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みんなの安全を守ってきた「神の代行者」、パーティを追い出されたから、自分の安全を優先します。  作者: サアロフィア
第6章 黒色騎士団 ざまあ

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38 ミエルの復活と覚悟

38話から44話を公開します。


 情報伝達師ワタセに傷つけられた大賢者ミエルの心の傷も、武闘家みやびの状況をいまいち理解できなかった純粋な優しさと笑顔で、癒されていった。


ミエル こころの声

『ボクが間違っていた。 勇者カンゼンたちとの苦い経験を忘れようとしたからいけなかったんだ。


 「いつまでも根に持つなんて恥ずかしくないのか?」

と被害者に落ち度があるかのようにズルイ言葉を使って責め立ててくる輩がいるけれど、おかしくて異常なのは彼らの方だ。 ひとの恨みを買うようなことを言った方が、ひとに危害を加えた方が悪いに決まっている。


 ひとは、過去のつらい経験や悲しい出来事を忘れないから生き延びてこれたんだ。


 もう、ボクは他人の人生という貴重な時間や他人が苦労して手に入れた成果をかすめ取ろうという盗人や卑怯者には容赦はしない。


 ボクが信じても良いと思えるひとは、みやびだけだ。』





ギルドの依頼掲示板の前では、大賢者ミエルが静かに良さそうな依頼を探していた。


ミエル こころの声

『良さそうなというか、割に合う依頼がほとんどないな。

 ボクが引き受けるよりも、駆け出しの新人のために手を出さない方が良さそうだ。


 もう他人には遠慮はしないとはいえ、線引きというか、強者の美学というかを考えなければ、自分さえ良ければ良い愚物に成り下がってしまう。 そう言えば、姉さんが言っていたな。


 「愚物が! そのようなことをするなら、私の弟じゃない。」

 「えーん、もうしません。」

 「次に同じようなことがあったときに、ミエルがどうするか見ていますからね。」

 「うん、同じことはしません。 次に同じことがあったときは・・・」


 ふっ、なつかしいな。』


武闘家 みやび

「ミエル? 笑っているけれど、面白い絵でもかいてあったのさ?」


みやびはミエルが依頼を探しているときは、いつも通り、みやびの友達とおしゃべりを楽しんでいた。

しかし、情報伝達師ワタセのことが有ってからは、すぐそば、1メートル以内、手を伸ばせば肩をたたける距離に居てくれるようになった。


みやびの友達A

「わたしが飛ばしたギャグが面白かったですか?」


みやびの友達B

「わたしが経験した小ばなしが良かったんでしょ?」


ミエル

「あっ、いや、その、どちらでもない。 むかしのことを思い出してしまっただけなんだ。」


みやびの友達A

「なんだあ、せっかくの力作だったのに。」


みやびの友達B

「ほかの人も面白いと言ってくれた小ばなしだったんだけどなあ。」


ミエル

「そ、そうなんだ。 今度ゆっくりとお茶でも飲みながら聞かせてくれませんか?」


みやびの友達A

「ええ、ぜひ。」


みやびの友達B

「甘いものを食べながら、お茶を飲みながら、聞いてくださいね。」


ミエル

「そのときが来たら、よろしくね。」


みやび

「じゃあ、またね。」


みやびの友達A

「ええ、また。」


みやびの友達B

「ペチャワールで会おう。」


みやびの友達は、ギルドを出ていった。


ミエル

「ねえ、みやび?」


みやび

「どうしたさ。 ミエル?」


ミエル

「ペチャワールってどこにあるの?」


みやび

「美味しいスイーツの店さ。 わたしには砂糖が強すぎて、甘すぎて苦手だけれどね。」


ミエル

「ありがとう。 そこで食べるときを楽しみにしているよ。」


みやび

「じゃあ、いまから行こうさ。 ミエルもスイーツの甘さを知ったら、おどろくさ。」





という訳で、ミエルとみやびの二人は、【景気がいいお茶 ペチャワール】に居た。


ミエル

「ずいぶんと会話が弾む店だな。」


みやび

「みんな楽しそうに話しているさ。」


ミエル

「これだけ、うるさいと、みやびの声も聞き取りづらいな。」


ウエイトレスが近づいてきた。

そして、コップに水を入れながらミエルに話しかけた。


ウエイトレス

「ぺちゃくちゃ しゃべって 悪いですか?」


ミエル

「ぷっ。 ペチャワールって、そういう意味ですか?

