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入替青春日記  作者: 水玉そら
夏祭り編
13/17

旧友

ひかりは人気のない小さな路地に入った。


ひかり「大丈夫?誰?あの人。」


花岡「はぁは、はぁ」


花岡は過呼吸になっていた。


いじめって言ってたし、多分あいつ、花岡さんをいじめてたのか?ここまで逃げてきたし大丈夫だろう。


男「よう。」


ひかりの後ろに男はいた。


男「逃げれると思った?」


ひかりは咄嗟に花岡をかばった。


ひかり「誰ですか?花岡さん嫌がってるでしょ!」


男「いやいや、ね?もう中学の話だしいいんだけどさぁ。俺ら花岡と遊んでやっててさぁ。なぁ花岡?」


ひかり「友だちには見えませんけど。」


男「うるせぇんだよ!きめぇ声しやがって!女かよ。これが百合ってやつか?あ?」


ひかりはこの男をぶん殴るか逃げるか迷った。花岡は震えて動けなくなっている。


男「俺らさぁ、花岡にチクられて人生おじゃんなんだわ。というわけで千円。」


すると誰かが男の顔を勢いよく蹴り飛ばした。


?「おそーい。」


花岡が顔を上げると見知った顔だった。


花岡「健太君。」


ひかり「え?誰?」


健太「おひさ。千円頂戴。」


ひかり「はあ?あげるわけないでしょ。」


健太「いや花岡さんの。あんたのはいらない。」


花岡は混乱した。あの健太がカツアゲしている。


健太「ねぇえ!はーやーくー。手ぇ出るよ。」


花岡の腕を掴もうとしたのでひかりは止めた。


ひかり「どなたか知りませんが暴力はやめてください。」


健太「あー。そっか。あれ全部僕だよ。水ぶっ掛けられたっしょ。やれーって言ったらみんなそのとーりやってくれんの。」


花岡「健太…君…どうしたの?」


健太「俺!偽善ってめっちゃ嫌いなんだぁ!」


健太は最初から花岡にターゲットを絞っていた。仲間にいじめられているように見せかけて花岡が近づいてくるのを待っていた。


健太「ねぇ!いじめられてる子かばって気持ちよかった?大抵のやつはみんな自己肯定感とか周りの評価とか気にして"いいやつ"やってんの。マジで気持ち悪ぃんだよなぁそういうの!」


健太は叫びながら地面を踏みつけ出血するほど強く電柱を殴った。

ひかりはその言葉を聞いて殴ることを決めた。


健太「教師にチクった罰。まぁ五百円にまけてやってもいい…」


ひかりは健太を思いっきり殴り花岡を連れて走り出した。


健太「クソ野郎があ!!」


人気のある駅前を目指して走った。当然健太は鬼の形相で追いかけてきている。花岡を連れているので少しで追いつかれる。ひかりは曲がり角にペットボトルを落とした。健太はそのペットボトルを踏み顔面を地面に打ちつけた。


健太「クソがあああ!ってええ!」


叫んでいる健太の前には五百円玉が落ちていた。


ひかりたちはなんとか駅の近くまで行き、足を止めた。


花岡「追いかけてこない?」


ひかり「大丈夫絶対来ない。」


花岡「良かった…」


ひかりは花岡を抱きしめ泣きながら言った。


ひかり「怪我してない?」


花岡は急に泣きはじめたひかりに驚いた。しかし、ひかりの腕は温かく、安心したのか涙がこみ上げてきた。


花岡「…し、てない。」


ひかり「辛かったね。大丈夫。一生そばにいるから。」


花岡は本当は手のひらを擦っているが黙っておいた。


—————


早川は花火を見ていた。例年いつもよりぼやけて見えた。


新島「でっけえ!」


早川「…」


新島「音が胸に響く感じ好き。」


早川「…」


新島「おーい。竜二!」


早川「散っていく。ていうか散るもクソもないけど。」


新島「歌詞?」


早川「そうだよ!歌詞だよ!」


新島「キレんなし。」


しばらく何も話さずじっと花火を見ていた。


女子A「あれ?早川じゃん。」


新島「ん?」


女子B「隣は新島。」


新島「なんか文句あるか?」


女子B「何も言ってないし。」


女子A「隣いい?」


するとおもむろに早川の隣に座った。クラスメイト。浴衣姿でキメてきている。


早川(なんだ?近くね?)


林「私の名前知ってる?」


早川「林さん?だっけ?」


林「せいかーい。モテるな貴様。」


早川「ぼっちに向かって。」


新島は楽しそうに女子Bと話している。


新島「射的全部外したの!」


女子B「外したんかい。」


林と早川は花火か足かを見るしかなくなってしまった。沈黙が続いたが林が口を開いた。


林「LINEやってる?」


早川「やってる。」


林「交換しよ。」


早川(え?なんで急に?)

  「あ…うん。」


林「QR読んで。」


早川がスマホを近づけて体が寄った瞬間、耳に小さな声で訊かれた。


林「好きな人いる?」


耳打ちをされたことがない早川は右耳の感覚に耐えられず反対方向に体を逃がした。


林「あっ、ごめんね。恥ずかしくて。いる?」


早川(恥ずかしい?じゃあなんでその話を切り出すんだ?)


恥ずかしいらしいので口を耳に近づけ小声で返事した。


早川「えっと…ん…。い…る。」


同時に花火が上がり大きな音が鳴った。

その拍子、額をぶつけてしまった。

花火の音だ。今までよりも大きくて綺麗な花火。

横に視線をやると、顔をほんのり赤くしている林がいた。


林「へぇ。そうなんだ。」


早川(やばい!変な感じになった。どっち?)


林「ごめん、邪魔したね。また。」


新島「あ、あぁ。」


行ってまった。

林さん、か…。

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