。大人の空間。先に物理の教師が気づくが花岡は頑張って声を出した。


花岡「い…一年三組…んの、花岡です。桑山先生、いぃいいらっしゃいますか?」


桑山「もっと自信持って言っていいぞ。次からは提出日までにやってこいよ。」


花岡「はい。」


花岡は心臓を浮つかせながらなんとか会話し、職員室を後にした。


ひかり「帰ろ。」


花岡「できてた?」


ひかり「ばっちり。」


花岡「…もっと褒めて。」


ひかり(はっ!かわいい!かわいすぎる…!いっぱい褒めてやろう。)


ひかりは思い切り頭を撫でて褒めた。


ひかり「よくできました!いい子だねぇ〜!」


花岡「子ども扱いはいや。」


ひかり「注文が多いな。」


二人は校門で分かれた。それまでもひかりは花岡を褒め続け、花岡はひかりにくっついていた。


ひとり花岡がニコニコしながら通学路を歩いていると、後ろから小さい声で話しかけられた。表情はすぐに陰り、後ろを見た。


健太「やあ、花岡さん。」


花岡はすぐ距離を離した。


健太「逃げないで、何もしないから。久しぶりに小説語りたくてさ。これ、【薬剤師の推理】。名前の通り薬剤師免許を持ってる女の子の話なんだけど…」


花岡「こないで。」


健太「…。そうか、ネタバレも良くないか。」


健太は道路のど真ん中にしゃがみ、本を置く。そして花岡を見ずに言った。


健太「良かったら読んで。あげる。別に持って帰らなくてもいいよ。いやならここに放置しといて。」


健太は立ち上がり後ろを向いて立ち去ろうとする。このような状況でも花岡は本を拾う。本がかわいそうだから。それを感じた健太は言った。


健太「87ページ6行5文字目。」


花岡は本についた砂を払い、バッグの中に入れた。

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