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みんなの安全を守ってきた「神の代行者」、パーティを追い出されたから、自分の安全を優先します。  作者: サアロフィア
第5章 情報伝達師 ざまあ

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34 ライバルをつぶせ

情報伝達師 ワタセは、ミエルを落とし入れる作戦を考えていた。


ワタセ こころの声

『これで次に進めるな。 ギルド関係者たちは、俺がミエルと親しいとか仲が良いと思い込んでいるようだ。

 長い間苦労したが、そろそろ刈り入れどきだな。

 武闘家みやびは、ムダ話をする友達が多そうだが、ミエルが他の人と話しているところは見たことがない。 俺が、ミエルが「なんとかだ。」と言っていたと言えば、多くのひとたちがミエルの発言として信じることだろう。』





ギルドでは、ミエルが一番目立つ存在だった。 なんと言っても、3人しかいない賢者だからだ。 しかも、のこり2人の賢者を大きく上回っているのがミエルだった。 もちろん、長年の苦労と努力をして得た成果だが、調子に乗りやがってと嫉妬する者たちが多かった。


このことを誰よりも【情報伝達師 ワタセ】は深く理解していた。 なぜなら、ワタセが一番多くのギルド関係者と話して交流していたからだ。 【武闘家みやび】も多くのひとたちと交流があり、いろいろと話し込んでいたが、【情報伝達師 ワタセ】の方が交流に費やす時間は上だった。


ワタセ こころの声

『さてと、ミエルが多くの質問に答えてくれたおかげで、地固めはできたな。 ミエルほどの実力者を倒そうとした者は多かったと聞いた。 有名な話では、白銀の戦士とワナ解除師だったか。 直接、挑もうとするから彼らは負けたんだ。 やつらは、バトルロイヤル、総がかり戦というか乱戦を知らないのかな。 1対1ではなく、大勢でひとりを倒すんだよ。 どんなにミエルが優秀な賢者でも、5~6人、いや、30人くらいで囲めば簡単に倒せるからな。』





今日も、ワタセはいつも通り、ミエルに話しかけていた。

しかし、いつもと違った表情を見せていた。


ミエル

「ワタセさん、どうしたの? なんか梅干を食べたようなというか、不味いものを我慢して食べているかのような複雑な表情をしているね。」


ワタセ

「ええ、ちょっと。 言いにくいんですが。」


ミエル

「みやびに肩を貸してもらうように頼むよ。 ボクでは、ワタセさんを支えて歩くことは厳しいからね。

 みやびー。」


ワタセ

「ミエルさん、そんなにみやびさんに頼ってばかりだと愛想をつかされますよ。」


ミエル

「そんなことはないよ。 みやびー。」


ワタセ

「女性は話し相手が少ない相手を見下すものです。 特に、おしゃべりを中断させると不機嫌になって、嫌われますよ。」


ミエル

「みやびはそんなことないよ。」


ワタセ

「いえ、ご遠慮します。 わたしはなんだか嫌われているみたいですからね。 大丈夫です。 自分で歩いて医務室に行けますから。」


ミエル

「じゃあ、せめて、付き添いするよ。」


ワタセ

「いえ、ご心配なく。」


ワタセは、ちからなく歩いて行った。 ミエルは、ワタセが医務室に入るまで見守るしかなかった。



しばらくして、みやびが戻ってきた。


みやび

「ミエル、なにかあったのか? さ。」


ミエル

「良い依頼はなかったけどね。」


みやび

「ミエル、なんだか元気が無さそうさ。

 それに、ワタセの様子がいつもとちがうと言っているひとがいたさ。

 ワタセに、なにか言われたのか? さ。」


ミエル

「いや、なんでもないさ。」


ミエル こころの声

『みやびは、ボクが話し相手がみやびしかいないことを情けないとか、思っているのだろうか?』





ギルドの医務室にて


ギルドの医者

「ワタセさん、どうされました。」


ワタセ

「なぜか、元気がでないだけです。」


ギルドの医者

「ワタセさん、ミエルさんとなにかあったのですか?」


ワタセ

「いいえ、いつも通りです。」


ギルドの医者

「いつも通りと言えば、ワタセさんは、ミエルさんと話したあとで別れるときは、元気に「またな!」と言っておられました。しかし、今日は違ったようですね。 なにがあったか話してくれませんか?」


ワタセ

「じつは、ミエルさんに言われたんです。」


ギルドの医者

「なんと言われたんですか?」


ワタセ

「「いちいち質問しないで自分で調べたらどう? ワタシの時間はタダではないからね。 ワタシにあまえすぎだ。 今度からは金とるぞ。」 と言われたんです。」


ギルドの医者

「それは、きつい言い方ですね。 さぞかし、ショックを受けてつらかったですね。」


ワタセ

「ええ、でも、誰にも言わないでくださいね。 ミエルさんも人間だから、機嫌が悪かっただけかもしれないです。」


ギルドの医者

「ええ、もちろんです。 わたしも様子を見ることにします。」


ワタセ

「先生が聞いてくださったので、気が楽になりました。」





医者の前に、ギルドの看護師の長がいた。


ギルドの医者

「よく来てくれた。」


看護師の長

「どうされたのですか?」


ギルドの医者

「今から話すことは、あくまで噂だ。 だから、事実確認をして欲しい。 信頼する貴方だけに相談していることを理解して欲しい。」


看護師の長

「深刻な話ですか?」


ギルドの医者

「ああ、そうだ。 あなたも知っているミエルさんがワタセさんに、こう言ったらしい。

 馬鹿か自分で調べろ。 ワタシの時給は1万バーシルだぞ。 ワタシが金を取らないからって、調子に乗らないでよ。」


看護師の長

「本当の話ですか?」


ギルドの医者

「それを調べて欲しいんだ。 極秘にな。」


看護師の長

「分かりました。 お任せください。」


3日も経たないうちに、ギルドでは次のような噂話が広まったのだった。


「大賢者ミエル様は、わたしたちを見下している。わたしと口を聞きたいなら、1分1000バーシルを前払いしろ。 バカどもに割く時間は無駄だからね。」



ワタセ

「医師という高貴な職業の者でも、自分より優れた者をねたむ気持ちは普通のひとと同じくらいあるからなあ。 【青は藍より出でて藍より青し。】 だから、弟子が自分より優れているからと言ってねたんではならないということわざを知っていても、知識として理解しているだけで、実践できないひとしかいないからな。

 さあ、ミエル、もうお前は終わりだ。 俺は優しいからな、とどめを刺して楽にしてやるよ。」



神の部屋にて


未来知見の女神 ミサキ

「【情報伝達師 ワタセ】の真のねらいは、これですか?


 ミエルの言葉をここまで悪意でねじ曲げるなんて・・・


 ミエルは、こう言ったのですよ。

「いちいちワタシに質問しなくても、ワタセだけでなくギルドのみんなも自分で調べて分かることだと思うよ。 ワタシも多くの時間を使って得た答えだからね。 ワタシにあまえたら、みんなが経験値を稼ぐ機会というかチャンスを奪ってしまうことになって良くないよね。 どうだろう? みんながレベルアップする邪魔をしないようにするためには、お金を取るよ!とか言った方が良いのかなあ。 ワタセは、どう思う?」


 ミエルを助けるための手段を探さなければなりませんね。」



つづく


【読者様へ】


 あなたの30秒で、この作品にパワーをください。

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