気遣い
ひかりはまた兄に怒っていた。
ひかり「私の身体で男子とイチャイチャしないでくれる?」
翔太「はあ?してないし。」
ひかり「してたじゃねぇかよ。あんたが走り出したかと思えば後ろから男子が追いかけてきて、しまいには一緒に金魚すくい楽しそーーにやってたじゃねぇかよ。」
翔太「お前見てたのかよ。男子になってストーカー気質上がったんじゃねぇの?」
ひかり「はああ?!」
おばあちゃん「また喧嘩かい?やめんかといっただろ…」
すると家のインターホンが鳴った。
おばあちゃん「ほら、出ぇ。」
ひかりは仕方なく玄関の扉を開けた。
訪ねてきたのは花岡だった。
ひかり「花岡…さん。」
花岡「あ、あ、、ああの、お礼、お菓子。」
差し出した袋の中身はおそらくコンビニで買ったであろうお菓子だった。
花岡「ごめん…じゃない!ありがとごさました。」
ひかり「あ…。」
おばあちゃん「なんだぁ?!翔太が女の子を?!」
ひかり「お、おばあちゃん!」
おばあちゃん「あがりぃ。暑いだろぅ。」
ひかり「おばあちゃん!違うって!この子はその…そんな子じゃない!」
おばあちゃん「いいから。遠慮せんで。」
花岡「お、お邪魔します。」
ひかり(おぉ〜いぃ〜!!)
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夏祭りの日、早川に話しかけた林は翌日朝十時まで寝ていた。それには訳がある。
夜、彼女は後悔していた。
林「絶対変なやつだと思われた。いや絶対やばい。なんであんなことしたんだぁ…!」
彼女が寝付いたのは深夜二時だった。スマホをみていて夜ふかししたのは秘密だ。
?「起きてー!お姉ちゃん!」
大声を上げたのは弟のここだ。
ここ「今日、掃除の日!」
今日は朝十一時から地域清掃だった。
林「そうじゃん。」
支度をして外に出た。
林「朝から暑いんだよ。」
ここ「なんでねぼーしたの?」
林「遅れてないし。」
ここは小学二年生。姉が世界一愛してる家族だ。
林「きったねぇ。」
道路の側溝を担当している。
女子B「やってんねぇ。」
林「かなちゃん。」
柊木「落ち葉拾いなんて一瞬で終わるからね。」
林「手伝って。」
柊木「言われずとも。」
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ひかりと花岡はリビングにいた。花岡が持ってきたお菓子は誰も手をつけず、お昼の番組から笑い声が聞こえてくる。
おばあちゃん「クーラー効いてる?」
花岡「は、はい。」
ひかり「部屋来る?」
花岡「いい?」
おばあちゃん「青春だねぇ。」
ひかり(おばあちゃん…)
二階に上がり部屋に向かっている最中翔太にでくわした。
翔太「おめぇらもイチャついてんじゃねぇかよ!」
ひかり「どこがだよ!」
花岡「見えるんだ。」
部屋に入ったが黙ってしまう。お互いに恥ずかしそうに顔を見たり目を逸らしたりしている。
ひかり「アニメ見る?」
花岡「最新話まだ見てないやつ。」
ひかりが操作して再生した。よりによって恋愛描写があった。通常、五分程度に感じるアニメだが、今回はすごく長く感じた。
花岡(終われ…早く…)
お菓子を頬張るが気が散るわけもなく、そのまま距離が近いシーンへ移った。
花岡は耐えきれず電源ボタンを押した。
ひかり「あ。」
花岡「ごめん。」
ひかり「あ、うん。」
ひかりはゲーム機を取り出し電源をつけた。
ひかり(ぽいゲーム…)
ひかり「ネコ育てるやつ。」
花岡「名前とかつけれるの?」
ひかり「えぇっと…。」(お兄ちゃんのゲームだ。名前は何か知らない。てかなんでこんなゲーム持ってんの?)
ゲームが始まり、字幕が出た。
【今日のひかるは元気いっぱいです。たくさん遊んであげましょう。】
花岡「あ。」
ひかり「あ。」
ひかり「違うのやろう。」
花岡「帰る。」
ひかり「え?」
花岡「もともと長居するつもりじゃなかったし。お菓子はあげるから。」
花岡は帰る支度をしてひかりと共に階段を降りた。
靴を履いている間も黙ったまま、花岡は玄関の扉に手をかけた。
花岡「お邪魔しました。」
ひかり「あの!ごめん。」
花岡は振り返り不思議そうな顔をした。
ひかり「昨日急に抱きしめて。嫌だったでしょ?」
花岡「いやじゃない。すごく安心した。」
ひかり「実はすごく怖かったんだ。花岡さんはもっと想像できないくらい怖くて辛かっただろうに。」
花岡は安心させるためにひかりを抱きしめた。玄関の段差や身長差で上手にはできなかった。
花岡「友だちになってくれてすごく嬉しかった。ずっと"友だち"がいい。」
ひかり(絶対裏切らない。ずっと友だちでいよう。)
ひかり「またね。」
静かに扉が閉まった。
花岡「あっ、またねって言いそびれた。」
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健太は不機嫌だった。
健太「花岡。なんで俺に話しかけてきた?何のために?」
五百円玉を見つめて呟いた。
健太「千円にしときゃよかった。」




