42 見えない恐怖vs聖職者の予言
黒色騎士団がギルドに殴り込んでから一週間が過ぎていた。
彼らはミエルに言われたとおりに、迷惑を掛けた店に改めて訪問して、礼儀正しい客として正規の代金を払い、【今後は問題を起こしませんという反省の気持ち】を示したので、町の人たちに受け入れられて、溶け込もうとしていた。
ミエルはそのことを知って安心して喜んだと同時にうらやましく感じたのだった。
ミエル
「僕よりも街の人達と仲が良さそうだと思えてくるよ。」
みやび
「四人で行動しているからさ。」
ミエル
「どういうこと?」
みやび
「一人だけの人よりも、2人。2人よりも四人の人のほうが安心してしまうものさ。」
ミエル
「じゃあ、3人は?」
みやび
「そのうちの1人は仲間外れかなと心配になるさ。」
ミエル
「そんなものなんだ。僕達も四人グループになれるなら、その方が良いのかな?」
みやび
「どんな人かによるさ。ミエルと仲良くしない人なら、いないほうがマシさ。」
ミエル
「ありがとう、みやび。」
◇
翌朝、ミエルは震えていた。
みやび
「ミエル、朝のトイレは早く行くべきさ。さあ、さあ、急ぐさ。」
ミエル
「う、うん。」
トイレから戻ったミエルは、みやびに真剣な表情で言った。
ミエル
「みやび、ここにいると危ないんだ。 ここから離れて遠くに行こう。 この間、美味しい果物を食べたいと言っていたから、モンテフルーツ大公爵の領地に行かないか?」
みやび
「どうしたさ、ミエル。こわい夢を見たのかさ?」
ミエル
「夢というよりは、神様のお告げかもしれない。」
みやび
「どんな夢を見たのかさ?」
ミエル
「分からない。 ただただ真っ暗なんだ。 だけど、多くの人たちの悲鳴が聞こえたんだ。子供も大人も女性も男性も痛い痛いって泣いていたんだ。」
みやび
「そんなに怖がらなくても、ワタシがミエルを守ってあげるさ。」
ミエル
「みやびがとても強いことは知っているよ。
でもね、みやびでも勝てない気がするんだ。」
みやび
「ワタシより強いひとって、ミエルくらいさ。でも、そんなに心配なら、ミエルが安心と思うところに行こうさ。」
ミエル
「ありがとう、みやび。 ギルドマスターに話をして、できるだけ多くの人たちも逃げてほしいんだ。」
みやび
「わかったさ。ギルドマスターのところに行こうさ。」
◇
ギルドマスターの部屋で、ミエルがギルドマスターと受付嬢に説明している。
受付嬢
「ミエルさん、もっとくわしいことは分からないのですか?」
ミエル
「くわしいとは?」
受付嬢
「例えば、ドラゴンが飛んでくるとか、モンスターの大行進、スタンビートが迫ってくるとか?」
ミエル
「それは分からないです。」
ギルドマスター
「ミエルさん、それだけでは夜に何かが起こるとしか分からないということですよね。それじゃあ、ギルドには何もできないです。」
ミエル
「そうですよね。失礼します。」
ミエルは、あきらめて帰ろうとした。
ギルドマスター
「待ってください。他の人にも相談してみませんか?」
ミエル
「相談とは?」
ギルドマスター
「賢者カップルは最近、姿を見かけません。と言うことは、ミエルさんの次の実力者は、黒色騎士団です。 このことを話しても構いませんか?」
ミエル
「大丈夫です。お願いします。」
30分ほどしてから、黒色騎士団の四人が来て、ミエルの話を聞いてくれた。
ラージャー公爵
「知世、聖職者の帽子で未来を見てくれないか?」
知世
「やってみます。
… … …
見えました。 3日後にモンスターの群れが町に近づいて来ます。」
ラージャー公爵
「ミエルさんの不安は、それですか?」
ミエル
「いいえ、それでは有りません。 真っ暗闇の中で見えない何かに皆が襲われて、痛い痛いと泣き叫ぶことしか分かりません。」
美花
「夜中に、スタンピードに襲われたってことではないの? なんで、そんなに震えているの?」
ミエル
「モンスターのスタンピードだったら、ギルドの皆さんと黒色騎士団にとっては、朝飯前だから怖くないです。」
武神
「確かに、俺が【黒色円月刀】で【風の刃】を放てば全滅させられるはずだ。」
みやび
「ミエル、とにかく目の前で起こっていないことを心配していたら、元気が無くなるさ。」
ラージャー公爵
「みやびさんの言う通りだ。」
ミエル
「ボクがもっと未来の風景を見れたら説明できるんだけれど、暗くて良く見えないんだ。」
3日後の前日となる2日後に考えることになった。
つづく
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