 ハハハハハ、ああ、おかしい。 こんなに笑ったのは久しぶりです。

 ありがとう。 お姉さん。」


みやび

「ミエル、なにがおかしいさ。」


ミエル

「この店の名前のペチャワールって、

 「”ぺちゃ”くちゃ しゃべって ”悪”いですか?」

から来ているんだと思うよ。」


ウエイトレス

「その通りです。 ひとは話すことを止められたら、生きた心地がしません。

 だから、この店にいる間だけでも、おしゃべりを楽しんで欲しい。

というのが、店長の願いです。

 でも、他の人を気分悪くさせるような悪口や言わなくても良い事実はダメですからね。」


みやび

「へえ、そんな意味があったさ。 名前には付けた人の気持ちが入っているってことさ。」


ミエル

「その通りだよ。 みやびの名前も、きっと優雅に楽しく生きて欲しいって意味が込められているはずだよ。」


みやび

「じゃあ、ミエルは、いろいろなことが良く見えるようにって意味さね。」


ミエル

「そうだと思うよ。 みやび、両手でなにを隠しているの?」


みやび

「わたしの胸を見られている気がしたさ。」


ミエル

「ボクは、みやびの目を見て話しているよ。」


みやび

「そう言えば、そうさ。」


ウエイトレス

「なにを食べたいですか?」


みやび

「あまさが小さい、大きいケーキ。」


ウエイトレス

「みやびちゃん、それ好きねえ。

 で、みやびちゃんの彼氏は、なにを食べたいですか?」


ミエル

「ちょうどいい甘さの真ん中の大きさケーキ。」


ウエイトレス

「かしこまりました。 では、しばらくお待ちください。

 みやびちゃん、15分ほど待ってってね。」


みやび

「大丈夫さ。」


ウエイトレスが去った後で、みやびが聞いてきた。


みやび

「ミエル? 今日する依頼は決まったか?さ。」


ミエル

「良い依頼が無いから、中級ダンジョンでお金を稼ごうと思う。」


みやび

「わたしは身体を動かせるほうが楽でいいさ。

 でも、ミエル? なにか、困っているように見えるさ。」


ミエル

「そうなんだ。 いまは、ポーション、つまり傷薬の調合の依頼が多いんだ。

 ボクも作れないことはないけれど、宿屋にある台所を借りるわけにもいかないからね。

 ボクが自由に使える台所が欲しいなあ。」


みやび

「じゃあ、家を買うか借りればいいさ。」


ミエル

「いつまでも、ここにいれるとは思わないんだ。

 つぎにまた、情報伝達師ワタセのようなひとが来たら、ボクは他の所に行こうと思っているだ。

 みやびもついてきてくれるかい?」


みやび

「ミエルのいるところが、ワタシがいるところさ。

 でも、どうせ行くなら、フルーツが美味しいところが良いさ。

 わたしはケーキやおまんじゅうよりも、果物のさっぱりした甘さが好きさ。

 ほんのりとすっぱい甘さが一番さ。」


ミエル

「ありがとう。 みやび。」


ウエイトレス

「お待たせしました。」


ぼくたちは、ケーキを食べた後で、中級ダンジョンに行くことにした。





お店を出た後で・・・


みやび

「ミエル? ケーキがあますぎて、ミエルのおくちが変になったか?さ。」


ミエル

「みやびと同じケーキを食べたいと言えば良かったよ。」


みやび

「半分こして、取り替えっこしたから、マシだったさ。」


ミエル

「そうだね。 ありがとう、みやび。」


みやび

「はじめての店では、ほかのひとと同じものを食べる方が、かしこいさ。」


ミエル

「みやびが正しいよ。」


みやび

「えっへんさ。」


ミエル

「へへー、みやび様。」


つづく


【読者様へ】


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