75 やっと、やっと暴れることができる
白丸は、暴れるための条件を整えようと努力していた。
あとで、爺に説教されないための大義名分が必要だからだ。
白丸 こころの声
『そろそろ良いよな?』
白丸は、ちらりと姫子と大地の方を見た。
姫子
「白丸、負けないで! 勝ってえー!」
大地
「白丸、そのカタナは飾りじゃないんだろー!」
白丸 こころの声
『来た来た! 待ちかねたぞ!』
仮面の男たち
「さあ、お前もカタナを抜け!」
白丸は先ほどの逃げ腰がすっかりと消えて、できる剣士のような立ち姿勢になった。
白丸
「降りかかってくる火の粉は払わねばならん。
男として、そして、ひとりの剣士として、な」
白丸は、剣を抜いて構えた。
白丸
「わが愛刀の名前は、【悪即斬 白丸】」
白丸の頭の中で、音楽が流れ始めた。
音楽
「お金、お金、お金、
お金を稼げー
お金、お金、お金、お金」
白丸は、切りかかってくる仮面の男たちの剣を交わして、峰打ちで倒した。
音楽
「お金を稼ぐぞー、領民のために
俺の、名は、マニー、マニー、マニー
お金を稼いで、お金を使う
モンテマニーだ。 お金を持っている
お金、お金、お金
愛、愛、愛
お金と愛を、同じ身に宿す、強い正義だ
モンテマニーだ」
白丸は、こころの中で、歌を歌いながら、敵を倒した。
白丸
「これで、気が済んだか?
悪党ども!
斬らずに峰打ちで済ませたのは、俺の慈悲だ」
大地
「いいぞ、白丸ー」
姫子
「素敵よ、白丸ー」
白丸は満足そうな笑顔で、手を振って、声援にこたえた。
白丸 こころの声
『ああ、久しぶりに暴れてスッキリした。お代わりが欲しいなあ。
十分に手加減したから、そろそろ気を取り戻して起きてこないかな。
できれば、もう一度、襲ってこないかなあ』
大地と姫子 こころの声
『少しは満足したようだが、お代わりが欲しそうな顔をしている』×2
親分
「白丸様、あぶない。後ろ!」
白丸は、親分に言われて初めて気づいたようなふりをして、後ろからの攻撃をかわした。
白丸
「親分、かたじけない」
親分
「ご無事で良かった。」
白丸
「親分、怪我した子分たちを連れて、裏に隠れていてくれ」
親分
「わ、分かりました。 しっかりしろ、お前たち」
親分は子分たちを連れて、裏の屋敷に逃げてくれた。
気を取り戻した仮面の男たちは、白丸を取り囲んだ。
仮面の男たち
「あまいな! 二度は負けないぞ!
一度目で斬っておくべきだったな!
とどめを刺さなかったことを後悔させてやるぞ!
野郎ども、同時に斬りかかれば、奴が達人でも全部を避けることはできない。
かかれえ!」
白丸
「せっかく拾った命だ! 命を粗末にするな! もうやめておけ!」
仮面の男たち
「もう、おそいんだよ! 地獄で、いや、天国で後悔しやがれ!」
それを遠くから見守っていた大地は、つぶやいた。
大地
「まあ、こうなるよね」
姫子
「うれしそうな顔を隠しなさいと言ったのにね」
10人の仮面の男たちは同時に斬りかかったつもりだったが、同時に斬りかかれたのは、3人ずつだった。
白丸にとっては、たいしたことではなかった。
3人、3人、2人と斬りかかって来た相手を峰打ちで倒した。
白丸 こころの声
『斬り殺したいが、格下の相手を斬ると爺に怒られるからな。
「労働力として、生かすべきです。
それとも、若は弱いのですか?」』
最後に残った二人は、親玉だから斬らねばならない。
白丸は、親玉のふたりの手から、剣を叩き落した。
白丸
「成敗!」
しーん・・・
白丸
「大地? 姫子? 仕事してよ!」
大地
「白丸の剣技を最後まで見せてよ!」
大地は成敗用のカタナを手渡してきた。
姫子
「最後の美味しいところだけ取られたら嫌でしょ!」
姫子も成敗用のカタナを手渡してきた。
白丸
「主君の扱いがひどいなあ。お前たちは?」
と建前を述べてから、俺は自分で成敗した。
白丸
「やはり、悪人は斬り殺すに限る」
白丸から返された成敗用のカタナを拭き取った、大地と姫子はひざまづいた。
白丸は悪への怒りを浮かべた表情をしていた。
大地
「決まったね。白丸」
姫子
「素敵だったわ。白丸。
じゃあ、親分さんたちが戻ってくる前に、監察官の威厳を整えましょうか?」
◇
静かになったので、親分たちは様子を見に来ていた。
姫子
「もう、大丈夫ですよ。片付きましたからね」
姫子は、優しい笑顔を向けていた。
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