46 マーサとの交渉
武闘家みやびの名前は【雅】と書くのが正しい。 書くことが大変なので、みやびは平仮名で書いている。
同じ夜
???
「もうひとりのワタシ、みやびの気持ちは分かるわ。
ミエルさんほど信用できて頼れる男性がいないことは確かだけれど・・・」
???が考え事をしていると、黒い長髪の美しい女性が近づいてきた。
???
「へえ、ここに来ることができるなんて、人間ではないわ。」
未来知見の女神 ミサキ
「その通りです。 わたしは、16方位第4神 未来知見の女神 ミサキです」
???
「16方位第4神 未来知見の女神 ミサキさまにごあいさつ申し上げます。
武闘家みやびの主人格、いえ、今となっては副人格という方が正しいでしょうか?
みやびを見守ってくださり、感謝申し上げます」
ミサキ
「あなたのことは、なんと呼びましょうか? みやびさんと呼ぶと混乱しますわね。」
???
「おっしゃるとおりですね。 それでは、みやびの【雅】は、【マサ】とも読みますから、わたしのことは、マーサと御呼び頂けますか?」
ミサキ
「それでは、マーサさんと御呼びしますね。」
武闘家みやびの副人格 マーサ
「はい、それでお願いします。 ミサキ様。」
ミサキ
「話が早くて助かるわ、マーサさん。
訳あって、大賢者ミエルはワタシが守護しています。」
ミサキは、空から地上を見下ろすような視線で、眠っているミエルとみやびを見た。
その優しそうな視線につられて優しい笑みをマーサは浮かべていた。
マーサ
「ミエルさんは、ミサキ様の弟君ですか?」
ミサキは、にっこりとほほ笑んだだけで答えなかったが、マーサは満足していた。
ミサキ
「はっきりと言うわ。みやびさんには、人生が終わる日までミエルと共に過ごして欲しいのです。」
マーサ
「それは、高くつきますわ」
ミサキ
「でしょうね」
2人は笑みを絶やさなかったが、無言で見つめ合っていた。
5分ほど経過したとき、マーサが口を開いた。
マーサ
「わたしの主人格みやびはミエルさんのことを大好きすぎるから、ご期待通りになるでしょうね。
そして、未来知見の女神とおっしゃるからには、女神さまも、ミエルさんも、みやびとワタシ、全員が納得できる用意があるのではないですか?」
ミサキ
「みやびさんも賢いと思いましたが、マーサさんもかなり賢いですね。」
ミサキとマーサは笑顔で見つめ合った。もう、この二人には会話する必要がないくらい通じ合っているのではないか?という様子だった。
マーサ
「ただし、です。 女神ミサキ様。わたしも、ようやくアホダマイトの影響下から逃れることができたのです。 見たいものや知りたいこと、したいことや行きたいところがあることは、気付いておられますわね。」
ミサキ
「ええ、もちろんです。 賢いあなたなら、多くの知識を吸収するまで時間は掛からないでしょうね。
でも、万が一の可能性を考えて欲しいのです。」
マーサ
「万が一の可能性とは、なんでしょうか?」
ミサキ
「もしも、みやびさんがミエルから去ってしまったら、ミエルは生きていないでしょう。
そして、マーサさんが再び、アホダマイトの影響下に入ってしまったら、誰も助けてはくれないでしょうね。
それどころか、美しいみやびさんは悪いひとに捕まって売られて、それはそれはヒドイ目にあわされることでしょうね」
マーサ
「脅しですか? いいえ、女神さまがそんなことをするはずがない。
つまり、わたしがミエルさんのもとを去った未来では、そのような事件が起こったのですね」
ミサキ
「流石です。神々の中でも、あなたほど賢い神は2~3神いるかどうか・・・」
マーサ
「それで、わたしはどうすれば良いのでしょうか?」
ミサキ
「聡いわね。賢くて助かるわ。
まず、みやびさんの望みをかなえるための支援をお願いします。
それは、あなたの望むことにも、大きく良い方向で関係します」
マーサ
「それでは、取引成立と言うことで、お願いします。」
ミサキ
「条件を確認しなくても良いのですか?」
マーサ
「16方位第4神 未来知見の女神 ミサキさまの名において、良い取引になると確信しています!」
ミサキ
「では、今回の作戦について、説明します。」
女神ミサキと武闘家みやびの副人格マーサは、作戦についての話し合いを始めたのだった。
◇
16方位第4神 未来知見の女神 ミサキ こころの声
『まるで、わたしがもうひとりいるかのようだわ。 仲良くなれそうね』
武闘家みやびの副人格マーサ
『ワタシと並ぶくらい賢い女神が存在するなんて、第1神はどんな方だろう?
支援者と親友を同時に得た想いだわ』
つづく
あなたの中にも、もうひとりの自分はいますか?
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